第1話

 さて、もう一度現実を見よう。

足元にある俺の全身より大きい本と共に。


 最初は本は無かった。

ただ、現実逃避している間に『人外……』やら『転生……』やら『異世界……』やら色々と呟いていたら気づいたら現れていたのだ。

 表紙には『魂本ソウルブック』と書かれており、頑張って開いたら目次に『NONAME』『魂樹』『SP活用』の3つが書かれていた。


1ページ目ぇ……。


名前:無し(霧島 幸久)

ミニマムリーストバット:1/5

HP:1/3

MP:1/1

SP:1/1

【STR 0】

【VIT 0】

【INT 0】

【MND 0】

【AGI 0】

【END 0】

【DEX 0】

《スキル》

【飛行Ⅰ】

《称号》

【記憶保有者】


……。


2ページ目ぇ……。


魂樹ソウルツリー:毒】(開放不可)


……。


3ページ目ぇ……。


【SP:1710】

魂樹成長(不可)

スキル獲得



「_____」



 さて、もう一度現実を見ようか。

取り敢えず、この本の何処かに裏機能が、もっと実は強い能力が有る可能性を信じて。


《ミニマムリーストバット》

食物連鎖の最底辺に位置する魔物。

生まれたての人族であっても倒すことが出来る。

《HP》

生命力。

尽きると死ぬ。

STR×5、VIT×10加算

《MP》

魔力。

尽きると意識を失う。

INT×5、MND×10加算

《SP》

体力。

尽きると意識を失う。

AGI×5、END×5加算

《STR》

瞬間平均攻撃力

《VIT》

瞬間平均防御力

《INT》

瞬間平均魔法攻撃力

《MND》

瞬間平均魔法抵抗力

《AGI》

瞬間平均敏捷力

《END》

瞬間平均持久力

《DEX》

瞬間平均器用力


 瞬間平均持久力……?

全てにおいて0だが、平均ということは偶には1ぐらいは出てくれるだろう。

……出てくれるよな?


《記憶保有者》

前世の記憶を保有する者。

前世からSPを持ち越せる。


魂樹ソウルツリー

固有の資質。

魂樹(ソウルツリー)が有る者と無い者では力の格が違う。


【SP:1700】

活用先:無




 分かった事はただ一つ。


俺弱い……。


魂樹ソウルツリー:毒】なる強そうな能力が有るには有るのだが開放不可だし、よく見たら瀕死で今にも死にそうだし。

 多分、これは世に言う悪夢という奴なのだろう。

俺は飛行機で寝ていた訳だから、羽田空港に着いて友達に叩き起こされるまでの間は見続ける事になる悪夢。

 死ねば終わりそうだけれども、死ぬのは怖い。


 ……と考えていると、頭上からコウモリが落ちてきた。

上を見ると、一匹の大きな蛇に群がる沢山のコウモリ達。コウモリ達は周囲のコウモリを蹴落としながら、我先に蛇に食いかかっていた。

 地面に落ちる大量の血肉にコウモリ。中には落ちた衝撃で動かなくなったコウモリもいて……それを食べ始めるコウモリもいた。


「_____!!」

「_____!??」


 地面に落ちた腹いせにか、取っ組み合いを始めるコウモ……達は、頭上から降ってきたコウモリに潰されて死亡した。

 少し離れた所にいたおかげか巻き込まれずにすんだが、俺のいる場所もコウモリ達の真下である以上いつまでも安全という訳には行かない。

 いつの間にか消えていた魂本ソウルブックはこの際置いておいて、動かし方もイマイチ良く分からないこの体で頑張って移動を開始した。

 最初の目標先はすぐ近くにある蛇の白骨死体である。

あそこなら骨を屋根にして身を守る事が出来るだろう。


共食いをしているコウモリ達を横目に、四つん這いで低速移動をし続ける。

数分程でたどり着いた蛇の白骨死体は……なんと言うかボロボロで、ちょっと小突くだけ倒れてしまいそうだった。

 それに、先客がいた。


「「「tyuuu」」」


 白骨死体の下に固まっている沢山のネズミ達。数は6体と多いのか少ないのか良く分からない量だが、一体一体の大きさは俺の半分も無い事を考えると、本当に小さいのだろう。

 コウモリ達の中では俺よりも10倍ぐらい大きい奴もいたし。


此方を睨むだけで何も行動を起こさないネズミ達。名前や能力などが気になる所では有るが、骨を小突いて下敷きにしただけで……


〘レベルが上がりました〙

〘SP:10を獲得しました〙

〘レベルが上がりました〙

〘SP:10を獲得しました〙

〘レベルが上がりました〙

〘SP:10を獲得しました〙

〘レベルが上がりました〙

〘SP:10を獲得しました〙

〘レベルが最大になりました〙

〘進化が可能です〙

〘ミニマムレッサーバット・スモールリーストバット〙


え?

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