魔王の消えた世界で

一ノ清カズスケ

勇者と僧侶

前半

 「では、教会に行ってきますね。」


 玄関のドアノブに手を掛けて女が言う。

 高位の司祭が身に纏う法衣を身に着けており、その布地には長い期間の着衣による糸のほつれや袖の破れ、そして戦いによるコゲや引っ掻き跡がある。


 部屋を唯一明らしていたカンテラを手に持つ。


 彼女の長い睫毛と青い瞳、水色の髪が仄かな温度とともに照らされる。


 「今日くらいは、俺も一緒に・・・・・・。」


 イスに座っていた男がテーブルに手を付きゆっくりと立ち上がる。

 テーブルを支えにして、ズッズッと足を床に擦らせながら彼女の方へと歩いていく。


 が、テーブルから手を離した瞬間に足から崩れ落ちた。


 「勇者様っ!」


 あわてて彼女が駆け寄り、彼の体を支えて元のイスへと座らせる。


 「私ならば大丈夫です。なので、勇者様はお休みになられてください。」


 彼がわかった、と呟き俯いて唇を噛む。


 足がプルプルと震えテーブルに手をついているが、その体がイスから離れることは無かった。

 

 彼のその様子を見て、彼女が何度目かの後悔の念を抱く。


 あの時、兵士から逃げるときに彼が負った怪我。

 魔物の相手であれば数えきれない程の数を倒し制してきたが、人間相手に彼は戸惑い、結果として大怪我を負った。

 彼女の僧侶としての役割、治癒は勿論試みた。

 だが、かつて教会から聖女と持てもてはやされた時ほどの奇跡はできず、結果として今の彼の体となってしまった。

 

 その服の下には、その時に負った刀傷やアザがあるのだろう。

 

 「では、いって来ますね勇者様。」


 それらが怖くなり、彼女は彼から目を背けるようにして玄関から外へと出た。



 閉まりの悪い扉を何度か開け閉めし、しっかりと閉じた事を確認してから横の薄暗く細い道へ入る。

 カンテラを置き脇に抱えた袋から服を取り出す。

 

 服と言っても、それは外気を遮断する服であったり着心地の良いものであったりではない。


 白い下着の様な胸当てと細長い布。

 身に着けていた法衣を脱ぎ、それらへと慣れた手つきで着替える。

 

 胸はきつく両側から締められ、布地から出ている谷間が縦一文字に出来上がる。 

 布に至っては、前掛けのように腰から前と後ろに垂れ下げているのみであり、強い風でも吹けばめくれ上がりその下が見える仕組みとなっている。

 そして香水をシュッシュッと足元に吹き付け、自らの体を見渡し匂いと姿を確認する。


 劣情れつじょうを煽る自らの姿がそこにはあった。

 その様子に頷き、カンテラを持ち着替えの入った袋を脇に抱え、いつもの場所、町の出入り口へと向かう。

 

 もうそろそろ雪が降り始める時期であるのに加え、布地の極端に少ない服であることから彼女の肌に鳥肌が立ち、それに気が付きその部分を素早く擦る。

 そうしてかかとのすり減った靴で砂利道を蹴りスタスタと、腰の布を抑えつつ走ってゆく。

 

 すれ違う人からは酒気の臭いがし、道で横になってイビキをかいている者もいる。

 それらとすれ違うたびに彼女の姿を目を見開いて視線で追う。


 静かな夜の町。

 昼間であれば喧噪けんそうと人々の歩く足音、店やそこの店主の大声、時には盗賊を追いかけるべく叫ぶ人物それらがあるが、今はそれらが無く、そのあたりの小石を投げつければその音の反響が空にまで聞こえそうなほどだった。


 そして、彼女が町の出入り口へと到着する。


 すぐそばにある宿屋からはまだ人の声と人の出入りがある。

 町の出入り口である門の両側には高い燭台しょくだいが立っており、町へ来るものと出てゆくものを暖かく見守っている。

 

