第205話
「え?あれはカイジン・クサナギ様の僕ではないのですか?あれだけ非常識な破壊をしているのに……」
「お前らはどれだけ俺を悪人にしたいんだ?あいつとは関わりないし知らん。勇者とか英雄がいるんだろ?がんばって倒してくれ」
だいたい、ここまで破壊したらお尋ね者になるだろう?世界中に教会の影響力あるんだし普通は攻撃しかけないだろ。余計な問題に巻き込まれる前に俺はさっさと地下に引き篭ろうとしよう。悪人同士やりあって潰しあってくれると楽でいい。こいつらを助ける理由もないからな。
「コルク、あの化け物を止めてください。私は神殿騎士団を出動させ住民の非難と束縛魔術であれを食い止めます」
「わかりました」
二人が出て行った後、やることがなくなった俺はどうしようかと思ったところで壁から突然、巨大な手が突き出てきた。その場から後方に下がるとダンジョンは完全にその機能の停止したのか大理石の床や柱や壁が石造りの物に変わっていた。
当然、乱雑に組まれた石つくりの迷宮になっており次々と崩落していく。中には画や椅子や精巧に彫られた石造なども落下してくる。次々と埋もれていくダンジョン内から俺も仕方なく外へ出る。
「これは……」
見る限り、ドミニオン級の巨人が20匹にさっきのサマエルがアルゴ公国の首都を襲撃していた。見れる範囲だけでダンジョン上部にあった教会は半壊状態でもはや教会の威信がどうたらというレベルを遥かに超えてる気がする。しかも町もサマエルの攻撃で壊滅状態、高台に教会があったからそれが余計に分かる。これはもうアルゴ公国終了のお知らせだろう。
まぁ俺には関係の無いことだから逃がさせてもらおう。
「クサナギ殿!」
ん?どこかで聞いたフレーズと声が……。声がした方向を見ると一人坂を駆け上がってくる女騎士がいる。よく見るとレオナじゃないか。ルグニカからアルゴ公国までは日本とイギリスくらいの距離があるんだが2日程度で追ってこれるってすごいな。
「レオナはどうしてここにいるんですか?」
一応、確認しておこう。前はレオナは転移魔術は使えなかったはずなんだが神衣で融合して基礎ステータスがあがって使えるようになったかもしれないし。
「はい、実はクサナギ殿がいなくなった後に体が光りだしたと思ったらここの町にいたのです。しばらく探して降りましたところ衛星都市エルノのダンジョンを破壊しクサナギ殿を襲ってきた巨人がここの町を襲ってましたのでまさかとは思いクサナギ殿を探してました」
「そうですか……」
なんだよ。神衣って草薙発見器か何なのかよ……追跡者量産しないでもらいたんだが……。
「クサナギ殿、まさか自分があれらの目標になってるかと言って町から離れて戦おうなどとは思っていませんよね?」
そんなことは全然思ってない。むしろセイレーン連邦滅びろまで思ってる。そうすれば戦争終わるし。
「レオナ、分かってると思いますが……」
「――分かっています!クサナギ殿は最後には誰かを守りたいツンデレと言う人間だと言う事くらいは、ですので逃げるフリをしつつあいつらを誘き寄せるのですね?」
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