第340話
「どうした?その程度か?草薙友哉よ!」
アウラストウルスが私に告げてくるけど。
「私は、草薙友哉の知識を持つユウティーシア・フォン・シュトロハイムです!」
雷切を杖で弾き距離を取る。
(まずいです。私やユウティーシア様は接近戦には不慣れです。せめてコルクと神衣化してるならアウラストウルスの体の中にある神核を取り出せますのに)
「わかってるけど、コルクは避難を任せている。連れてくるわけにはいかない」
私とアリアが話してる間、少しづつアウラストウルスに追い詰められていく。
相手の神衣化は以前の私と大差はない。だけど神核での全能力を爆発的にそこ上げてしていて私の神衣とほぼ同格の力を引き出している。
その為、剣技に優れるレオナをベースにされてる以上どうしても戦闘力では一歩下がってしまう。
「―――っ!?まずい」
払い上げられた雷切で私達の杖が手元から弾き飛ばされてしまい次の連激を受け止める事が出来ない。すると迫りくる刃が硬質の壁で受け止められた。
「何者だ?」
私達とアウラストウルスは気配がした方へ視線を向けると地面に両手をついていた男性、クラウス殿下が立ち上がり怒った顔をして私を見てきた。
「ユウティーシア!コルクから話は聞いた。君は神兵と戦っていたんだろう?私が足手まといだと言う理由で遠ざけるならやめてもらいたい。このクラウス・ド・リースノット、自分が愛する女性は命をかけて守る事に決めている」
なら尚更、クラウス殿下には言えない。
「分かっているさ、さっき君と口付けを交わしただろう?君のそれは死人のように冷たかった。別れが近いことも直感できた。だからこそ、最後まで君と共に一緒に戦いたい」
蚊帳の外に置かれたアウラストウルスは、その表情を少しづつ歪ませていく。
「人間ごときがっ、私と戦うだと?」
アウラストウルスが叫びながらクラウス殿下に近づいていく。
そのアウラストウルスは突然、地面や空間から生まれた金色の鎖に束縛される。
{ユウティーシア様、私の魔術ではおそらく10秒も持ちません。はやく、彼と神衣契約を!)
「わかりました」
いまのアリアとの神衣状態のままでは、どちらにしてもレオナとアウラストウルスの神衣には勝つ事ができない。なら……。
すぐに私とアリアは分裂する。アリアはアウラストウルスの動きを魔術で押さえ込む。神衣を解除した後も、力を使い切らなければ増幅された力はしばらく残り続ける。だからこそ出来る業だ。
「クラウス殿下!」
私は、走ってきたクラウス殿下に抱きつくと彼は力強く抱きしめ返してくれる。
「ユウティーシア、たとえ君がどのような事に巻き込まれようと俺は君を愛している。だから君も俺を愛してほしい」
クラウス殿下の言葉に私は一瞬迷った後に頷き、口付けを交わす。
死んでるのに、何故か昂揚する気持ちを抑えきれないまま、クラウス殿下の手に自分の手を重ねる。
「クラウス様、参ります」
「ああ、ユウティーシア」
クラウス様の言葉を聴きながら私は心の中で神霊融合を唱えた。
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