4人の幼馴染は想像してしまった

エアル達がくれない林檎亭りんごていに戻り、ディーターとアルミン以下、闇の者達を引き渡して報酬を受け取った半刻後…


エアルとサムソンは、ルイーゼ達から色々と話を聞いた。

ルイーゼ達4人は元々は名も無き村で生まれ育った幼馴染の村娘だった事。

その村が匪賊達に襲われて壊滅し、通りかかった冒険者に匪賊達は倒されたが、生き残ったのはルイーゼ達4人だけで、家族も友人も全て失った事。

そして、4人は長かった髪をばっさり切ったり剃ったりしたうえで、修業を積んだ後で、匪賊や魔物を狩り続けてきて…アップルR-12に流れ着いた事…。


一通り話を聞いてサムソンはルイーゼ達の境遇を聞いた感想を述べる。

「この世の全ての悪に復讐するってのはそういう事だったんだね。自分達のような境遇を味わって悲しむ人々をこれ以上出さない為に。」

「そ…そうよ。」

動揺しながらも、ルイーゼはこれを肯定した。

「じゃあ、こう考える事は出来ないかな?」

エアルが語り掛ける。

「人間の悪人が殺されれば、その家族や友達が悲しむ事になる。だから、捕らえられるに越したことはない、と。逆に生きて立派に更生すれば逆にその家族や友達が喜ぶ、と。」

「「「「!!」」」」

ルイーゼ達は動揺した、エアルの言葉から自分達の方が敵討ちに遭う可能性すらも想像できてしまう……。

「それで、君達はしばらくアップルR-12を離れるんだよね?」

「ええ、私達はさらに力をつける為に、城塞都市オレンジG-07に向かう。縁があったら、また会いましょう。」

リーゼアリアがそう答える。

「ああ、そうだ」

サムソンは懐から薬の瓶を幾つか取り出す。

「ヴェルデ―アと作ったものだけれど、もし復讐の為に『女』を捨てる気になれなくなったら…飲んでよ」

ルイーゼ達は薬を受け取り、こう告げた。

「そんな事があれば、ね…」


翌日の明け方までに、ルイーゼ達は出発した。

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