第135話

転移魔法か……めんどくさいな……。


「で?俺に一年も船に乗れと?そこまでしてお前らを助ける義務も責任もないんだが?」


「そうか、あれを見てもか?」


グランカスが指差した方へ視線を向けるとすごく俺を美化した美少女の像が建っていた。


「……おい。どういうことだ?」


あんなのは俺は聞いてないし、どうして俺の石造が市場の真ん中にあるのか不思議でならない。


「お前が衛星都市エルノに行ってる間にな、美少女が国と戦ってる話を出したほうが受けが良いって話になって布教してたらいつの間にかこうなってたんだ」


「……」


たしかに旧体制批判としてプロパガンダのための英雄を作れとは行ったが実在する人間を英雄に仕立て上げろとは一言も言っていない。

それに俺を英雄に仕立て上げるなんていい加減にしてほしい。


「クサナギがあれだけ派手に暴れたら、たとえクサナギじゃなくても国民はクサナギが国と戦ってる事だと思ってたと思うぜ?」


そう言われると批判はできないが、肯定もできない。

でも俺は見ず知らずの第三者のために労働を働くほど人はできていない。

そう、俺はノーと言える日本人なのだ。


「悪いが、俺は魔法帝国ジールには行く気は「報酬として、ルグニカ市民権を発行しようと思うんだが?」」


ふっ……。俺は、草薙雄哉。自分の意思を貫く孤高で初志貫徹を貫く男。そんな冒険者ギルドに登録な必要な市民権ごときで懐柔されるほど甘い人間ではないのだ。そう、俺は人助けのためにこの国が戦火に巻き込まれないために自分の身を差し出すに過ぎないのだ。


「いいだろう、だが結婚を受けるかどうかは別問題だ。いいな?」


「ああ、問題ない。後移動は一ヶ月後に向こうが手配する転移魔法で帝都ジールに直接移動するらしいから船の用意はしなくていいらしい」


「ふむ……いきなり国力の差を見せ付けてくるわけか。ならこちらもある程度の力を見せ付ける必要があるな?」


魔法とか魔法とか魔法とか、いろいろ覚えていくと便利かもしれない。


「グランカス、一ヵ月後のためにいろいろと用意が必要だ。わかってるな?」


「ああ、もちろんだ」


俺とグランカスは意気投合した。俺は市民権を取得するためにじゃなくて、俺を信じる俺が愛する国民のために。そしてグランカスも国を守るためと二人の考えが一致した。あとは先方からの話を如何になかったことにするかだが……。


そして俺はこれからする事を考えた。


翌朝、俺は総督府で宛がわれた部屋でドレスの採寸をされていた。

貴族時代に何度かされたこともあるがいつまでも慣れない。

12年も女の体だった事でスカートとかドレスとか女物を着るのは違和感はまったくなかったがこれだけは無理だ。時間がかかりすぎるんだよ。


朝に始まり採寸が終わったのはすでにお昼を回っていた。

パンケーキを口に運びながらグランカスが入ってくるのを待つ。


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