第136話
遅いですわ」
周りに控えていた侍女達の目もあったので俺は、表面を取り繕う。
グランカスは気にせず、俺の傍まで来ると何かの動物の皮で作られたバックを大理石の床の上に下ろした。
「これが頼まれてたやつだ。それにしても必要なのがこんなものだとはな……クサナギには必要ないんじゃないのか?」
グランカスに頼んでいたのはたくさんの魔法書だった。
たしかに俺の魔術は、無詠唱で放つ生活魔法を魔力量に物を言わせて攻撃魔法として利用をしていて相手の虚をついたりといろいろと戦術の幅が広い。ただ魔力の消費がハンパないのだ。
数人から数百人程度が相手なら問題無いがさすがに40万の魔法部隊を運用する魔法帝国ジールを相手にするとなると聊か問題が出てくる。
それに俺の身体強化魔法も欠点があり一度使えば、使ってる最中ずっと魔力を消費する。この世界の人間は一度身体強化魔法を使えばしばらくは持つらしいのだが俺だけが例外なのだ。だから魔力コストが非常に高く連戦には向かない。
だから上級魔法などの習得が必要不可欠なのだ。
「ありがとうございます。これで勉強が捗りますわ」
俺の返事に、グランカスは眉を潜めながら部屋を出ていった。
さあ、勉強の時間だ!
しばらく一人にしてほしいと侍女へ申し付けた後に部屋に入る。そしてカバンから魔法書を取り出して目を通していく。
『初級攻撃魔法』
『中級攻撃魔法』
『解毒魔法』
『中級回復魔法』
『言語解読魔法』
『生活魔法2』
『生活魔法3』
ふむ……。気配察知系魔法も上級魔法も転移魔法の書物がないとは……。やっぱりその辺になると国家機密なのだろうか?できればアイテムボックス系の魔法が欲しかったんだが……。
40万も兵士がいたらたくさんお金手に入りそうだし、そう考えると硬貨を管理できるアイテムボックス系魔法は欲しかったんだが……、
中級魔法書の表紙を捲ると世界の心理はあーだこーだ書かれていたが読み飛ばす。必要なのは魔術を形成する魔法式だ。ヒールを使う際に魔法式を俺独自にアレンジして使用してるからその付近の魔法式がほしい。しばらくページを捲っていると魔法式が書かれてる項目を発見する。そこにはファイアーランスの魔法式らしい。左側に説明書きがされておりイメージを具体的にすることで魔法を発動させる事ができると書かれている。
つまりあれだろ?アニメとか漫画でよく使ってる炎の槍みたいな感じだろ?
イメージはアニメや漫画の場面をそのまま取り込んで反映させる。そこに先ほどの魔法式を組み込む。詠唱が必要らしいが、それらしきものは書かれていたがあまりこだわる必要もなくイメージを鮮明にする補助でしかないらしい。それならそこまで詠唱は必要ないのかもしれない……。
「ファイアーランス!」
俺の言葉に反応し2メートル近い炎を纏った日本風の槍が姿を現した。
「うん……想像してたのと違う……」
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