第168話
「――そ……それはよかった。」
主に前世とか見えたら弄られそうだし良かった。
(さて、そろそろ行きますか?)
レオナが手を差し伸べてきた。
「そうだな……私にこんな事をさせた奴に示しをつけないとね」
そして凍結された空間は罅入り砕けた。
パステルやアリーシャの前に現れたのは紫色の袴と胴着をつけた紫色の髪をした美女であった。
腰には紫電を纏った日本刀を差しているがパステルやアリーシャにはその武器が何なのか理解はできない。
私と俺は意識がようやくはっきりとした。そして自分の姿を見て納得する。
解析の魔術を使っても一切のステータスを確認することが出来ない。つまりそういうことなのだろう。
「さて、どうする?」
(まずは敵の排除が最優先かと思います)
俺のつぶやいた言葉に、レオナの意識が流れこんでいて答える。
まるで頭の中で話し合いをしているようだ。
「排除か……パステル、アリーシャ離れててください」
俺の言葉にパステルもアリーシャも驚きながらも離れてくれる。
(クサナギ殿!まずはコボルト達とあの巨人を離しませんと)
「わかってる!レオナ得意な魔術は?」
(氷系の中級魔術です)
「アイスランスでいいのか?」
(是!)
「アイスランスの制御は任せた!」
(是!)
「俺は、風の魔術を使う!」
俺の周囲に風が収束していき小型の竜巻を形成していく。そこにレオナのアイスランスが無数に形成されていく。
(なんと言う魔力量、これがクサナギ殿の魔力量!)
「ああ、いくぞ!」
俺は右手の手のひらを巨人に向ける。そして魔方式を組み込む。魔力量に物を言わせない新しい魔術。それが神衣状態でみ使用できる融合合成魔術。
中級魔術「サイクロン」と中級魔術「アイスランス」の合成魔術
竜巻の中で激しく打ち付けられた氷が帯電状態を引き起こしそれにより数億ボルトの電圧を作りだす電撃魔法。
「その名も”雷神”!」
巨大な雷が巨人を打ち付ける。生体兵器ならこの魔法は防ぐことはできないはず。
「コボルトさん、もう大丈夫です。撤退してください」
(クサナギ殿、敵の動きから察するにゴーレム系統の魔物に分類されると思われます)
「知識は……理解した!」
自動的にレオナの知識が俺の中に流れ込んでくる。体内に流動するコアを破壊すればいい。つまり、あの技が使えるか。
「レオナ、魔術の制御は任せた!」
(了解しました)
腰から神気で編みこまれた刀”雷切”を抜き出す。
雷切の周囲に中級攻撃魔法であるウォーターランスになる前の水が生成されていく。
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