第204話
「アリア様。騎士団をやめた人間に聞いたところ、カイジン・クサナギは四肢破壊の拷問をする前に必ずヒールをするそうです。しかも大事なモノまで奪っていくと言ってました……」
もう、なんなの!俺が悪評非道みたいな話になってるんだけど?ほら、聖女アリアなんて土下座まで始めたじゃん。
「そ、そんな危険な魔王様だとは……いえ、邪神様だと分かっていれば連れては来ませんでした。申し訳ありません、なにとぞ命だけは国だけはご容赦を!」
「申し訳ありませんでした。まさかアノ、カイジン・クサナギ様とは思っておりませんでした。アリア様のリールスティグマすら無効化してしまうとはハハーッ!」
「……」
あー、うん。なんだろうね。この手のひらクルクルーな感じは本当に困るわ。
仕方ないな、話を聞いてくれなさそうだしまずはお話するか?どう切り出していい物やら……。
そこでフッとダンジョンの回廊内の明かりが消失した。俺は周囲を見渡すがダンジョン自体は存在しているが夜の星が瞬いてた空は消えていた。
「これ以上何をしようと言うのですか?」
「アリア様、これはダンジョンが組み変わるときに似ています」
二人の話を聞きながら俺は内心違う気がしていたが確証を得ることが出来なかった事もあり口には出さない。そのとき、空間が軋む音がした後に視界が真っ白な世界に染め上げられた。先ほどまで存在していたはずのダンジョンの柱や大理石の壁に回廊が一瞬にして破壊され砕かれ舞い高速でこちらに飛来してくる。俺は両手でそれをなぎ払う。いくら重炭素と珪素を主軸に編まれた細胞とは言え元は人間の細胞だからか腕が削られていくが細胞の超高速再生が復活した事で瞬く間に傷がふさがっていく。
図らずにしも俺が聖女と勇者を守る形になってしまったのは皮肉としか言い様がない。
そして迷宮が粗方破壊尽くされた所で、いままで見ることが出来なかった外の光景が一望することが出来た。眼下には無数の煉瓦つくりの大小の建物が並んでおり所々、隕石が落ちたかのようなクレーターが街中に存在している。
「い、いったい何が……」
俺の後ろで、アリアが一人呟きながら震える体で立ち上がり町を見た後に倒れかけた所を勇者コルクに支えてもらっているが俺は正面を見据えていた。来るとは思っていたが、早すぎる。
name:サマエル(第3階級座天使)
HP:100000000000/100000000000
MP:15000000000/15000000000
STR:150000000000
DEX:150000000000
CON:150000000000
WIS:150000000000
どうやら敵さんは相当、急いでるようだな。以前の巨人のような姿ではなく人に近いが能力が桁違いだ。まだこちらに気がついてはいないようだが、サマエルが頭上に手をかざして作り出した光の輪が空から降り注ぐと百近い建物が地面ごとえぐられ吹き飛び竜巻が起き街路樹どころか何十もの建物を巻き込みながら消失し巻き上げられた建物が重量に従って落下したあと2次災害どころか3次災害を引き起こしている。
無差別に攻撃をしてるように見えるが、もしかして俺の反応を追ってはきたがダンジョン内だったから正確な位置が分からずに無差別攻撃をしてるのか?ふむ……見つかる前に、地下の施設に戻るか?どうせこいつらの国の問題だし俺はすぐには関係ないだろ?それにこの首都が消えればもしかしたら戦争終わるかもしれないし人を魔王呼ばわりした宗教もつぶれるかも知れないからな。
「さて、俺には関係ないようだから後はがんばってくれ」
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