第3話『デートマニュアル』

駅によくある店を周り、結城さんが目をつけたのは

やはり図書コーナーの場所だった

意外と結城さんのテンションは少し上がり

そそくさと単独行動を始めようとする

俺も結城さんがどんなの読むのか知りたいためついていく

推理ものだったり恋愛ものだったり

いろんなジャンルを取っていく


「色々読むんだな」


「あなたは小説読まないの?」


「俺は文学好きじゃないからね。あ、どうせなら買ってやるよそれ」


「・・・・気が効くのね。ありがたく受け取っとくわ」


それだけ言ってまたそそくさと行こうとする結城さん

こういう時は手を繋ぐといいって女神様が言ってたよな


「結城さん、はぐれるといけないから手繋ごう」


俺はそう言って手を差し伸べる

結城さんは普段より目を鋭くしてから

俺の手を掴んでくれる

手が震えてて若干握力をかけてくるので緊張してるのかな?


「そんなに緊張しなくて大丈夫だよ。ほら行こうぜ」


俺は顔を真っ赤になるのを抑えつつ先導する

嫌そうな顔してないかな?と思いちらっと結城さんの顔を覗くと

意外にもかなり顔を赤くして目はかなり泳いでいる


「結城さん?どうしたの?」


「へ?い、いや、な、なんでもないわよ」


「いや顔真っ赤じゃん!大丈夫?」


「大丈夫だから!これ以上はやめて!」


初めて聞く叫び声に俺も近くのギャラリーも驚く

結城さん、こんな叫ぶことあるんだ

こんな赤面するって、もしかして・・・・


「風邪でもひいたのか?」


俺のその言葉に結城さんの表情はどんどん白くなる

あ、いつもの結城さんだ、と思ってると急に「馬鹿!」と罵られる


「な、なんだよ急に!」


「あなた、鈍感ね。流石だわ」


いつもより冷たい目をしながらどこかへ行ってしまう結城さん

俺・・・・まずいことしたかな・・・・

俺は罵られた勢いでそのまま座り込む

んー、なにがいけなかったんだろ・・・・

と思ってると俺の目の前に手のひらが出てくる

顔を上げると帽子を被って髪を抑えている女神様がいた


「なにしてるのよこんなところで。目立つ」


「女神様ぁー俺なんか悪いことしたかな?」


「彼女に罵られたんなら謝りに行きなさい」


「なんで分かるんだよ!まさかストーカー!?」


「普通に聞こえたのよバカ」


「あ、謝りに行けばいいんだな!行ってくる!」


「あ、ちょっと!どこにいるのかとか理由分かってんの!?・・・・行っちゃった」


駅の中をずっと走り抜け

ようやく最初の待ち合わせ場所にいた結城さんを見つけた

珍しく本を読んでいなく、ぼーっとしている


「結城さん、ここにいたんだな」


俺が話しかけると小動物のように怯えながら振り向く

いや、なんでそんなに怖がってんだよ

立場逆じゃない?気のせい?


「さっきは悪かったよ、傷つけちゃったかな?」


「あなた、その台詞は私の台詞じゃない?」


「どんな時でも、男は黙って謝るべし!」


おれは潔く頭を下げて結城さんの反応を伺う

恐る恐る顔を上げると結城さんは

涙目で笑っていた。初めて見るその表情にどきりとする


「ほんと、あなたって変な人」


「ど、どういう意味だよ!てか涙拭いてくれ〜!」


「私の勝手なお願いに付き合ってくれたのに、どこまでも勝手にしちゃって、もうダメなのかなって思って。でもあなたが変な人で助かったわ」


「褒められてる気がしねぇ・・・・ていうか今更だけどなんで俺だったの?」


俺のその言葉にギョッと驚き戸惑う結城さん

少し赤面してから放った言葉は俺からしたら驚愕ものだった


「あなたが気になってたから・・・・なんとかならないかなって」


「えぇぇぇぇぇ!?俺が!?そーなの!?」


「ちょ、ちょっと静かにしてよ!恥ずかしいじゃない!」


「な、なら尚更、このデートを続けねぇとな!ほら行くぞ」


俺は笑顔で言ってから手を差し伸べる

結城さんは少し躊躇ってからその手を握ってくれた




「ったく。私が見とかなきゃダメなんだからあいつは。でも分かってるのかな、自分が性格好かれても友達いない理由。ま、我が弟なら大丈夫だろうけどまだ見張っとくとしますか」


姉雲母はそんなことを呟いてから帽子を深く被りまた歩みだした

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