第103話
友好関係を結んだ『安心安全信頼がモットーのドレイ館』の皆様の協力により奴隷の方々はしばらく体を休めてもらう手筈になっている。
そんな倉庫から少し離れた3階建ての煉瓦作りの建物の2階会議室で俺は次々訪れる奴隷商人達へ視線を向けていた。
最後の一人が入った後に、その場に最も似つかわしくない俺の事を目踏みするように男達は視線を向けてきた。
「グランカス殿、いきなりの招集どうかされたのですかな?」
資料によると今、発言したのはへポイという男らしい。
見た目もかなりの年齢を感じさせる。
「私もこの時期は簒奪レースのための奴隷を集めるのに忙しいのですよ」
こいつはプルルンと言うらしい。
かなり肥満だな……。
それからは自分たちが如何に忙しいか語っているがそんな自慢話など俺にとってはどうでもいいのだ。
さて、まずは話を進めないといけないな。
俺はグランカスをチラッと横目で見る。そうするとあら不思議、グランカスがガタガタ震えだしたじゃありませんか。
「え、えーと……みなに集まってもらったのはこの隣に居られる御方を紹介するためだ」
グランカスの声に奴隷商人達の先ほどから注がれてる目線に籠る目力が強くなる。
さて、力で従えてしまっても良いんだがそうすると俺がいない所で何をするか分からないからな。
そうすると奴隷と言うのは効率が悪いと言う所を押し出さないといけないんだがポッと出の俺の意見を聞くわけもないしどうしたものか。
「私は、海を司る海神クサナギと言います」
まぁもうこれでいくしかないだろ?
案の定周囲の奴隷商人達は何を言ってるんだ?と言う海賊たちと同じ顔をしているが俺は手を上げる。
そうすると、奴隷の枷を持って部屋に入ってくる人間が数人。
それを見て奴隷商人は自分たちに?と不安な顔を見せていたが俺に取り付けられていくのを見てさらに怪訝な表情を見せ始める。
「さて、皆様。私のこの状態を見てどう思われますか?」
体中20個ほどの奴隷の枷をつけられた状態なら普通は気絶などでは済まなく大変な状態になるらしい。
それを奴隷商人達は信じられない者を見る目で見ている。
「ご理解頂けたようですね?」
俺は、体中に展開してた1000万の魔力を20億まで増やし全ての奴隷の枷を消し去った。
それを見た奴隷商人達が椅子から転げ落ちたり腰を抜かしたりしている。
「さて、これで私が神だと言う事にまだ納得されない人はいますか?」
納得されないならかなり困ってしまうのだが……。
「納得できん!うああああ!?」
途中まで言いかけた男の椅子の足を生活魔法の複合魔法であるウォーターカッターもどきで斬り飛ばした。
もちろん魔力量に物を言わせたものだ。
椅子から倒れた男は突然の事に床に倒れたが自分が倒れた原因が、自分が座ってた椅子の足が斬られた為だと理解した途端顔を青くしていく。
基本、初級攻撃魔法を含めて攻撃魔法と言うのは詠唱が必要らしい。
俺のは生活魔法だから必要ないけどそれがどれだけの脅威か分かるなら彼らみたいな顔になるだろう。
奴隷商人達の眼はいつのまにかグランカスに向けられており、だましたな!この野郎!と言う眼をしていた。まったくグランカスさん酷いですね。
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