第336話

「まず神衣は互いの全ての――」

 そこで頭上のモニターがブラックアウトした。


――代理生物兵器の接近を確認致しました。通常航行状態から対神格航行状態へ移行します。


 ブリッジ内に流れる音声と共に頭上のモニターが巨大化し外の様相を映し出す。そこには10メートル以上もあるルグニカと戦った巨人が数え切れないほど表示されている。

 モニターを見てるだけでも、魔法帝国ジールの魔法師と思われる者達が魔術を打って相手を攻撃してるようだけどダメージを与えられてるようには思えない。


――メディデータと代理生物兵器の戦闘を確認。現状では混戦状態にあるため支援が難しい状態にあります。


 その言葉を聴きながら私は、私そっくりの金髪の女性と紫色の髪を持った女性を戦場に見た。


「……レオナ?」

 そこで私は腕をコルクに引かれた。


「助けにいくんだろ?なら早くしないと手遅れになる」

 私が見てる中で王城の中にレオナと精神の調停者は入っていく。

 おそらく軍事開発実験センターは王城の中にあるのだろう。


「クラウス殿下、それでは私達は行ってまいります」

 私はクラウス殿下に告げながらアリアとコルクを見ると二人ともすでに用意はできてるようでブリッジの出口で私を待っていた。


「いや、俺もいく」

 私は頭を振る。どんなに魔力量が多くてもここからは神衣化することができる者でしか戦うことが出来ない。


「申し訳ありません。クラウス殿下、この世界の人間の力では彼ら神兵とは戦えないのです」

 私の言葉にクラウス殿下は眉を潜める。


「なら何故、教皇や神殿騎士長が君と何故一緒に戦うそぶりを見せるのだ?もしかして私に隠してる事があるんじゃないのか?」


「……分かりました。ですが無理はされないようにお願いします」

 私は結論を避けることにした。

 神衣化すればこちらの知識や経験そして感情が理解されてしまう。

 そうなればすでに私が死んでる事や、何れ私という存在が消滅する事も分かってしまう。

 そう考えると神衣を行ったあとにコルクとアリアには素直に口止めしておいたほうがいいかも知れない。


「ユウティーシア、俺の質問に答えてないがそれが君の答えなのか?」

 私は、なんと言っていいか分からずブリッジの出口に向かおうとするけど、クラウス殿下に腕を捕まれ逃亡を阻止されてしまう。

 そしてそのまま引き付けられ……。


「何をされるんですか!」

 私は、クラウス殿下の体を押しのけて数歩、後ろに下がりコルクとアリアの近くまで走った。

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