僕は、ここにいるよ。

第23話 松川くんと男の子

「2度もすまないね」

「別にいいっすけど。俺なんか疑われてるんすか？ いじめの話聞いたんでしょ。ガキは嫌いなんでいじめたりしてないっすよ？」

「申し訳ないね、斎藤くん。そういうつもりではなくてね、松川くんに弟くんがいると知っていた理由を教えてほしくて君を呼んだんだ」

「はる？ 何あいつ疑われてるんすか？ そんな奴じゃないと思いますけどね。まぁ、前に隣町に遊びに行った帰りにはると小さい男の子？ かな、が話してるのを見たことがあって、弟だろうなーって思っただけっすよ」

松川くんと小さい男の子！？

「いつ頃？」

「なんすか、近いですよ。えっと、半年くらい前…かな？ ちゃんと覚えてないっすけど、2年になってからだった気が…」

俺としたことが取り乱してしまった…。

「えーと、他に覚えてることある…？」

「あ、んー。子供の時見たような人形持ってたかも」

「人形？ あ。ぽよりん！ ぽよりんかい？？」

「あー、そうそう。もぐらのぽよりんだわ。そっか俺が読んでた漫画それか…」

もぐら…、もぐらの人形どこかで見たような…。

「あとは、覚えてないっすね」

「そ、そうか。ありがとう。今話したこと人に言わないでくれると助かるよ。私が誰か疑ってると思うと捜査に支障をきたすかもしれないからね」

「わかりました。失礼します」

「ありがとねー」

「あ、そういえば」

「ん？ どうした？」

「確か、カラオケ行った時に、はると鈴木がぽよりんの歌？ みたいなの歌ってたかも。それだけっす。では」

…鈴木くん！ そうか、もぐらの人形、どこかで見たと思ったら彼のカバンに！ あれがぽよりん…何でちゃんと調べなったんだ俺！ ぽよりんは大事な情報だったのか、くそぅ。

　鈴木くん、松川くん君達は何を知っているんだ…。いや、君達が誘拐…？ でも、斎藤くんは2人と仲が良くない…。あー、情報が急に集まりすぎてどうすれば！！ 考えろ、俺。悠人くんはどこにいるんだ。