第13話 君の失敗と僕の気持ち

「鈴木〜、俺間違っちゃったかもしれないー!」

今までにみたことのないくらいに弱ったはるくんが入ってきました。

「俺は斎藤をひとりぼっちになんてしたくないしさせないって思ったんだけどなぁ」

どうやら、斎藤くんとお話してみたようですね。


「なるほど、はるくん。君は間違ってるかもしれません」

「やっぱそうなのかぁ」

「いや、可能性の話ですけどね。あくまで僕の推測ですが、斎藤くんが僕に悪いと思っているのに謝らないということは彼のプライドを守るためには当たり前のことなのかもしれません」

「プライド?」

「はい、はるくんは生粋の人気もですよね?」

「いや、ここで“はい”っていうやつやばくね?」

「あ、では自分から話しかけるより話しかけられることが多い。1人でいても誰かがやってくる。あとは、友達ができないと悩んだことはない。当てはまる?」

「うわぁ、当てはまるのがムカつく」

「たぶん、斎藤くんもそんな人生を歩んできた人だと思います。そして、彼はクラスのリーダー的存在でした。これは僕に謝ることが、僕みたいな隠キャに人気者ナンバー2のはるくんを取られた挙句、その隠キャに謝るという彼の一大ミッションになっているわけです。つまり、僕みたいな隠キャに謝っていたら彼の面子に関わるんです」

「んー。なんとなくはわかった。でも、いじめてた時点で面子潰れてねぇ?」

「まぁ、そうかもですけど、あくまで推測ですし」

「俺はあいつを傷つけたのかもなぁ」

「僕、そろそろ帰るけど」

「あ、俺も帰んなきゃ!」

「じゃあ一緒に帰る?」

「わりぃ、俺買物して帰るわ! 父ちゃんに頼まれてたんだった!」

「わかった、じゃあまた明日」

「また明日な!」

はるくんは色々考えて行動したんだよなぁ、僕も何かしてあげられたら良いのですが…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る