第14話 仲間がいない

 次の患者は中村弘行27歳である。

渋沢吾郎:どうなさいました?

中村弘行:自分には仲間がいないんです。

渋沢吾郎:孤独ということですね。

中村弘行:はい。

渋沢吾郎:どういうところで孤独なのですか?

中村弘行:自分と本音で話せる人が一人もいないんです。

渋沢吾郎:それは大変ですね。

中村弘行:人生って何なんでしょうか。

渋沢吾郎:まあ、自分が孤独と思っている人は意外と多いんですよ。だから、中村さんだけじゃないんです。ですから、孤独を分かち合える人はいます。自分と似た人はこの世では必ずいます。まずは、自分だけと思わないようにしてください。次は、仲間ができるサークルにでも入るといいですね。同じ趣味を持っている人と付き合うほうが付き合いやすいですからね。

中村弘行:なるほど。

渋沢吾郎:というわけで、サークル吾郎というのをご存知ですか?あなたみたいな人を助けるために作ったサークルなのですが。

中村弘行:渋沢先生は凄いですね。一体どう勉強すればそういう発想にいたるのかが不思議です。

渋沢吾郎:私は患者の目で患者を診ていますので。というわけで、サークルはいかがですか。

中村弘行:賛同します。私の孤独感が消えるかもしれません。きっかけを作ってくれた先生に感謝します。

 と、診察は終わり、中村弘行は満足して帰って行った。

 その夜、自宅で吾郎と清子がいつものように会話をしていた。

渋沢吾郎:世の中自分は孤独と感じる人は多いよな。

渋沢清子:そうね。今の社会、みんな閉鎖的だよね。

渋沢吾郎:では、どうやったら孤独にならないか。その答は自分と同じ波長の人を見つけることだと思う。また、同じ目的を持つことだと思う。清子はどう思う?

渋沢清子:私は、あなたの意見に賛成。ホント、自分と人生を分かち合える人がいると孤独は感じなくなると思う。でも、100%思いが通じ合うとは限らないと思うけど。

渋沢吾郎:そうだな。俺も、部分部分で人は繋がっていると思う。しかし、共通点が多ければ多いほど共有する%は上がっていくと思う。どう思う?

渋沢清子:そうね。私もそう思う。で、実際にどうやったら波長の合う人を見つけるか。それは自分が動いてみるしかないと思う。そして、とにかく話すことだと思う。そこから共通点が見つかるんじゃないんかなあ。

渋沢吾郎:その通りだと思う。共通点があれば、人は付き合っていけると思う。そして、孤独から抜け出せると思う。

渋沢清子:そうよね。ところで、私たちの共通点ってなんだろうね。

渋沢吾郎:話が合うからじゃないかなあ。人のことを考える、そして、それに対し議論する。そして一緒に答を探す。そして最後に快楽を分かち合うっていうことじゃないかい。

渋沢清子:ホント私たちは似たもの同士よね。

渋沢吾郎:じゃあ、今日もラストを決めますか?

渋沢清子:今日も期待してるわよ。

 と、二人は今日も一緒にラストを終えて寝た。

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