第192話
「キャー建物がー」
「これは一体どういうことだ?」
「ばかな?戦女神様がご乱心だと?」
まぁいろいろ聞こえてくるがそんなのはどうでもいい。とりあえず声が聞こえてきた方にファイアーランスをぶちこんでおく。なんかギャーと言う声も聞こえてるかあとでヒールしておけば問題ないだろう。
それよりも、まずは情報がほしい。町に安易に行けないなら勇者とお話(物理)して話を聞こう。
当事者から聞けば一番分かり易いだろう。
俺は床に転がってる勇者を見てやさしく微笑んだ。そしてヒールをする。もちろん俺のヒールはかなり万能で誰に傷も治る。
「ど、どうするつもりだ?お、お、俺は勇者だ!いくら君が戦女神の器のユウティーシアだと言っても絶対に口は割らないぞ!」
「そうですか?仕方ないですね。やっぱりお話(物理)しないとダメですよね?」
右手に魔力を貯めたまま俺は勇者コルクの腹を打ち据えた。
「お……おれはしゃべらないぞ……」
「ヒール!」
困った。ヒール講座で心が折れない人間がいるとは予想外だった。今まではこの方法で解決出来てた事からどうしようもない。
「お、おい。どこを見ている?」
なんだよ、俺はちょっとファイアーランスを打ち込んだ集団さんを見てるだけじゃないか?別に勇者君が事情を喋らないからって彼らを人質にする訳じゃない。ちょっと協力してもらうだけだ。
「ファイアー「分かった。話すからもうやめてくれ」」
なんだ、何か俺がとても悪いみたいじゃないか?とりあえず交渉は上手くいったみたいだな。
「まずはここから出る方法を教えてもらいたい」
先ほどから天井を見るとまったく動かない星空が見えるだけで雲が存在していない。それに先ほど打ち込んだファイアーランスが破壊した壁や柱や地面がいつのまにか修復されていたのだ。明らかに普通の空間ではない。
何らかの特殊空間だと思うが魔術に明るくない俺にはまったく理解できない。
「ここはアルゴ公国の光都リメイラールの教会本部地下に存在する秘匿されしダンジョンだ」
「……」
セイレーン連邦にはいくつかダンジョンがあるのは知っていたがアルゴ公国に存在してるのは初耳だ。まあ秘匿されてるなら仕方ないか。それにしても数発殴っただけでずいぶん反抗的な口調になってるな……勇者さん。きちんとヒールしたのにひどい。それにしてもどうするかな?
「くく、終わりだ。余計な時間をかけすぎたようだな?」
「それはどういう!?」
白銀の髪を腰まで伸ばした女性が目の前に突然現れた。まずい!聖女か?俺は急いで勇者から距離を取る。聖女アリアが俺へ視線を向けた後に床に倒れてる勇者を見る。
「さすがは覚醒前とは言え戦女神様だけはありますね?通常の勇者では勝てませんか」
「申し訳ありません、アリア様。覚醒前のユウティーシアの力を侮っていました」
「仕方ありません。初めてみた時はかなり意志力が弱まっていましたからてっきりアフラニスカとしての意思を半覚醒していると思っていましたから。まさかまだ意思を持っているとは思っていませんでした」
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