第104話
「さてと、ちゅうもーく」
俺の言葉に奴隷商人の方々が視線を向けてきてくれた。その目には先ほどの俺を目踏みするような物ではなく恐怖がチラついてるように見受けられた。
さて、ここからが正念場だな。
「まずですね、貴方達には2つの選択肢があります。一つはこのまま、私の天罰で首と胴体がオサラバしたりするコース。」
信頼と実績がある奴隷館だけに護衛を連れてこないのが仇となったかれらは、俺の言葉に全員が震え始めた。
「次に神の啓示を受けた商人として偉人として歴史に名を遺すコースの二つがあります」
二つ目の言葉に奴隷商人達は混乱していたようだが、このへんはおいおい教えていこうとしよう。
「それではまずへポイさん、お伺いしたいのですが奴隷と言うのは儲かりますか?」
俺の質問に男は怯えながらも頷く。
たしかに儲かるのは分かる、何せ人間を商品として酷使しているのだ。
ただ、生産性ややる気などを加味すると管理体制や監視体制に言う事を聞くように教育したり仕入れたりと大変コストがかかる。
それは本当に儲かってると言えるのだろうか?
それなら日本の人材派遣会社体制を取ったほうが遥かに稼げる。
何せ、中抜きを当然のように言ってくる政府に騙されてるからだ。
まさしくヤクザ状態、ただこれはこの世界に適用するならばそんなに悪くはない。
何せ、奴隷だったものがある程度の消費者に代わるのだ。
しかも中抜きで永続的にお金が入ってくるしまずしい場所ならば、自分から派遣社員になりにくるだろう。
つまりこの奴隷商人達をこの世界初の人材派遣会社にしてしまえばいいのだ。
「そうですか?それは本当に稼げてますか?調教やある程度の教育を施したり輸送の手数料から売れるまでの健康管理から監視体制や管理体制の費用を踏まえて本当に稼げていると言えますか?」
俺の話に奴隷商人達は何を言いたいのだろうと首を傾げている。
「まずですね、後世の歴史において人の尊厳を踏みにじる行為をした人間やその家族や国家と言う物を考えてみてください。
代官が増税で払えない人を奴隷に仕立てあげた事を考えてみてください。後世の人間はそう言った人間を見てどう思いますか?」
「ど……どう思うんだ?」
たしかヘルペトスって名前だったか?まぁどうでもいいが、その答えを聞いてきたってことは少しづつ俺の言いたい事を理解し始めたようだな。
「そうですね、ロクデナシとか人間の屑とか殺されても当然の奴らだとか思われます。決して未来の歴史では良いようには言われないでしょう。貴方達も過去の歴史や神話を見たことはあると思います。人道上外れた行為をしている者は誰でも不快に思います」
「だ……だが、私達にも生活が」
「はい、分かっています。そこでですね、奴隷としてではなく食べれない人に仕事を斡旋して働いた分の2割から3割を中抜きする方向にしてみたらどうでしょうか?たとえば、冒険者ギルドと言うのがありますよね?その拡大解釈版と言う形で人材が欲しい人達と貴方達の商会で専属契約を結ぶのです。そして田舎から出てきた若者に仕事を振って稼いだお金の中抜きをして残りを渡せば管理費だけで
稼げるようになるのです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます