第17話
3日後、異例の速さでドレスが出来たと報告があり、着付けをしていた。
「これで如何でしょうか?」
エリーチカの言葉に前を見ると、姿見には俺の姿が映し出されていた。黒く長い髪はサイドに結われておりそのまま流れている。薄く化粧された表情は、少女を卒業したばかりの女性の色香を漂わせており均整の取れた体を強調するかのように仕立てられた白のドレスにより存在感をより一層際立たせていた。
「とてもいいと思うわ」
それからドレスと宝飾を確認した後、食事の時間になり食堂につくとお父様ととお母様の姿以外に、二人の男性の姿があった。見た限り、二人とも俺より年上か?
「ティア、パーティのドレスは決まったのか?」
「はい、お父様。すばらしいドレスをありがとうございます」
「そうかそうか」
俺の答えに父親が何度も頷いている。王家の娘が嫁ぐのがうれしいのだろう。
使用人に椅子を引いてもらい座ると2人の男性の視線が俺へ向けられてきた。
俺が怪訝な表情をしていたのに気がついたのだろう。
「ああ、紹介するのが遅くなったな。ユウティーシア、お前の兄達だ。イルーデルとウルズだ」
「お初にお目にかかれて光栄です。イルーデルお兄様、ウルズお兄様」
「初めてだね、ユウティーシア。父上に聞いてたとおりとっても愛らしいね」
「たしかに、ティアはかわいらしい」
2人は俺を褒めてきているが2人とも始めて顔を合わせた人なのだ、あまり兄妹と言う印象がない。
その日の夕食は、お兄様2人に質問攻めにされることになった。
------------------------- 第9部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
主人公、婚約者に接吻をされそうになる
【本文】
部屋の窓ガラスから朝日が入ってくる頃、部屋の扉が規則正しく2回叩かれる。
「お嬢様、朝でございます」
「お嬢様、朝でございます」
何度かノックの後に、公爵家の長女であり次代の王妃候補であるユウティーシアは目を覚ました。
「ええ、起きているわ」
ユウティーシアの言葉は凛としており聞くものに心地よい感じを頂かせており、部屋の主の許可が下りたことでユウティーシア付きの専属メイドでもあるエリーチカが部屋の扉を入室してきた。
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