第290話
「そこまでは領主様も仰ってはいないとの事ですが、すでに聖女が町の中で活動をしてるのに別の人間を聖女として町に入れるのは余計な混乱を招くからと、聖女としては受け入れる訳には行かないと領主館からは返事が来てるそうです」
なるほど……つまり聖女としてじゃなければ入場は可能と言うことか。
「……なんたる侮辱、我が主君が此れほどの辱めを受けるとは万死に値するぞ!」
レオナがめっちゃ怒っててやばい。手とかワナワナ震えながら普段使わないような武士言葉使ってるしこれ止めないと血の雨が降るぞ。
「落ち着きなさい。私の護衛騎士たる貴女がそんなに取り乱してどうするのですか?治療をするのは誰でも良いではありませんか?その結果、多くの人が救われるなら私の名前をいくら使ってくださっても私は他人を咎め様と致しませんわ」
俺の言葉に、レオナ以外の周りにいた騎士達がすごく感動していたが、レオナだけはさっきまでの怒りはどこへやら……俺の発言をすごく胡散臭そうに聞いていた。
まったく疑り深くて困る。
ちょっと偽の聖女様に頑張ってもらって聖女になってもらって俺は冒険者としてお金を稼ごうと思ってるだけなのにそんな疑いの目で見てくるなんて大変ひどい!
「ですが聖女様、これではあまりにも教会の威信にも傷が……」
「大丈夫です。聖女として活動して枢機卿と法皇の許可証まで出ているのでしたら私が遠慮をすれば教会の名前に傷がつく事はありませんわ」
「これが聖女様か、なんと志が高いことか!」
「他人を攻めるのではなく自分を犠牲にするとは何と心優しい!」
「多くの人を救うためにあえて泥をかぶるとは……」
とかとか色々、城門を守ってる兵士とか俺を護衛してきた騎士30人と案内役30人が俺を称えているが本当にそう言うの良いからさっさと門を開けて通してほしい。
「イスカさん、私は諸国漫遊をしている越後のちりめん問屋の令嬢で通しますので、それで入国手続きをお願いします」
「本当にいいのですか?」
「ええ、お願いしますわ」
俺の言葉にイスカは頷くと馬車から離れていき手続きを開始した。そしてしばらくしてから城門が開きイスカの案内により俺達を乗せる馬車は要塞都市ハントの城門を潜り抜けた。
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