第199話
俺はためしに200億の魔力を外部から取り入れようとするが発動しない。
――肯定。現在の草薙雄哉の体細胞は極めて不安定な状況にあり魔術行使に耐えられるまで時間がかかります。それとここでは問題なく生存は出来ますが人間の体である以上、この星アガルタの大気は有毒です。早急に体細胞の再構築が必要です。
つまり俺はここのダンジョンから出られないという事になるがそれはそれでどうなのだろう?もうこのまま引き籠りでもいいんじゃないのか?厄介事からも巻き込まれないし。
「そうか、それで体細胞組織の構築にはどのくらいの時間が?」
――肯定。計算上では一週間です。施設内部にはナノマシンが散布してありますので普通に生活をしてくださって問題ありません。魔術回路修復までは施設内に留まる事を推奨します。
「あとは重要な質問だが、星が見えるダンジョンがあったんだがそれもここの施設の一つなのか?」
――肯定。元は一施設でしたが現在は、精神核エネルギーに汚染され異界化されています。こちらからの制御は不可能。ただ、ここには人間と守備の者しか入れないため、危険度はありません。
「わかった」
とりあえず勇者や聖女はここまで来れないようだな。安心したら疲れてしまった。後日また詳細を聞きにくるとしよう。
「分からない事があればまた危機にきてもいいか?」
――肯定。
俺はそのまま部屋を出ていく。どうも神代遺跡はかなり便利に作られていて真面目で品性公平で平和主義な俺ですらニートにする便利な機能があるみたいだ。実にこまったものだ。もうここに永住してもいいかもしれない。部屋を出ると
「人間。もう問題ないか?」
と俺を運んできたロボットが音声で語りかけながら近づいてくる。
「夜は宇宙食祭り。3千年ぶりの人間、歓待する」
ここには宇宙食しかないのか?そうかー。やっぱりすぐに此処の施設を出ていく事にしよう。
神代時代の宇宙移民管理実験センターに辿りついてからすでに2週間が経過していた。
「人間。体組織の修復とメディデータとしての魔力形成は終了している」
「回復してるな。また壊れるけど」
そう言って俺は外部に保存していると言われた魔力200億を一気に体に流し込む。体内の細胞が悲鳴を上げて血管が破裂する。体中が血まみれになった状態でメディカルルームで倒れこむ。
床に倒れこんだまま、ユウティーシアが本来保有する魔力で細胞内のミトコンドリアに命じて修復を開始する。それでも体中の組織が崩壊を始めたところでロボットが俺をメディカルカプセルに入れてくれた事で俺は意識を失う。
「また来たの?」
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