第65話 5月24日(木)読書会:佐々木編

 今日は読書会をやる前に、昼に生徒会を説得しに行くんだ。佐々木がアポを取ったらしい。では、昼休みの昼食が終わってから。

佐々木:ではみんな。これから生徒会のところへ行きます。遠足ではないのではしゃがないように。

川村:エー、遠足かと思ってトランプ持ってきちゃったよ。

助平:こんなときでもギャグを言う愛ちゃんって逆にすごい。

名取:愛。ギャグっている場合じゃないんじゃない?美子の話だと相当厄介よ。

佐々木:だけど、そこで丸め込ませてやる。

 そして、レボ部は全員生徒会室へ行った。

 佐々木はノックをして。

佐々木:失礼します。

 と言い、みんなぞろぞろ生徒会へ入ったんだ。生徒会の連中は佐々木が1人で来ると思っていたらしく、意表をつけれたので驚いているようだった。

佐々木:あなたが桜木さんでしたか。

桜木:おうそうだ。何か言いたいことがありそうだなあ。

佐々木:まあ、その前にそこの絵は見事ですね。誰の作品ですか?

松下:私よ。へえー。私の絵わかるんだ。

秋柴:まあ、立ってるのもなんだ。とにかく座ってくれ。

 レボ部は全員座った。

 まず佐々木が一言言った。

佐々木:テスト前の生徒会の公示を見ました。正直われわれに害意があると見えます。

秋柴:なに。

佐々木:最後まで聞いてください。われわれレボ部と生徒会が衝突するのは百害あって一利なしです。それよりわれわれレボ部と生徒会の対談を公示して生徒会をアピールさせる事も出来ますがどう思いますか?

桜木:(佐々木は生徒会の影響力がレボブの存在でなくなるから生徒会の妨害を防ぐためにこういう提案をしているのか)佐々木とやら。頭は相当よさそうだなあ。生徒会のアピールと言っても何だ。何をするんだ。

佐々木:生徒会が今までやってきた企画をやればいいだけですよ。僕の言うべきことではありません。我々は相手をフォローすることに長けています。生徒会をフォローできます。いかがなもんですか。

桜木:それじゃあ、どうフォローするのだ。

佐々木:企画を立てましょう。6月5日(火)にレボ部と生徒会の合同会議を開いて生徒会主催の企画を立ててはどうですか。

松下:悪くは無いわね。

山野:会長。この意見は取り入れてみるべきかと。

桜木:なるほど。レボ部の企画力は発表会で見せてもらった。生徒会主催と言うのもききにった。とりあえず、次の会議が有意義になることを期待する。

佐々木:じゃあ、そういうことなので失礼します。

 レボ部は全員退出したんだ。

桜木:まさか、ここでレボ部が乗り込んでくるとは。

山野:どうやら私たちの心をわかっているようですね。

宇野:攻撃か利用かは次の会議で決めてみたらどうか。

桜木:そうだな。

 レボ部は生徒会を一時的に抑えることに成功したんだ。

助平:佐々木。お前は今回秀吉かと思ったぞ。俺は。

秋山:いや、竹中半兵衛じゃないか。

神山:私は孔明ぐらいじゃなかと思ったよ。

長崎:美子ちゃん。孔明は言いすぎだ。せめて徐庶ぐらいだろ。

名取:でもたいした外交術ね。今まで江藤先生や校長を丸め込ませてきただけあるね。

佐々木:まあ、任してよ。大船。いや豪華船に乗ったつもりでいてくれよ。

助平:いや、ここまでくると戦艦だな

佐々木:そこまで言われると照れるなあ。

名取:佐々木君。知らないの。今、佐々木君のほめ殺し大会が始まっているのよ。

佐々木:あの、それは、今日の読書会が終わってからにしない。

名取:それもそうね。今日は佐々木君が最初だからね。それからほめ殺し大会ね。

佐々木:あの、槍に“ほめ”って書いて刺し殺したら本当にほめ殺しになるからそれはやめてね。

助平:佐々木も言うようになったなあ。

佐々木:じゃあ、みんな、放課後に集まろう。

 そして、昼は終わり、午後の授業中もはじけて放課後になった。

佐々木:では、これから俺の読書感想会を始めます。俺が選んだのはアンドロイドワールド(小幡信一:ペンネーム:深沢恭介)で、テーマは、科学は人類を超えてしまうのだろうかということだ。

川村:それってどういうこと?

