第125話

側面からの高波に弱い船は次々と船体のマストが破壊され横倒しに倒れていく。

そしてそれを見ながら草薙は思った。


「まさか……これほどの威力があるとは……ぶくぶくぶくぶく」


そうあまりの速度に草薙の乗る船も船体を強化されていたが耐え切れず空中分解したのだった。

ここに、王位簒奪レースは類を見ない初日に王家の軍艦全滅そして草薙が乗る船も分解し海に沈むというあまりにもあまりな事件が起き終結したのであった。


ただ、ひとつ問題があるとすれば草薙は泳げなかった。

そんな草薙が板切れにしがみ付いて助けだされたのはレース開始後3時間後であった。


一ヵ月後……。


海上都市ルグニカでは異例の……建国以来始めての王家の船が全滅し王家以外の人間が王位簒奪レースで優勝するというハプニングが内外に流れていた。

町は、国を私物化してきた王家が悉く総督府から失脚した事と奴隷制度の廃止それに伴う派遣法の交付に国民の生産性を上げるための税金を投資する学校の設立など多くのことが新しい総督府に任命された奴隷商人達から国民に広く発表されていた。

それに伴い祭りは最高潮に達し海上都市ルグニカは類を見ないほど活気に満ち溢れていた。


「ほら!めしだ!」


地面に置かれた具が何も入ってないスープを見て草薙はため息をついた。


「うううう……ひもじい……」


味がまったくしない薄い塩だけの味付けのスープを草薙は涙を流しながら飲んだ。


草薙は皆が外で楽しんでる間、一人だけ御勤めをしていたのだった。


そう、刑務所での御勤め。罪状、レース妨害であった。


審議の際に草薙は言った。


なんだよ!船に直接攻撃しなければいいって言ったじゃねーか!と……その草薙の反論は無視された。

むしろそれでさらに炎上した。


そして審議の結果、草薙は資産を全部没収の上、市民権取り消しに海上都市の刑務所の牢屋で一ヶ月御勤めのトリプルコンボの刑に処されたのだった。





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