第262話
「クサナギ殿、それは何なのですか?」
「これはガラスですね」
俺の答えにレオナ以外の探索チームの連中が驚きの表情を見せていたが、別に大した事じゃない。1500度近くの高熱でガラスか砂を短時間で熱するだけでこのような物が出来てしまうのだ。過去に神代文明があったのだから不思議でもなんでもない。ただ……この遺跡が神代文明時代の物かと言われると何か違う気がする。
「外周部を見て回ってるだけの情報だとこのくらいが限界です。探索チームの方は少し遺跡から離れておいてください。私とレオナで中心部へ向かってみますので」
俺の言葉に探索チームのメンバーは遺跡から離れた場所にテント設置を始めたようであった。それにしても、どこか見覚えがあるんだよな……。
俺は体内のミトコンドリアに命じて肉体の強度を通常の1000倍まで高め、レオナの方へ視線を向ける。レオナも身体強化魔術でステータスを高めてあるようでこれでかなりの魔力抵抗が期待できるだろう。
地面を蹴って空に舞いながら中心部へ視線を向ける。遺跡の内部は外部から見た限りではすでに風化しており何も残ってないように見える。
「レオナ、何か感じますか?」
俺の質問にレオナも頭を振る。つまり何も魔力が感知できないという事だが、総督府の話だと上級魔法師でも突破できない幻惑の結界があると言っていたがよく分からないな。
「見てるだけでは埒があかないですね、これは行くしかありません」
俺とレオナは遺跡外周部が崩れた部分から遺跡中心部に向けて歩き始めたが、最初は何も感じる事の無かった視界が急にぼやけてきた。
「レオナ、大丈夫ですか?」
いまの俺のステータスは平均1万近いはずなのだが、それでも突破できない?それにさっきまで横を歩いていたレオナの姿がいつの間にか消えていた。戻ろうとした所で急速に霧が晴れるように周囲の景色が切り替わった。
周囲は見渡す限りの草原に変化しており遺跡がどこにも見当たらない。そこで自分が巨大な影の中に立ってる事に気がつく。上空を見るとそこには、頭から尻尾まで含めると30メートル近い巨大な赤いドラゴンが下りて来ようとした所だった。
すかさずドラゴンから距離を取り戦闘態勢を取るが赤いドラゴンだけではなく白や黒や黄色のドラゴンまで下りてくる。ドラゴン達は、俺に気が付いたのか息を吸いだした。
「ドラゴンブレスか?」
俺は一人呟きながらも頭の中で生活魔法の水を生成を行いに必要な魔術式をくみ上げる。
「大瀑布(ナイアガラ!)」
俺の言葉に水が……ってあれ?まったく魔法が発動しない。ドラゴン達から打ち出されたドラゴンブレスを俺は必死に避けていく。身体強化魔術も発動しないし神代魔法も発動しない。一体どうなってる?
「鑑定!」
念のために鑑定魔術も発動したが鑑定魔術すら発動しない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます