第19話 霊の症状その1-自分で自分を攻撃する症状
次の患者は新田浩司36歳である。
渋沢吾郎:今日はどうしましたか?
新田浩司:時々頭がおかしいんです。
渋沢吾郎:どんな風にですか?
新田浩司:肝心なときに自分にとって不利な発言が出てくるところです。自分の意志じゃないんです。
渋沢吾郎:それは辛いですね。
新田浩司:とくに誤解されているところでその誤解にあわせた発言が出てくるのです。
渋沢吾郎:それは自分で自分を攻撃しているという症状ですね。
新田浩司:はい。
渋沢吾郎:これは厄介ですね。自分が自分を攻撃して自分の人生を不幸に落とすとなると、本当に辛いですね。自分に裏切られる症状ですね。
新田浩司:どうすればいいでしょうか。
渋沢吾郎:このことに関しては、霊に取り付かれている可能性も考えられます。
新田浩司:では、対策はないのでしょうか。
渋沢吾郎:霊というものは生命力のない人に来ます。霊より生命力が高ければいいのです。つまり、あなた自身が弱りきっているので、元気をつける方法を見つけなければなりません。
新田浩司:私の場合は元気が出るときは彼女ができたときなのです。しかし、今は彼女はいません。
渋沢吾郎:では、サークル吾郎をお勧めしますがどうですか?
新田浩司:ぜひ参加させてください。
渋沢吾郎:では決まりですね。頑張ってください。
と、新田浩司は希望が見えて来たので、明るい感じで帰って行った。
その夜吾郎と清子は話をした。
渋沢吾郎:今日の患者さんはやたらと自分を犠牲にする人なんだよね。世の中いるんだねえ、そういう人が。
渋沢清子:その人は私は、非常に優しい人だと思う。
渋沢吾郎:しかし、この調子だと他人の罪までかぶるような事がなければいいなと本当に思うよ。もしかして、新田さんはすべてを大事にしたいんじゃないかなあ。
渋沢清子:相手の言い分を消化しつつ自分も生きるつもりなんでしょうね。でも、相手が自分の命を狙っていたりしていたら新田さんはどうするのかなあ。
渋沢清子:そうだよ。そこが心配なんだよ。自殺の可能性もある。いい人過ぎる人ほど誤解されやすい人はいないよ。
我々の社会はもっと人を大事にしなければならない、いじめなんかはもってのほかだ。
渋沢清子:そういう人ほど優しいのに ・・・。でも新田さんは霊にもやられているみたいで不憫だね。世の中に対するしっかりとした考えがあるのにね。それに、自分を攻撃して他人を助けることをしている感じだね。
渋沢吾郎:清子もそう思うか。そうなんだよ。優しすぎると逆に責めを負ってしまうんだよ。それも、無意識層から成り立っているんだよ。私はこう言いたいよ「もっと自分を大事にしてください」と。どう思う?
渋沢清子:私も賛成。自分を大事にできない人が人を大事にすることは難しいと思う。
渋沢吾郎:ただ、1つの光明としては、新田さんはあきらめないで答を探そうとしている。そこが彼の凄いところなんだと思う。患者だけど、尊敬するよ。力になりたい。
渋沢清子:じゃあ、今日はこのくらいで寝ましょうか。
渋沢吾郎:そうだね。今日はどういう技を使おうかなあ。
渋沢清子:私は満足できればなんでもいいよ。
渋沢吾郎:本当かい。
と、二人は今日もドリームナイトを過ごした。
第20話 鬱その5
次の患者は八幡四郎23歳である。
渋沢吾郎:どうしました。
八幡四郎:やる気をなくしました。
渋沢吾郎:どういうことです。
八幡四郎:努力が認められないのです。
渋沢吾郎:なるほど。他には?
八幡四郎:僕の作品が盗まれているんです。
渋沢吾郎:それは辛いですね。でも、盗まれるということは、あなたの作品は凄いということですよ。
八幡四郎:しかし、悔しいです。盗まれるだけでなく人格も傷つけられています。僕の作品は僕の命そのものなのです。
渋沢吾郎:それなら自分の作品は自分にしかできないという証明をする必要がありますね。
八幡四郎:それならまず、自分の作品は相手よりもはるかに先に自分のホームページに載せている。相手には作品の続き作れない。どういうわけか自分が作品を書いたときだけ相手は書いている。もし裁判をしたら勝てますか?
渋沢吾郎:ホームページに相手よりはるかに先に載せているのであれば、問題はないのでは?
八幡四郎:しかし、相手は何でもできます。反則をいくらでもできます。レフリーと組んでいるのと同じです。正直汚いです。
渋沢吾郎:なんとか手を打ちたいところですね。
八幡四郎:手が打てないから欝なんです。やる気がおきません。
渋沢吾郎:そうですか。何の手がないのは私としても悔しいです。
八幡四郎:渋沢先生でも手がないのですか?
渋沢吾郎:とにかく相手が尻尾を出すまで我慢するしかないですね。あなたはホームページに作品をはるかに前に先に乗せている。いざ勝負となれば、勝てるのではありませんか。
八幡四郎:それでも反則ができるのが相手なんです。
渋沢吾郎:しかし、それは社会的には通らない話ですよ。普通は。
八幡四郎:それでも通すのが相手なのです。だから欝なんです。
渋沢吾郎:なるほど。しかし、チャンスは来ます。希望を捨てないで下さい。人生とは不思議なもので、自分が思っていいる方向に進むものなのです。天の道理をわきまえていれば、あなたにもチャンスが来ます。聞いていると、あなたの作品は未完成なのではありませんか?
八幡四郎:はい。少なくとも10年かかるものと、70年はかかるものがあります。
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