出会いと別れとストラップ

永沙 智也

1話 さよなら

「さよなら」

そう彼女に言われたのは、お互いの募ってきた不安からだった。

私達は付き合って1年が経っていた。

彼女、さらは今日も私の家に来ていた。

私達の間には会話がない。

ずっとスマホをつついているだけである。

「なぁ私の家に来てまでスマホつつく必要なくないか?」

「暇なんだからしょうがないじゃない、後、明日ここ来れないから」

「なんでだ?」

「別に出掛けるだけ。てかプライベートなんだから関係ないでしょ」

「付き合ってるんだから多少のプライベートくらい教えてくれたっていいだろ!」

まただ。

最近はいつものようにこの空気になる。

喧嘩する前の空気、それはどちらかが抑えないと止まらなくなる。

「、、、腹減ってないか?何か作ってやろうか?」

「ちょっと空いたかも、、、お願い」

「じゃあテーブルの上を、、、ってもう終わったのか」

「何年彼女やってると思ってんのよ」

「流石私の彼女」

そして、私は作りに行くのだった。

次の日、私は暇だったので、ゲーセンで暇を潰していた。

店を出ると

「今日はありがとね」

聞き覚えのある声が聞こえた。

振り返ると、そこにさらが居た。

一緒に男が居た。

その男に、私にはもう見せていない笑顔を見せていた。

「なるほど、そういう事か、、、」

理解した。

したくなかったが、してしまった。

そう、あれがさらの新しい彼氏だと。

だから、あんなに楽しそうに笑顔でいる。

そう思った瞬間、私は走り出していた。

走って、走って、走って、走って、気がつけば海に着いていた。

その後、決意しさらに電話をかけた

何コールかしてさらは出た

「、、、もしもし?」

「、、、あの男は誰だよ」

「え?」

「今日一緒に居た男は誰だって言ってんだよ!なんなんだよ!私に飽きたからって浮気みたいなことして!それなら早く振れよ!」

私が感情に任せて言うと、さらは冷静に

「今、、、どこ?」

「海だけど、、、」

「ちょっと待ってて」

そう言って通話が切れた。

数十分後、彼女がやってきた。

「まずははい、これ」

「今日は何の日か分かってる?」

「今日は私達の付き合った日、、、」

「そう。だからキーホルダーあげる。後一緒に居たのはただの友達。それ以上でもそれ以下でもない」

「そ、そうか。じゃあ私からも、ゲーセンで取ったペアストラップ。さらみたいに高いものじゃないけど、、、」

「そう、、、じゃあ2つともくれる?」

「えっ、、、それだとペアストラップの意味が、、、」

「2つくれないならいらないわ」

「わ、わかった」

と私は渋々渡した。

「最近私達は喧嘩してばかり。そのせいで、何回もこういうすれ違いが起きてる。だから思うの。このまま嫌いになるのだったら好きなまま、この状態で、、、」

「別れましょう」

その言葉に私は絶句した。

その私を置いてさらは言う。

「最後だけは笑って、別れましょう」

そう言ってさらは涙を流しながらけれど笑顔でそう言ってそれに私も

「あぁ、、、そうだな」

そう言うと2人同時に

「「さよなら」」

そう言って別れた。

もしこの場を見ている人がいるのなら教えて欲しい。

私は上手く笑えていただろうか。

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