第208話

世界が時が凍りつく。そして粒子よりも小さい音素と神気が俺とレオナの精神と肉体を融合させ新たなる肉体を作り上げていく。存在の次元率が跳ね上がりレオナがメディデータとしてその身に宿した心が形となって神気により編みこまれる。


神衣が顕現した瞬間、クサナギ・レオナの周辺に魔術でも魔力でもない神気が周囲の大気を押しのけ粉塵を巻き上げた。その姿はユウティーシアの体をベースとしているがレオナの成人年齢まで成長しており髪の色はレオナと同じ紫色、来ている服もまったく鎧は纏ってはいないが武士の居出立ちをしている。


(クサナギ殿、かなりの修練を積まれたようですね)


「おしゃべりはいい。まずは相手を倒すぞ!」


(是)


腰から雷斬を抜き放つ、日本刀である刃の刀身には紫電が絡みついており巨大な神気を周囲に知らしめている。


「まずは雑魚を処理する。魔力制御は任せたぞ」


(是)


雷斬の周囲に氷の粒が無数に集まっていく。


「レオナ、お前もずいぶん修練を積んでいるんじゃないのか?」


複数の同時の魔術を固形の状態で編むなんて細かい芸当は俺には出来ない。


(クサナギ殿には負けます)


体に纏うは魔力ではなく神気の残滓、雷斬が纏うは雷と水系魔術。巨人から打たれれる攻撃は今の所、全て立ち上る神気で全て無効化してるが座天使サマエルが動かないのが気になるが今はその前に眼前の敵を全て屠る!


刃の形に編まれた氷に紫電と神気が合わさった、合成剣技。


「神気雷公雹刃(しんきらいこうひょうじん)」


横に振るった雷斬から無数の刃が巨人の体を切り裂き爆散させていき最後には座天使サマエルだけが残った。サマエルは奇声を発しているが巨人が空間から現れることがない。どうやら完全にアストラル体を破壊したようだ。


そうした所で突然、サマエルの動きが鈍重になった。


町側を見ると大部隊がおり全員が白い鎧に身を纏い先陣には勇者と聖女がいるのが見える。そして次々とこちらに魔術を打ち込んできたあとに白い鎧をまとった部隊とは別の騎士団や兵士が突っ込んでくる。


(クサナギ殿、あれはまずいです)


「ああ、やばいな」


神衣形態になったからなのか分かる。神気以外の攻撃は全て座天使クラスの者には通じないし魔術や魔法と言った物理系に属する攻撃は全て無効化され物質エネルギーは全て吸収され力として取り込まれてしまう。チートすぎるだろ。


すぐに聖女達を止めるために移動しようと走り出した所で神衣が解除される。倒れる事は無かったが俺とレオナはその場で蹈鞴を踏む。


「クサナギ殿、これはまさか?」


「分からない」


俺は、まさかこんなに神衣が早く解除されるとは思わなかった。もしかしたらある程度力を振るったら自動解除されるのかも知れない。


「レオナ、もう一度だ」


俺はレオナの手を握るが神衣は発動しない、つまりリキャストタイムがあるという事になるが。


「やばいな」


座天使サマエルはこちらから視線を聖女達に向けた後に、公国軍を蹂躙している。あのままだと死者が出るのも時間の問題だ。勇者が必至に食い止めてるが所詮は物理法則に従った武器に過ぎない。あれではどうにもならない。


「クサナギ殿、一つ案がございます」


「案?」


レオナの言葉に俺は疑問を抱いたが、この状態で座天使サマエルを倒す手段は神気を使った攻撃だけなのだが、どうするつもりだ?


「おそらく、聖女アリア様なら死者やゾンビなどを埋葬し鎮魂する魔術を使えるはずです。聖女アリア様と神衣を行えば奴を倒せるかもしれません」


「―――それは無理だろ?」


そうマジで無理。あんなのと融合して記憶見られたら、げへへへお前の恥ずかしい過去を暴露されたく無ければとかいう事を聞けとかあいつなら言いそうだし面倒事にしかならないだろ。

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