第22話
うーむ、わからん。
「今回は、私が敬愛する曾祖母のハデス公爵家の縁でこちらに参加させて頂きました」
たしかハデス家ってうちの国の三大公爵家の一つだったよな?ということは、つまり祖国に遊びに来たってことか?それにしても……。
「曾祖母様の故郷でありますリースノット国に来ることは夢でありました。豊な実りと誠実で国を本気で憂い民を愛する貴族。賢王と名高い国王陛下とその再来とまで言われ国民に愛されるクラウス殿下。私は、今までにないほどの感激に打ち震えました」
俺はそれを見ながら嫌な予感しかしない。このパターンってあれだよな?あれしかないよな?
「ですが!先日、私は聞いたのです。今、この国で魔法石取引を独占し他の貴族の方々の安寧を脅かす者がいると!!」
お父様!魔法石の話が出ましたよ!とても悪者扱いされている。どうすんのコレ?周りの貴族達も息を呑んでアリスの話聞いてるし。
「さらには、その貴族は独占し得た財力に物を言わせ血筋だけの魔力の素質も教養もない娘を婚約者に仕立てあげようとしているとも聞きました!」
間違いなく俺の事だ。お父様、言われたい放題ですね。
「わかります!たしかにこれは内政干渉かも知れません!」
間違いなく内政干渉だろと俺は心の中で突っ込みながらもアリスの話を聞く。さてどうしたものか……。
「ですが、私の曾祖母はリースノット国の血を引いております。私にとってもこの国は母国なのです」
お前さっきヴァルキリアスの名前出したじゃん、母国って言うなら名前出したら駄目だろ。まあ俺の鋭い突っ込みは心の中で留めておいて周りを見ると何故か皆さん、感心してらっしゃる。きっと自身ありげに語った事で貴族達の心を掴んだのだろう。
「これは私にしか出来ない事だと思っております!魔法石取引を独占してるのは三大公爵家の一角のシュトロハイム家です。その力はあまりに強大です。守らないと行けない家族がいるこの国の貴族方々は迂闊には動けません。
だからこそ、私はハデス公爵家の血縁であると同時にヴァルキリアス王家の第一継承権皇女アリスとしてここに告発したいと思います」
もう何が何だが……突っ込みどころが多すぎてどうしよう。そんな事を考えると背中を後ろから押された。履きなれてないヒールだった事もありよろけたままアリスの前に出てしまった。
「ユウティーシア嬢、あなたはクラウス殿下の婚約者ですわよね?」
アリスは何故かすごく誇らしげに俺に話しかけてきた。夜会場全ての視線が俺に向けられてきた。……早く帰りたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます