第193話


アフラニスカ?前も同じような事を聞いてきていたな……一体どういう?


俺の疑問を余所にアリアが勇者コルクの手を取り立ち上がらせると勇者の体を白い光が包み込んだ。白い光?まさか?俺と同格の身体強化魔術か?俺も身体強化魔術に振ってる魔力量を強化しようとしたが霧散してしまい身体強化魔術が解けてしまう。


「なっ!?」


突然、魔術が解けた事でバランスが取れない。やばい!?まともにもらう!


「お返しだ」


勇者コルクの拳が俺の腹に吸い込まれていきそのまま体が弾き飛ばされる。大理石の床を転がりながら俺は立ち上がろうとするが思ったよりずっとダメージが大きく膝を折ってしまう。視界も身体的ダメージが大きすぎて自分が立っているのかすら分からない。


「―――くっ!」


レオナから受け継いだ体術を思いだす。両手をクロスして迫ってくる勇者コルクの拳に合わせてガードをするが両腕がそのまま粉砕された。やばい、身体強化魔術が使えない時点でステータスに差がありすぎる。アリアを見るとその眼は光り輝いている。


「ファイアーランス!」


発動した魔力をアリアの瞳が光った瞬間霧散する。つまり、アリアの力は魔力の拡散か?なら通常の身体強化魔法ではアリアがいたら対応は出来ない。ならアリアが対応できない魔法式に頼らない魔法を身体強化魔法の一歩先をいく魔術を編み出さないといけない。


「諦めましたか?」


アリアは俺に聞いてくるが俺は首を振る。

俺の唯一の強みは、地球の科学力だ。なら俺がする事は、アリアが魔力を拡散できないようにするだけだ。


「仕方ありませんね、コルクやりなさい」


両腕が砕けて下がってる状態の俺にコルクが肉薄してくるが防御する術が無い俺は倒れこむ事で拳を避けて床を転がりながら両腕の激痛に苛まれながら立ち上がる。


「往生際が悪いですよ?」


「往生際ね、お前たちなら誰かに自由を奪われると分かっていて抵抗しないのかよ?俺はご免だな」


「そのような男のような口調で強がってもどうにもなりません」


「いいや、そうとも限らないぜ?」


俺はレオナと融合した時に受け取った技術を使い床を無様に転げ時には肩を犠牲にして勇者の攻撃を避ける。正直、痛すぎて気絶しそうだ。

それでも打開策を考え続ける。俺が使える魔術の殆どはアリアに使用出来なくされている。


「種火(トーチ!)」


俺が打ち込んだ生活魔法はそのまま直進しアリアに当たると思われた所でコルクが払った。


「なるほどな……」


「つまりアリア、お前のその瞳の能力は魔法式を解析して無効化する力を有しているんだな?」

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