幕間-ドワーフの記録に不自然な点がある
エアル達が
そして、誰かがドワーフに関する記録の書物の数々を見ていて不自然な点がある事に気づいて、呟いた。
「おかしい…どう考えてもおかしい。黒影隊に盗掘されたドワーフの墓にはドワーフの遺体なんて埋まっていないんだよ。」
「どういう事だ?」
周りにいた冒険者達が集まる。
「あれは公式の記録では絶滅している種族であるドワーフの事が忘れ去られないように、という意図でカイン国王の命令と名匠ピオニーの要望で12年前に作られたもので、あそこにはドワーフが使っていたとされる古代の遺物だけがドワーフの遺体の代わりに埋まっていたんだよ。もっとも、それらを黒影隊に盗られてしまったわけだけれどな…」
「え!?」
「どういう事だよ!?それ!?」
ピオニーが鍛冶師及び職人として大成してきた頃の事だ。
その腕を見込まれて王宮に迎えられて、国を守る騎士達の使う武器の生産を請け負ったピオニーは仕事を全うした後、現国王のカインの父王はピオニーに褒美をとらせようとした。
ピオニーは自分に技術を教えた通りドワーフが生存しているから、生き残っているドワーフを捜索して欲しいというピオニーは強く訴えた。
だが、殆どの家臣と国王はその言葉を疑った為、当時王子だったカイン王は「
ピオニーは渋々、これを受け入れたが、それでもドワーフは生き残っていると強く主張したという。
「じゃあ、つまり…あれは実際には墓ではなく、
「ああ、そうなる」
そう言いながら頷く。
「という事は…黒影隊は最初からドワーフの遺物を狙っていたという事か…」
しばしの沈黙の後、別の冒険者が口を開く、
「あの…2000年前に絶滅したそうだけれど、その時、ドワーフの遺体とかは確認されていたのかな…?」
「確かに…そんな記録はなかった…」
「という事は…ドワーフは今もずっと姿を隠して生存している…?」
「確かに姿隠しの魔道具も存在はするけれど、まさか種族丸ごとなんて…」
「名匠ピオニーの言葉が事実だとして、何でピオニーとそのきょうだい弟子達にだけ姿を現したのだろうか?」
「まさか…エアル達がドワーフに会う事になる、ドワーフの生存を確認するなんて事は無いよな?」
と、誰かが呟いた。
本当にそうなるとは知らずに…。
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