第2話『デート準備は早くしようね?』

「なんてこったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」


俺はタンスを探りながら叫びまくる

ない!ない!どこにもなぁぁぁーーい!

俺のお気に入りのポロシャツがどこにもない!

初めてのデートはこれで行くって決めてたのにぃ!


「あんたうるさい。なにしてんの?」


「おお我が女神様!俺のお気に入りのポロシャツ知らんか?!」


「・・・・母さんがもうちっちゃいからって捨てたはずよ」


「なんたることを!神から天罰が下ろうぞ!」


「確かあんたに聞いてたはずよ。ゲームしてたから上の空だったでしょ」


「なんなら助けてくれよ女神様ぁぁぁー!」


「ひっつくな鬱陶しい!!!ライブにでもいくの?」


「ライブならもうちょっとカッコいい格好で行きたいさ!」


しばらく怒鳴り声の言い合いが続き

俺も女神様も息切れ半端ない

この女神様、もとい俺の姉 雲母(きらら)は

その名の通り見た目がかなりキラキラしている

言葉に多少の乱暴さはあるものの

容姿のお陰でそれがいい!とかいうやつがいる

もちろん女神様に彼氏を作るつもりはない、らしい

男女問わず色んな人と仲がいいので

都合のいい時はこうやって女神様と呼んでいる


「ふぅーん、あんた彼女出来たんだ。うける」


「うけるだけで終わらせないでくれよ!どうにかしてくれ!」


「父さんの服どれか借りれば?」


「親父のセンスを見てなおそれが言えるのか?」


「父さんのセンスは世界一!」


「それはワーストのほうだろ!」


親父の服を借りようにも

マジで今の会話のように服のセンスは皆無である

服全体に象の顔が写ってる顔のTシャツを買ってきて

見せびらかした時はマジで家出しようかと思った


「別にあんた他に服がないわけじゃないでしょ?」


「そーだけどよぉ・・・・折角だしお洒落したいじゃん?」


「なら、その彼女に選んで貰えばいいじゃない、どうせ無計画なんでしょ?」


「さすが女神様!ほんと最高っすわーー!」


「・・・・あんたよく友達も彼女もいるわよね」


〜翌日〜


集合五分前に駅に来ると、すでに結城さんは来ていた

相変わらず読書をしている

この綺麗な人が・・・・仮だろうけど彼女なのだ

緊張してきた・・・・トイレ行こうかな・・・・


「そこで視姦なんていい度胸ね」


「ふぇあが!気づいてたなら挨拶くらいしろよ!」


「来る方が挨拶するのが普通じゃない?」


「・・・・はい」


結城さんはちょっとした溜息をついてから

本をバックにしまい俺を見る

どうやらどこに行くのか聞きたいようだ

俺は情けないようにしながら頭後ろをかく


「いやぁ俺もお洒落したかったんだけど、母さんが捨てちゃってさ、俺の服を選んでくれないか?」


俺の質問に下から上までジロジロ見始める結城さん

こんな綺麗な人に見られるなんて滅多にないので

あぁ、今すぐにトイレに行きたい


「別にダサいわけじゃないからいいと思うけど」


予想外の言葉に「本当!?」と聞き返してしまう

少しびっくりした顔をした結城さんは

咳払いをしてから頷く

お洒落と言われてないが少し鼻の下が伸びる

これならトイレ行かなくて済むぞ〜


「そういえば結城さんも結構お洒落だね、自分で選んだの?」


「母が選んだの。出かけるって言ったらテンション上げてきて」


困ったような顔をして遠くを見る結城さん

結城さんの性格からして母がそんな感じなのは意外だ

もしかしたら家では結城さんも・・・・ないか


「結城さんは、どこか行きたいとこある?」


「私この駅を出かけるのは初めてなの、よく分からないわ」


「ならとりあえず回ってみようぜ!興味わくのあるかもよ!」


「そうね、そうしましょう」


彼女と始めてのデートかぁ

よーし!絶対に楽しませてやる!

このラブコメを1ページで終わらせる訳にはいかない!

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