第239話

(これは、これが神衣なのか?)


別人のような姿になったことに勇者コルクは驚いていたようだが、俺もレオナと融合したときはまったく違う姿と所持してる獲物に驚いていた。


「これが神衣だ。知識と経験と感情を共有することで、天使に唯一対抗する事ができる技術らしい」


(なるほどな、どうやら俺達は勘違いをしていたようだ。お前はユウティーシアでありクサナギでありそして戦女神ではないのだな)


やはり記憶を一方的に見られるのか、こまったものだ。俺には融合した相手の記憶とかまったく見えないんだけどその辺どうなってるんだろうな。それを今、論じてる余裕もないか。


「ああ、だからお前らとはの間にあるのは勝手に拉致ってきて俺に自分たちの考えを押し付けてきて攻撃してきて殴られて痛かったからやり返してやろうという些細な私怨だけだ」


(――――――なるほど……しかしこれほどの魔力を持つとはお前はやはり他とは違う存在のようだ)


「それは否定しない。だが、(今はやつを倒すことだけだ)」


草薙と勇者コルクの意識が同調しそれは所持してる神器たる矛へと伝達する。


「魔力制御は任せろ」


(わかった)


勇者コルクが魔術操作を苦手としてきてる事が伝わってくる。レオナと融合した時には感じた事が無い思いが俺の中に生まれていく。作り上げ生み出すは万物全ての形を止めおき形となす重力。勇者コルクが生み出せし力は全ての万物を焼き尽くし営みを与える炎。炎は重力下において圧縮していきそれらは極炎となる。極炎は俺が構える矛の切っ先に集約し赤き雷光を生み出す。


座天使サマエルが、先ほどとは比較にならない程、極大なブレスが吐き出してくる。だが、神衣化した体を動かすのは剣技を得意とする勇者コルクであり彼が振るった矛がブレスを切り裂く。


「コルク!あとは任せたぞ」


(了解した。いくぞ!)


「天招槍炎斬!」


俺とコルクが作りだした膨大な太陽のコロナに匹敵する熱量が炎となり座天使サマエルのブレスを瞬時に焼きつくし座天使サマエルに食らいつきその漆黒の体を炎で燃やしていく。先ほど再生をしていた体も焼き尽くし黒き体表が剥がれ落ちていく。


「ユウティーシア!」


後ろから身体ステータスを100倍まで引き上げられた聖女アリアが走りながら神衣化した俺達に向けて叫んでくる。


(クサナギ!)


「わかった。神衣解除!」


俺と勇者コルクの体が分離する。まだ神器の力が残っているからなのかとても体が軽い。


「アリア、手を!」


俺はアリアへ手を差し伸べながら言葉を紡ぐ。俺とコルクが分離した事にアリアは驚いてるようであったがすぐに差し出された俺の手を、その小さな手で握ってきた。


「いくぞ!」


「ええ、見せてあげますわ」



――神霊融合!!

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