 彼女がいつもの定位置に立ち、宿屋から出る人と町の門とを交互に見る。


 宿屋から出てくる人物の殆どが彼女の事を横目に何度か見ながらも町の中へと歩いてゆく。

 二人、三人で出てきたときは彼女の事を見てヒソヒソと仲間内で話しながら彼女の目の前から姿を消してゆく。


 ふぅ、と溜息をつきぼうっと空を見上げる。


 今日が寒いというのもあってか、綺麗な星空がそこにはあった。

 魔王討伐の為の冒険の最中に見た中でも、美しさで言うのならば指折りの綺麗な夜空だった。


 彼と一緒に見たかった。

 そう思ったものの、今の格好とこれからすることを思い出しその思考を押し殺す。


 再び宿屋と門とに視線を戻す。

 機械的に視線運びをした末、全身に鎧を身に纏った戦士らしき者を見つける。

 その者は、門からやってきて宿屋へと入ろうと歩いている。


 身に着けている物は入念に鍛えられた鋼の鎧と程よい装飾のされたさやと柄。

 そして脛当すねあてまであるグリーブを足に履き、金銭的な問題から殆どの冒険者がおろそかにしがちな装備である盾を持っている。


 彼女が狙いを定める。


 口角を違和感のないように上げ、腰をくねらせながら一歩、また一歩とその者に近づいてゆく。


 炎でチロチロと光る白い肌に、柔らかそうな2つの実。

 そして見てはいけぬとチラチラと腰の布を見て、その一枚奥の景色を想像し体がいきり立つ。

 ありとあらゆる所が男の目には扇情的せんじょうてきに見えた。


 彼女の接近に目を開き、その者は生唾を飲み込んだ。


 「ねぇ、お兄さん。私の事を買わない?」


 媚びたような声でいつものセリフを喉から出し、男の肩に手を置く。


 ふわりと漂う甘ったるい色香が彼の思考を奪い取る。


 「か、買うって・・・・・・?」


 「エッチで気持ちいいこと、私としない?」


 肩に置いた手をツーっと彼の体を這わせ、下へ下へと動かしていく。

 焦らす様にゆっくりと、亀の歩みのようにゆっくりと体を這わせる。


 「ここを一杯気持ちよくしてあげる。」


 股間の辺りで手を止め、そこを指で囲む。

 鎧を身にまとっているにも関わらず、その体がブルッと震えた。


 

 宿屋の一室。

 その一角には鎧と服、下着が乱雑に積まれている。


 胸当てだけを外してベッドに仰向けになり、手前の布を右へずらした格好の女が一人。

 裸体でそこへ己の物を刺し、腰を動かすガタイの良い男が一人。

 

 にゅぷにゅぷと水音が、パンパンと肌がぶつかり合う度に響く。

 彼女の身に着けている服の装飾がぶつかってカチカチと鳴る。


 ふーっ、ふーっ、と息を荒げて男が彼女へ腰を打ち付ける。

 最初こそは気遣うような腰使いであったが、その身に受ける快楽には抗えず自らを見失い、今では激しく手前から奥まで全部を味わうように、かつ乱暴に動かしている。

 

 その両手は彼女の両胸へと伸びており、鷲掴わしづかみにして揉んでいる。

 ゴツゴツとした五指が胸へと沈んでは浮かびを繰り返している。

 

 時折その手の動きに連動して彼女の顔が歪むが、すぐさま快感に浸っているであろう顔を作り、口角を上げる。

 

 次第の腰の動きが速くなっていき、息使いが荒くなっていく。


 「あん、あっ・・・・・・はぁ、はぁ。」


 頃合いだと見計らい、目の前の険しい表情で腰を振る男に察せられないように喉から機械的に喘ぎ声を出す。

 口角も僅かに吊り上げ、目を細める。


 その彼女の声に男の体が反応し、快感がより大きくなる。 

 

 「な、中でいいんですか?」


 「はい、どうぞ。」


 傍の机に積み重なった金貨10枚を見て、彼女がそう口を動かす。


 彼の体が彼女へと覆いかぶさり、その顔が彼女の傍へとやってくる。

 見まいと視線をずらしていたため思わず表情を崩しそうになるが、口からの喘ぎ声に深呼吸を挟み平静を取り戻す。


 胸を揉んでいる手が移動し、彼女の体の両側へとそれぞれ付き、その体を拘束する。

 ベッドのシーツが沈みギシ、ときしむ。


 そして。


 「つぅ・・・・・・!」


 ドッと彼女の中に温度のある液体が注がれ、そこを一杯にする。

 男が体に溜め込んだ快楽を逃がすようにビクビクと小刻みに震えている。


 「うっ・・・・・・あぁ・・・・・・ん!」


 体に異物が入ってきたことにより体がビクリと反応するが、それを押し殺し一層大きな嬌声きょうせいを上げる。


 はぁはぁと肩で息をしながらそのままの姿勢で男が「気持ちよかったですか?」と尋ねる。


 その言葉を聞き、彼女は体の意思を律し未だに快楽の悦に浸ったような顔でこくりと頷く。


 そして彼女の中から男の肉棒がゆっくりと離れてゆく。


 抜かれたそこからは彼女の匂いを上書きするほどの臭いを発した白い液体が溢れ出る。

 ドロリと肌を伝うその感触に悪寒し、彼女が身震いする。

 

 

 「急がないと。」


 空を見上げると星が消えて白み始めており、家にいる彼の身を案じいつしかその足で素早く地面を蹴っていた。

 宿屋から出た彼女は駆け足で来た道を遡る。


 その胸を揺らし、下の布が捲れないよう歩幅を抑えつつ速度を上げる。

 時折、下腹部のヌメりと先ほどの出来事、家にいる彼の顔が浮かび、口に酸っぱい液体が喉の奥より逆流する。

 それを飲み込み、速度を落とさずに帰路を行く。


 道行く道からは人の足音や扉の開く音、鍛冶屋のある方角からは槌で何かを叩く音がし始め、町がゆっくりと覚醒かくせいしてゆく。


 姿を現し始めた太陽を背に、彼女が大通りから裏路地に入ろうとすると昨日までは無かった看板に目が留まる。


 [王の命により、この者らを見つけたら衛兵に。見つけた者は金貨50枚。]

 

 そんな文章の下に四人の似顔絵と生身が書かれており

 

 「とうとうこんな所にまで・・・・・・。」


 その中には彼女自身の名前と似顔絵が描かれていた。

 その横には家にいる勇者のもある。


 「えっ!?」


 不意に大声を出していまい、周囲をキョロキョロと見渡す。

 近くに衛兵は勿論、人すら居ないことに安堵あんどする。


 勇者と僧侶の下の、盗賊と魔法使いの似顔絵に大きくバツが描かれている。

 我が目を疑い何度も瞬きをするが、その光景に変化はない。


 まさか、と思い彼らとの冒険を思い返す。


 盗賊は手癖てくせが悪く、隙を見ては他三人の荷物をくすねてからかうという癖があったが頭の回転が速く、そして冗談をよく言う人物だった。

 仮に追い詰められても身のこなしがあるのだから、捕まるなんて事は・・・・・・。


 魔法使いは彼女と年が近く、よく魔法や町の雑貨屋について話し夜を明かした記憶がよみがえる。

 プライドが高く、悪を許せない性格だったせいもあって盗賊とはいつも喧嘩をしていた。

 だが、いざとなったら自慢の灼熱の呪文と氷を駆使した呪文と、盗賊の早業はやわざ剣舞けんぶとのコンビネーションは息を呑むほどに綺麗で、彼女の心を奪った。


 あんなにいい人なのに、死んでしまうなんて事は・・・・・・。


 なんにしろ、あの二人に何かがあったに違いない。


 そしてそれを知らせる看板がここにある。


 ここも危ない。


 脇に抱えていた袋を両腕で抱え、口元を隠す。


 先ほどと比べ速度を落として歩き、彼の待つ家へと歩いて行く。


 そうして、一つのボロ家の前に辿り着く。


 そこの横の太陽の光が入らず薄暗いままの道へ入り、身に着けている衣装を脱いで元の法衣へと着替える。

 腕を近づけ自らの臭いを嗅ぎ、あの男の臭いと香水の臭いがしないかを確認した後に、そのボロ家の扉を開く。


 ギィ、と軋む音を上げながらゆっくりと開いてゆく。


 「っ!誰だ・・・・・・?」


 彼女の手にした明かりがその声の主をうっすらと照らす。


 「ただいま戻りました。起こしてしまってごめんなさい。」


 彼女が扉を閉じ、その明かりをテーブルに置く。

 

 「今日はありがたい事に、多くの方が懺悔ざんげに訪れてくださいました。」


 そう言ってそこへ先ほど得た金貨を置く。


 「お前に世話になってばかりだな・・・・・・。」


 彼が手に構えていた剣を元の位置に戻し、再び横になる。

 かつて魔王を打ち倒した栄光の剣も、今では王国に害をなす反逆者の所持品へと成り果てていた。


 宿屋の白いベッドを目にしたばかりの彼女の瞳に映る、薄汚れて不潔感の漂うベッド。

 

 「いいえ、勇者様には今までに何度救われたことか・・・・・・。」


 彼女がその傍へ行き、彼の顔を見る。

 その顔はすっかりやつれており、目は充血して赤くなっている。


 日々の逃亡生活により彼の鋭い感覚は魔王討伐の旅の時よりも研ぎ澄まされ、今ではほんの小さな物音にも反応して意識が覚醒してしまう体となった。


 食事も勇者として持て囃されていた頃は倒した魔物の戦利品を換金しては、町へ行けば出来立てのきつね色のパンに塩の効いた暖かいスープ、噛み切るのに一苦労する程の肉厚のステーキなどを食べられた。


 だが、今はコソコソと人通りを避け、そこに構えてある店で買えるもので飢えを凌いでいた。

 カチカチのパンに下水道のあたりを走っていたのであろうネズミの肉と濁った水。


 彼の肥えてしまった舌にそれらの異物は受け入れられず、最初の頃は何度も吐き出した。


 そんな日々を繰り返していたせいで彼の体はあの時よりも弱り、付いていた筋肉は痩せ骨が浮き出ている。


 「俺たち、世界が平和になると信じて・・・・・・魔王を倒したんだけどな。」


 彼が呆然と手を伸ばすと、窓から朝日が差し込みその手を照らす。

 

