第139話

思い立ったが吉日。すぐさま、部屋の扉の前を通りがかったメイドさんへグランカスと会いたいと伝える。


一応、魔法帝国ジールの妃候補でもあり何故か国を救った英雄みたいな扱いになってる事からグランカスが一応王様でも俺の方が偉いみたいな感じになってて、グランカスが俺の部屋に訪れるのは支障がないみたいになっている。


しばらく部屋の中に鎮座してるベッドの上で寝転がってると扉が数度叩かれた。返事をするとグランカスが入ってきた。うーん、奴隷商人の時代には山賊風だったのに今ではそんな感じを見せないやり手の商人の格好な姿を見ると一発殴りたくなるが我慢する。


「どうした?緊急か?」


「かなり緊急、明日から衛星都市エルノに行きたい」


俺の言葉にグランカスはしばらく考え込んでいたがハッとしておれに視線を向けてきた。


「それはダメだ!お前は自分の今の立場がわかってるのか?」


「もちろん!」


俺は当たり前だろ?言うニュアンスで答えたがグランカスの顔はますます険しくなっていく。どうせあれだろ?婚約の顔あわせ前に俺が怪我したら困るとかだろ?心配性だな本当に。


「ひとつ聞くがクサナギ、お前は何しにいくんだ?」


「そりゃ魔法の練習しに迷宮に潜るに決まってるだろ?」


もーやだなーという感情を込めてグランカスへ伝えるが


「お前が迷宮に行ったら迷宮が消滅するかもしれないから却下だ!」


俺のささやかな気持ちは伝わらない模様。というか俺が魔法使ったら迷宮消滅ってそんなに分別ない人に俺が見えるのか?非常に遺憾である。


「グランカス、その辺は問題ない。というかとめてもいくからこれは俺が行くという話しが前提ですでに進んでるからとめてもいく」


「……わかった。冒険者ギルドの仮証明書を発行してもらうように手続きをとっておく。あと、お前が問題を起こさないように2、3人見張りの騎士をつけるからそこは納得してくれ」


「それは困るんだが」


魔法の練習にならないじゃないか?人目を気にして魔法の練習なんてもってのほかだ。俺はもっと自由に魔法の練習をしたいのだ。昔、漫画で見たような火と氷を混ぜた消滅的な魔法とかを編み出したい。

そんな魔法をこの世界で誰かに見られたら転用されてひどいことになりそうだから、ひとりで行きたいんだが……。


目を見てる限り納得してくれそうもないんだよな……。


「わかった。とりあえず魔法の造詣の深くない者を選出してくれ」

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