第333話
―――システム起動を確認。離陸へのシステムを確認中
機械音がブリッジ内に流れる。それは紛れもない日本語で誰も、その言葉を理解していないようだったように見えるけど、何度も聞いてきたかなのだろう。
とくに慌てるような感じは見られない。
―――サブ動力炉起動、タキオン粒子をメイン動力炉に注入を開始。主動力炉、精神感応炉の立ち上げを確認しました。エネルギーの臨界まで10秒…9…3…1…起動!反重力コンデンサー起動します。
「離陸!」
エメラスの言葉と同時に船体が急速に大地から浮上し始めたのが頭上のモニターで分かる。
移動時にまったく加重を感じない事から慣性を完全にキャンセルしてるのだろう。
―――現時点、第3宇宙エレベーターから軍事開発実験センター上空まで距離は、14000kmです。移動に要する時間は1分と予測されます。
1分?大気圏内でそれだけの移動速度を出して大丈夫なのだろうか?
「発進!」
エメラスの言葉と同時に、船体が動き出す。
大気圏外から星間航行船ノーチラスを映し出してるモニターに表示されている映像を見ていると一瞬で光景が流れていく姿が映し出されている。
4万音速で移動してるのに。周囲に影響をまったく与えていない。
私は驚いてエメラスの方へ視線を向けると彼女もとても驚いていた。
「信じられない、いつもよりずっと早い?どうして……?」
エメラスは一人呟いているが、そこでモニター上に一人の男が姿を現した。
そして……。
―――ユウティーシア・フォン・シュトロハイムの音素を確認しました。通信したデータにより船体設計者よりメッセージがあります。
「私の名前は、草薙雄哉。世界の真実を知る唯一の人間だ、この映像はユウティーシア・フォン・シュトロハイムの音素を確認した時にのみ流れる」
黒いマントを羽織っていた草薙雄哉は、私が神代時代に会った時のままの姿でモニターに映っていた。
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