第234話

と答えてくれた。レオナはとても嬉しそうだがそこまで戦闘をすることが好きなのだろうか?困ったものだ。


すでに前線は座天使サマエルが変化したドラゴンのブレスで崩壊しており教会が擁する騎士団と各国の軍は迷走状態であった。。聖女アリアと教会の擁する治療魔法師でもあまりに甚大なその被害に回復が追いついていないようだ。


「レオナ、10秒でいい。時間を稼いでくれ」


「是!」


その場からレオナが消え、一瞬でサマエルの頭上に姿を現す。二度の俺との神衣により手にした一部の天才のみが到達し得る力、転移を手に入れていたのだ。レオナが作り出した数十もの1メートルを超えるアイスランスが座天使サマエルの頭上に降り注ぎ注意を引く。それを見て、俺も魔術式を一瞬で頭の中で組み立てる。


「大瀑布(ナイアガラ)」


4000万の魔力量に作られた莫大な水量が周囲の炎を荒い流していく。


「極大範囲治療魔法(エリクサーヒール)」


魔力量にモノを言わせた治癒魔術を超えた治療魔法が一瞬で怪我を負い倒れ伏していた騎士たちを治癒していく。


「アリア!すぐに軍を引け!ここからは私が戦う」


「どういうことですか?ユウティーシア、貴女には関係ないはずです!」


「いいから引け。時間をかければ他の町から強制徴収してきた治癒魔法師の不在の影響で無作為に病に倒れる人間が増える。そのためにこいつに時間をかけてる余裕はないんだ」


「え?そんな事聞いては?」


「いいからすぐに軍を引かせろ。ここからの戦いはお前たちだとついてこれない。」


すでに10秒を超えているが転移を繰り返し上級魔術で座天使サマエルの気を引いてるレオナを完全に敵と認識したのだろう。先ほどまでのブレス攻撃の比ではない攻撃を繰り返しレオナに繰り出してる。それを見てようやく悟ったのだろう。アリアが軍を町側、後方に下げ始めた。


「ユウティーシア、私は貴女を聖女としては認めません。ですが貴女が言った教会が治癒魔法師を強制徴収してると言う件。もしそれが本当ならば教会は民を見捨てたと同じです」


アリアが俺に近づいてきて言葉を紡いできたが俺は周囲の軍に視線を向けたまま現状を確認していく事と常時展開してる巨大範囲治癒魔法の展開で忙しいのだ。


「ええ、そうですね」


「ですからこれは聖女アリアとして教会に後で問いただすとしましょう。戦いが終わりましたらあとできちんと説明していただきます」


「分かった」


生半可な返事だけ返す。聖女アリアは俺から離れていったがまだ全軍が撤退していないことから俺はレオナが体制を崩したときに座天使サマエルが打ち出した光の槍を素手でなぎ払った。


「なるほどな、つまりこの光のやりは物質化してるってことか?」


薙ぎ払われた槍は回転しながら地面に突き刺さると辺りを吹き飛ばした。俺は薙ぎ払った時に破壊された右手をミトコンドリアに命じて細胞レベルで修復していく。


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