佐々木:人間が生み出した科学の1つのアンドロイドは人間を超えた能力を身につけていて、政治、経済を支配していくのではないかという話とはちょっと違うんだけど、そういうニュアンスも含んでいる。実際はここに出てくるアンドロイドは政治や経済は動かしたが、すべて人間のためだった。それが出来たのは科学者アシモフが人間のために生きることをプログラムしたことだ。このプログラムも興味深い。そして、アシモフの死も興味深い。精神分裂病で死ぬそうだ。最近、精神コントロールがきかないと言う病をよく耳にするけど、アシモフもそうなったらしい。作者は何でこういう設定にしたのかも興味深い。あと、アンドロイドフェスティバルのギャグ、これはレボ部も取り入れるべきだね。クイズネタだね。今日はこのアンドロイドワールドという本を元にテーマにしたいのは、科学は人類を超えるか。ということかな。みんなどう思う?

名取:実際に起こったら人類にとって脅威よね。

佐々木:その小説の設定では人間社会の中で、行き場の無くなったアシモフアンドロイドは宇宙に去る設定になっていた。その後、ハイゼンアンドロイドというのが出来て、人間と戦争して、人間を支配している。

阿曽部:アンドロイドワールドの設定って言うのは化学と人間の差を明確にしたものだと思う。科学は万能で、人間は未完成ということで、人間の悪しき感情がハイゼンアンドロイドを怒らせて支配されたんじゃないかなあ。

佐々木:阿曽部は発想が豊かだなあ。俺もそう思う。アンドロイドは一種の人間の完成版だ。だが、ハイゼンアンドロイドには人間を支配させるしかなかったのだろう。アシモフアンドロイドと性格を分けて描いたことは作者がよく考えた場面じゃないかなあ。

助平:アンドロイドはHはしないのか。

佐々木:そこも興味深い。アンドロイドの場合は子供を生まないから必要ないみたい。ただ、人間には必要だと感じているようだ。

長崎:結局どういう話かもう一度簡単に説明してくれ。

佐々木:ごめん。先に内容がいってしまった。まず、アシモフという博士が人類の役に立つように永遠の希望という意味を持ったサンエバーという名前のアンドロイドを作った。そのサンエバーが主人公。そして、サンエバーを中心にアンドロイドが社会で活躍していくのだが、アシモフの死後、後ろ盾を失ったアンドロイドが人類とのひずみを感じ、自己処理できなくなっていく。さらに、人類はアンドロイドを道具扱いしているところにアンドロイドは悩む。アンドロイドも自分は生命だという主張が生まれ、結局人間社会との折り合いがつかず、宇宙へ去っていく。そして人類はアンドロイドがいなくなったところでまたアンドロイドを作るという決断をする。しかし、新しいアンドロイドとの戦争が起こり、人類は敗北する。そこに旧アンドロイドが登場して、人類が旧アンドロイドと宇宙で生活するか地球で生活するかというところで話は終わっている。続編は今のところ無いらしいが、書いたらどうなるのだろうか。人類が表舞台に出ないから書けないと俺は思っている。みんなはどう思う。

朝霧:確かにロボットは頭がいいよね。というか頭がよくなきゃやっていけないよね。

神山:でも、佐々木君は見事に作者の意図をつかんでいる気がする。

長崎:もしアンドロイドが出来たらこの世はどうなると思う。

助平:俺はアンドロイドも大事にすれば問題ないと思う。道具ではなく生き物として扱うべきだということから何かを作者は伝えたいんだと思う。

前田:私は、その何かというのは、アンドロイドのように有機物じゃないものもすべて生命だといいたいんじゃないかなあ。そして、生命は衝突すると破壊を産むことが言いたいんじゃない?

