第215話

本来は中級魔術に分類


「お礼は必要ありません。そこに書いてあるでしょう?信仰の強さにより回復できるかどうかは変わるのです。貴方の目が見えるようになったと言う事は献身的に毎日を一生懸命生きてきた証なのです。リメイラール様はいつでもどこでも貴方の善なる行動を見ていらっしゃいます。これからの貴方の生に幸があらんことを」


「ありがとうございました!」


ご婦人の方と子供はテントから出ていく。そして次に入ってきたのは棒切れを支えに足を引きずった男性であった。怪我の仕方から見て、おそらく町が破壊されたときに巻き込まれて戦闘で使えないからと回復を後回しされた人だろう。


「ヒール!」


「え?」


「大丈夫です、全て分かってますから」


もちろん笑顔は欠かさない。


「ありがとうございます。行商に来てたら巻き込まれて……もう駄目かと思ったときにここに本物の聖女様が光臨されたと噂を聞き来たのです」


「本物なんてそんな大それた者ではありませんわ。私はただ、信託を受けたに過ぎないですから」


「で、ですが無償でこのような折れた足を直すほどの治癒魔術ですと金貨300枚は必要ですのに」


俺はそれを聞き、たかが骨折で300万円?どんだけ悪徳治療してるんだよと内心思いながらも微笑みを絶やさない。


「これは、リメイラール様への信仰により回復量が変わってくるのです。ですから回復出来たのは貴方が普段どれだけ全うに商売をして生きてるかの証ですので気になさらないでください」


商人の男性は俺の話を聞きながらも感激しているが中々立ち去ろうとしない。後ろが並んでるから早くテントから出てほしいんだけどな……。


「無料で治療を受けるだけでは商人として……」


俺は内心ため息をつきながらいいことを思いつく。


「そうですか、リメイラール様は貴方のその心だけで十分と思います。ですがもし手伝って頂けるのでしたら病人の方や怪我をしていらっしゃる方を連れてきて頂けますか?私はここから動けませんのできっと多くの方が治療を必要としているでしょう。お願いできますか?」


「は……はい!お任せください。このユーカス、商人のプライドにかけて聖女クサナギ様のために連れて参ります!」


それだけ言うと商人ユーカスさんはテントから出ていった。


そして次に、テントに入ってきたのは教会の治癒魔法師であった。


「ここですか?ヒールだけで疲労感も取り除いてくれると言う魔法師の方がいらっしゃるのは?」


そう、俺のヒールはこの世界の人間にとっては超万能になっていたのだ。肉体の修復のみならず精神、肉体疲労回復からというステータス異常回復までして尚且つHPやMPまで回復するエリクサーぽいヒールになっていた。

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