第250話
「レオナ、用意は出来ましたのでそろそろ市場に向かいましょう。このヘルバルド国において王都の次に大きな都市ですので有用な情報があるかも知れません」
「分かりました。すぐに支度をします」
レオナが立ち上がって寝室に向かおうとするが、俺は彼女の腕を捕まえた。
「レオナの寝室には、騎士の甲冑しか無かったですよね?」
俺の言葉にレオナが
「そうですがそれが何か?」
「いや、町の探索にいくだけなのにそこまで重武装が必要かなと思ったんだけど」
「必要です。クサナギ殿は性格と考え方は別として見た目は傾国の姫君なのです。セイレーン連邦は、奴隷制度が残ってる国が大半です。感じなかったのですか?クサナギ殿が馬車から降りた時の男達のあの目を」
レオナが解説してきてるが男なら普通、かわいい女の子だったら生物的本能で普通に視線が移動してしまうと思うのだが、レオナがかなり真剣な表情をしていたから頷く。
「それにですね。コレはクサナギ様は言ってました保険という奴です。こちらに抵抗するだけの力があれば襲ってはこないでしょう」
「―――たしかに」
「それにですね。被害者を出さないという一番の理由もあります」
「被害者?俺のことか?」
俺の言葉にレオナがコイツ、何言ってんだと言う目で見てくるが
「クサナギ殿が暴れて問題を起こして犠牲者を量産しない為です。他国で問題を起こしたらそれは大変な事になります」
「まぁ、そうだが……最悪、お話(物理)すれば何とかなりそうな気がもする」
「それをしない為です!それにそんな恰好では襲ってくれと言ってるような物です」
「分かりました。それではレオナはいつも通りの服装でお願いします」
これ以上、話してるといつも通りレオナの俺が如何に危機意識が足りないかの講義になってしまうので途中で折れた。レオナとか俺が公爵令嬢だと知ってからやけに危機意識が足りないだの男の人に対して無防備だの言ってくるから疲れるんだよな。
そういえば俺とレオナが最初に神衣をしてからレオナは俺が町で移動する際にはいつも着いてきてるな。しかも重武装で毎回ついてきてる。レオナにはレオナの信念があるのだろうし好きにさせておこう。
「分かってくだされば良いです。良いですか?クサナギ殿はもう少しご自分の容姿がどれほど……」
結局、レオナの危機意識が足りない講座を俺は回避しきれなかった。
――――――
―――
2時間後、すでに昼を周り市場は夕飯の買い物をする子供連れの奥様達や夜の為の食材を購入する店の人間たちで賑わっていた。
そんな中を完全武装のレオナとアルゴ公国陛下がつけてくれた20人の騎士のうち2人が遠くから俺を警護していた。すごい要人になった感じがすると同時にこの市場中からのコイツ何者だ?という目線がとても痛い。
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