 魔王を倒した彼らは王国へと戻り、国王へ謁見を行った。

 魔王が消え、これから魔物の数が減り皆が平和に暮らせるようになる、と伝えた。


 彼自身が夢見た平和な世界になる。

 その未来を勝ち取った彼は満面の笑みを湛えてそう確信した。


 そのつもりだった。


 次の瞬間、彼ら4人は城の衛兵に抑え込まれる。


 突然の事に頭が追い付かずなぜ、と彼が尋ねると王が口を開く。


 この国へ不利益をもたらす罪人を裁く、と。


 王が言うには、魔王の存在によって冒険者というものが生まれ、国の宿屋や武具屋に道具屋、その他大勢にうるおいをもたらし続けている冒険者。

 お主らはそれを途絶えさせる原因を作り出した者らと。


 つまり、魔王の存在など関係なく、彼らは最初から利用されていたということ。

 そして、魔王討伐など為せるなど一切考えておらず、それまでに死んでも構わないと思っていた事。


 彼の全ての行動が無に帰した瞬間であった。


 表立っての処刑は体面からできず、秘密裏に処刑を行うべく彼らが連行されようとした時、隙を見て盗賊と魔法使いがおとりとなる。

 僧侶と勇者は辛くもその城を脱出し、城下町を掛け抜けた。


 その道中の町の掲示板には魔王が倒されたという吉報は一つもなく、「魔王を討伐する冒険者を募集中。」との張り紙が彼の目に焼き付いた。


 彼は状況を理解した。

 自分たちの存在は消されたと。


 日の光に照らされた薄汚れた手を彼女が両手でそっと握る。


 「私にとっては、いつどんな時も・・・・・・貴方は私の光です。」


 教会で聖女として持て囃され、毎日を神への祈りで過ごしていた彼女を照らした光。

 本で文字と絵でしか触れられなかった動物のふわふわな感触と海の青などの様々な色を見せてくれた人。


 冷や汗を流したり血を流すような苦しい瞬間もあったが、彼女は彼と共に旅をしてきたことに一切の後悔は無い。


 その時、勇者の腹の虫が鳴った。

 彼が空いている手で額を掻き苦笑いを浮かべる。


 「じゃあ、私朝食の買い物に行ってきますね!」


 そう言って彼女が彼の手をゆっくりと彼の腹へ置くと、玄関の扉を開けて外へ出た。


 

 「足の具合はどうですか?勇者様。」


 彼女が治療魔法の手を止め、顔を上げる。


 聖女だった頃であれば今見える傷跡も一切残さずに、尚且なおかつ瞬く間に治療ができたが、今の彼女にそのような力はなく、毎日少しづつそれを治療する他無かった。

 塞がった傷跡は赤黒い色をしており、そこが今にも開いてしまいそうな錯覚に彼女が陥る。

 

 椅子へ座っている彼が足を伸ばしては曲げを何度か繰り返す。


 「歩けそうだ・・・・・・。体いいか?」


 はい、と彼女が彼の体に密着させ、肩に手を回す。

  

 椅子から腰が上がり彼が両足を地に着ける。

 怪我を負った方の足はまだ細かく震えているが、それでもその怪我が快方に向かっているのは明らかだった。


 「もう大丈夫だ。」


 彼女が頷き、手と体とを彼から離す。


 2,3歩彼がゆっくりと歩く。

 一歩ごとにその顔が歪み、まだ足を引きずっているが、それでも何の支えも無しに歩けるまでに回復を果たした。


 「よし・・・・・・走るのは無理そうだが、これで歩けそうだ。」


 その顔に生気が戻り、笑みを浮かべて彼女を見る。


 「ありがとな。」


 「い、いえ・・・・・・。怪我を負わせてしまったのは私の責任でもありますし・・・・・・。」


 彼の真っ直ぐな視線を向けられ、思わず視線を下へと逸らす。


 彼がイスへ再び腰を落とし、長い息を吐き出す。


 「そういえば、ここの町はまだ大丈夫なのか?」


 「危ないと思います。町の看板に私たちの似顔絵がありました。」


 彼女が昨晩見かけたあの看板を思い出す。


 そうか、と彼が溜息を付きその両足を見る。


 こんな状態では満足に剣も使えないだろう。

 戦闘に起こりえる前に事を起こすならばしなければいけない。


 前にこの町へ訪れた時の事を思い出し、町の造りを思い出す。

 常駐している馬車があった筈、と思い出し忘れぬよう頭の中でその事を何度も反芻させる。


 そして思い出す勇者だった頃の旅。

 

 ここが盗賊との出会いの場であった。

 下水道を活動拠点にしている盗賊の一団。そこに狙われて所持金と剣を盗まれたことをきっかけに盗賊と出会った。

 魔法使いが炎の呪文をその盗賊らの拠点で乱発したり僧侶がそこの頭に向けて窃盗の悪を聖書を片手に半日掛けて説教したりなどとトラブルもあったが、今となっては彼の中で良い思い出となっていた。

 

 「あの二人と早く合流しないとな。」


 「そう・・・・・・ですね・・・・・・。」


 あの時彼女が見た似顔絵と、それについた×印。

 彼が町を歩けば知る事実だが、それを彼女は口に出す事が出来なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る