4人の女冒険者と競い合う
…4人の女冒険者達はそれだけ告げると、犯罪者の張り紙を1つボードから剥ぎ取って、去っていった。
エアル達がその日の仕事から戻ると、闇の職人達の工房の1つに居た闇の職人達が4人の女冒険者によって皆殺しにされ、遺体で引き渡されたという話が、紅の林檎亭の冒険者達の間では、もちきりになっていた…。
悲しい思いを隠せない顔をするマーシャを、エアルは何も言わずに抱きしめた。
それからも…あの4人は魔物のみならず、人間の犯罪者までをも殺して回っていたという。
エアル達も、あの4人に殺される前に闇の職人・闇の武闘家を逮捕して回っていた。
生活の為以外にも、出来るだけ多くの人を更生させたかったからだ。
時に臨時で他の冒険者達と組んで、魔物を討伐したり、人間の犯罪者を逮捕したりすることもあった。
そんな日々が数日ほど続いたある日、ヴェルデ―アがマーシャに語り掛けた。
「あの4人の女冒険者に少しだけ話を聞いたんだけれどね。あの4人が冒険者になった目的は『復讐』らしい。何に復讐したいのかはわからないけれど。そんな事をして何になるんだとは言わないけれど、少なくともあいつらは何時も悲しそうな眼をしている。」
それをマーシャからまた聞きしたエアルは押収した闇の職人の武具を見つめながら呟いた。
「復讐か…まさか、あの4人が、闇の職人か闇の武闘家に復讐したい…というわけでもなさそうだけれど。」
その話はサムソン、スズネとローゼンにも知れた。
「そいつらも俺に武具の作成を依頼しに来たから、名前も顔も俺は知っている。」
エアル達4人と、一緒に呼び出されていたヴェルデ―アはローゼンから説明を受けた。
赤い短髪の女戦士の名前はリーゼアリア。ローゼンには大きな斧の作成と鎧と盾の整備を頼んでいた。
魔法使いらしき女はイングリッド。ローゼンの元には仲間達の付き添いで来ただけだったが、ヴェルデ―アの所で薬を買っていた。
長身の女はアリアーヌ。ローゼンからは大きな弓と大量の矢を買っていった。
リーダー格らしき丸刈りの女はルイーゼ。ローゼンには長剣を作成させたのだが、魔法も相当使えるらしい。
「魔法戦士と、弓使い…か。」
サムソンは4人の名前と頼んだ武器などの情報を聞いて考えこんだ。
「もし、私達の味方になるのであれば、頼もしい存在になるのかもしれませんが…」
マーシャは何処か悲しそうにつぶやいた。
しかし、エアル達は、この時はまだ知らなかった。
闇の職人と闇の武闘家達がエアル達4人と、ルイーゼ達復讐の女冒険者4人に目を付けていた事を。
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