佐々木:久美ちゃんも鋭いねえ。後意見のあるものは・・・・・・。

 という感じに話が進んでいったんだ。これだけだけど、みんなアンドロイドワールドの興味持てたかなあ。ここだけの話だけど、レボ部と作者が同じなんです。みんな興味持ってください。って思わず宣伝してしまいました。さて、今日のラストに入ります。

佐々木:結局、アンドロイドが入れば生活は豊かになり人間は自由になるのは確かだ。そこで人がアンドロイドを大事に思うかどうかがこの話のネックみたい。作者の予想はアンドロイドは道具扱いされたり、嫉妬されたりするみたいだが、俺はアンドロイドならそういうことはうまくかわせるのではないんじゃないかなあ。

川村:でも、それは人間の立場なら出来るけど、アンドロイドの立場は微妙よ。だけどあういうアンドロイドがいれば私はうれしいなあ。

助平:これで結論は出たんじゃないか。アンドロイドも生命として大事に扱えば人間社会は自由になるって。

佐々木:じゃあ、助が言ったことが今日の結論になりそうだ。異議のある者はるか。いないならどういう話をしようか。

阿曽部:ロボットについて話さない。せっかくだから。

助平:それはいいね。

阿曽部:みんな、ロボットの思考原理と行動がマイナスの遮断だという事はわかる?

朝霧:どういう意味?

阿曽部:ロボットというのは思考回路と行動分野が別で、思考回路ではマイナスを考えるけど、行動になるとマイナスの意思系統が遮断されて、異常な動きをしないというわけ。実際にこれを考えたのは精神病といわれている人みたい。その人が自己分析をして、思考系統には異常はあるけど、行動には異常がない。ことから思いついたらしい。

助平:へえー。そんな人っているんだ。

神山:私もその人の話を知っている。で、病の原因は霊なんだって。だから自己分析ができるのよ。本当は病気じゃないんだって。症状が出てるだけらしい。本当に病気だったら自己分析はできないからね。

佐々木:その人すごいなあ。自分の精神構造からコンピュータの原理を思いつくとは。

神山:だって、その人、アンドロイドワールドの作者よ。コンピュータのことぐらい考えるに決まってると思うよ。

佐々木:え?その人病人でも小説書けるの?

朝霧:病人だからかけるんじゃないかなあ。

佐々木:でも、アシモフは精神分裂病だったよな。・・・・・・。ありうるかもしれない。

名取:私、精神病について研究してみたい。

神山:静香ちゃん。やめた方がいいよ。精神病の人の気持ちはその人にしかわからないよ。私は瞑想するとき霊を使うの。だけど変な霊が入ってくると精神コントロールが効かなくなるんだ。だから私はその人の気持ちがわかるだけ。

佐々木:美子ちゃんは特殊だよな。

前田:まさか、アンドロイドから霊の話や精神病の話が出てくるとは思わなかった。

名取:でも、私、それを聞いたら精神病の人を研究してみたくなったよ。

神山:静香ちゃん。それって精神病の人を見下しているでしょ。他の人とちょっとの違いで病気になっている運の悪い人たちだらけなのよ。運がなきゃ病気にならない人だっているんだから。

名取:そうなんだ。

神山:本来なら、カウンセリングレベルでなんとかなる場合が多いのよね。ただ、気づく医者がいないだけ。しかも、現代のいやは病院の気持ちを考える人は少ないからね。というか、症状を経験しないからわからないのが実態なのよ。

阿曽部:へえーっ。さすが美子ちゃんだね。精神の病ってコンピュータで言えばバグリみたいなものかね。僕の勘だと、その人はマイナスの遮断が多すぎてバグリが溜まって思考回路まで自分と機能停止に追い込もうとさせたのだと思う。コンピュータはバグルと機能停止になるからね。

神山:へえー。阿曽部君ってそんなこと考えていたんだ。単なるオタクじゃなかったんだね。

亀山:人の精神って深いんだね。その人頭がいいのに何で病気なのかなあ。

神山:頭がいいからよ。で、その人、私の瞑想だと、支えがない状態。でも、治るのは単純、彼女が必要なだけ。

朝霧:その人って新人類?

長崎:朕は美子ちゃんの言うとおり、ちょっとの違いの連続、つまり、運のなさの連続で病になっちゃったと思う。だけど霊については朕はわからない。

神山:わかる人にはわかるんだけどね。

佐々木:いやあ、有意義な話だったな。明日はチャングムの話だから医者についての話になると思う。静香ちゃん。明日はたのんます。

名取:佐々木君。まだ時間が十分にあるわよ。

佐々木:そうだなあ。どういう話がみんないい?

 と、様々な話が出て今日は終わったんだ。明日は静香ちゃんの番。医者の話が出てくるのは予想できると思う。レボ部がどう考えているのかお楽しみ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る