第10話『ラブコメに修羅場はつきもの!リア充死ねぇぇぇぇ(自重』

「突然だが今日は転校生がいる」


朝のホームルームで先生は唐突にそう言った

多少のざわつきと今更感をだす

なぜ高校三年にもなって転校生?

と思ってるとツインテールの女の子が静かに入ってくる

凄く青ざめて汗をかいている。緊張してるのか?


「○○高校からこの第三付属高校に転校してきた、八坂藍(あい)さんだ。さあ八坂さん自己紹介して」


八坂と呼ばれた女の子は俺たちの視線にビクビクしながら

自己紹介をしようとする


「や、やさ、八坂藍、です、よろしくお願いしましゅ」


最後の最後に噛んでしまった八坂さんは

青かった顔を一気に赤くする

そしてそのまま全速力で逃げていく

あー、当分来ないだろうなぁと他人事のように思ってると


「全く、金華山、ちょっとあいつの様子見てきてくれ。どうせ保健室だから」


「はっ!?どうして俺が!」


「さっさといけ」


先生の手荒いパシリを受け俺は仕方なく教室を出て保健室へ

俺はそーっと保健室のドアを開けると

ベットの上で三角座りしている八坂さんを見つけた


「うぅっ・・・・せんせぇ・・・・・やっばりボク無理だよぉ・・・・」


俺のことを先生かと思ったのか振り向きながらそう言った

しかし先生じゃないと気づいた八坂さんは

ピギャー!とか叫びながら隅っこまで逃げてしまう


「えっと・・・・八坂さんだっけ?なんかごめんな」


「ああああなたどどどどうじでごごに」


泣きながらのせいか

全ての語句がよく聞き取りにくい

俺は後ろ髪をかきながらとりあえず近づく

ひぃ!と叫びながら後ずさるが隅っこなので逃げ場はない

俺は出来る限り八坂さんに近づく


「そんな怖がることないって。安心しな」


俺は何言ってるんだろう、と思いつつも

小動物のように震えている八坂さんの頭を撫でる

するとツインテールの髪両方がピンと上に立つ


「ななななにをを!」


「大丈夫、皆あったけぇから。もし虐められても俺が守ってやる」


「・・・・ほ、本当?」


泣き目の上目遣いをする八坂さんは

俺の心の臓がどきりとする

この子、普通に可愛い

いやいやダメだダメだ。俺には結城さんがいる

煩悩を振り払いどうにか自然な笑顔を作る


「だから教室に戻ろう。な?」


「・・・・わかりました・・・・そこまで言うのなら」


人見知りで不思議な女の子八坂藍さん

この子が後々あんな修羅場を起こすなんて

俺はまだ知る由もなかった

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