第335話

「さて、メディデータがそこに居たのならかなり動揺させてしまったと思う。念のため伝えておくが人を構成する物質の要素は肉体と精神つまり心だ。厳密に言えばこの2つから成り立っている。

メディデータの構成する内容は肉体は精神核と精神エネルギー、そして精神つまり心は音素により組まれている。だから安心していい、大まかに分ければメディデータも人間として扱われる。

ただ、神代の技術を使う上では塩基配列データより個人を特定してるため、利用することはユウティーシア以外は制限をかけさせてもらっている」


「ユウティーシア、この男の言ってる事が今一理解出来ないんだけどどういうことだ?」

 コルクは私に話しかけてくるけど、私は「後で説明します」とコルクの言葉を遮った。


「この世界アガルタの事も説明しよう。この世界アガルタは作られた世界という可能性が非常に高い。恐らく神代時代の技術を持ってしてもこの世界を作る事はまず出来ない。

放射能を物質化して世界を回すための動力装置として作っているような物だからだ。

そして周囲との星との影響、月と思われる衛星を調査した結果だがこの世界アガルタが作られたの2億5000万年前と言うのが判明した。

おそらくその時代には、すでに人が存在したのだろう。

そして彼らは、何かしらの理由でこの世界を作った。

地球の知識を持つユウティーシア、君にはこの言葉で分かると思うがミッシングリンクと言うのを知ってるはずだ。

このミッシングリンクだが、生物の進化過程と言うのが必ず化石などで発見される。だがこの世界アガルタにおいて最初から人間は人間として存在していた。

つまりここから読み取る事が出来るのはこの世界アガルタにおいて人間はこの世界で進化した動物ではないと言う事だ。

恐らく、この世界が作られてから移住してきた人間の末裔が君が会ったリメイラール・フォン・シュトロハイムとアレル・ザルトなのだろう」


「え?どういうことなの?リメイラール様の家名がシュトロハイム?それって……」

 法皇アリアが私の方へ視線を向けてくるけど、今の私にはどうしようもできない。


「さて、リメイラールがユウティーシアに説明したと思うが生物としての遺伝子飽和を迎えたと言う話を覚えているか?

これは推論となってしまうが、元々アガルタに移り住んで来た人間の数は多くはなかった。

つまり遺伝子を掛け合わせる事が出来る人間の数も多くはなかった。

だから遺伝子情報の飽和を迎えてしまったんだ。

そこに丁度、同じ地球人の私が来たことで地球へ望みを託す形となってしまう。

元々は同じ星の生物だからな、交配には問題ない。だからこそ私を主軸として17万光年先の地球への移住計画を立てていたのだ。だが精神エネルギーにより塩基配列が破壊された者にはもう無駄になってしまったがな


さて、私の話はここまでになる。

ユウティーシア・フォン・シュトロハイム、私は月の次元宇宙実験センターでコールドスリープ状態で君を待っている。あとは、リメイラールより君へ話しがあるそうだ」

 そこで映像が途切れ、次に現れたのは赤い瞳に白銀の瞳の美女リメイラールであった。


「私の名前は、リメイラール・フォン・シュトロハイムです。私とアレル・ザルトの子孫、ユウティーシア・フォン・シュトロハイム、貴女には私が開発した対上位次元武装"神衣"の本来の用途を説明します」

 

 頭上に表示された女性は、透き通った声で言葉を紡ぎ始めた。



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