第87話

衛星都市スメラギ、そこは海洋国家ルグニカの玄関であり軍事国家ヴァルキリアスとリースノット王国との貿易航路であった。

都市人口は3万人を超えており、この時代の衛星都市人口1万人から見ればその人口は大幅に多い。

そんな衛星都市スメラギは、10年に一度行われる王位簒奪レースのために多くの物資が船で運び込まれていた。


そんな様子を見ながら草薙は、エメラス達に連れられて歩いていた。


今日のエメラスは、長い赤髪をツインテールにしており赤を基調としたシックなドレスを身に纏っている。

俺もエメラスが朝に持ってきた青のドレスを着ているのだが、エメラスのドレスと違って透き通ってる部分が多い事から露出が多いと言わざるえない。

現に周辺で働いてる船員達がこちらをジロジロとみてきているのだ。

まったく生まれ変わって女になってからと言うもの、街中を歩いているとつねに見てくる男に辟易したと同時に俺も前世では見ていた事を思い出し苦笑した。


「クサナギ様、どうかしましたか?」


「いえ、人が多いと思っただけです」


「そうですね、今は王位簒奪レースの一か月前ですので人が多く集まっているのです。その為、周辺諸国からも商人が多くやってきているために活気が出ているのです」


俺は、エメラスの言葉を聞きながら周囲を見渡していく。

市場には多種多様な物資が並んでいてリースノット王国では見た事がない食材も並んでいる。


「エメラスさん、冒険者ギルドに一度寄って登録をしたいと思ってるのですが案内をお願い出来ませんか?」


とりあえずは冒険者ギルドに登録して生活基盤を作らないといけないからな。

エメラスさんの話を聞く前に少しでもアドバンテージを作っておいたほうがいいだろう。


「あの……クサナギ様」


「どうしたんですか?」


エメラスがとても言いづらそうにしてるか何かあったのだろうか?


「クサナギ様は、海神様ですので市民権を御持ちではないですよね?市民権を御持ちではないとどこの国の冒険者ギルドにも登録できないのです」


「え?」


そんなの聞いた事無いんだけど……。俺の市民権ってあれだよな?ユウティーシア・フォン・シュトロハイム……。

それが使えないってことは冒険者登録出来ないって事になるわけだが……。

おいおいマジかよ。

俺の人生計画否定されちゃたんですけど?どうすんのこれ?

とりあえず本当に出来ないか確認するしかないよな?


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