第22話 松川くんの弟

「悠人くんは見つかりそうですか…?」

そう話しかけてくれたのは、松川くんや斎藤くんの担任だった。

「いや、情報はないですかね…。そういえば、先生のクラスの松川くんには弟さんがいらっしゃるんですか?」

「…松川の弟ですか? 彼の弟くんは3年前に亡くなっています。いじめが原因だそうです。私のクラスでもいじめが起きてしまったので彼を苦しめているかもしれません…」

「そうだったんですね…」

ん? 弟くんが亡くなっているなら、なぜ斎藤くんは松川くんに弟がいるなんて言ったんだ…?

「でも、弟くんのことをどこで…?」

「あなたのクラスの斎藤くんに聞きまして」

「斎藤? なんであいつが松川の弟を? まぁ、斎藤は松川が原因でいじめをするくらい松川のファンであるから…、ってこの言い方は失礼ですね。すみません」

「斎藤くんがファン?」

「あー、あいつがいじめていた子と松川はとても仲が良くてそれが気に食わなくていじめをしてたみたいなんですよね」

「今、斎藤くんと松川くんの仲は?」

「松川が歩み寄っていたんですけど、同情してるように見えてしまって良くはない…ですかね」

「へー、大変ですね…。きっとどちらも仲良くしたいだろうに…」

ん? 斎藤くんがいじめの件から松川くんを恨んでいたとしたら、斎藤くんの意見を信じすぎるのも良くないのか?

「簡単に仲良くなれたらいいんですけどね。あ、お時間取らせてすみません。頑張ってください!」

「ありがとうございます!」


明日、斎藤くんにもう一度話を聞いてみようか…。

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