第四十八話 即身仏
とある海岸の街。そこには八百比丘尼の伝承があった。
八百比丘尼は人魚を食べ不老不死となった存在。飽くまで伝説の存在。
しかし……観光名所にしようという街の思惑もあり、その街の海岸の洞窟こそ八百比丘尼が消えた場所に違いないと本格的な調査が始まった。
すると、洞窟の一つから即身仏が見付かり街はちょっとした騒動に……。
即神仏の衣服は尼僧の姿ということもあり、街は本腰を入れて観光にしようと乗り出すこととなる。
即身仏はそのままという訳にもいかず、警察に届け出た後に近くの寺で供養を兼ねて祀ることに決まった。
しかし───。
即身仏を運んだ翌日早朝……市役所に一本の電話が入る。
それは即身仏を受け入れた寺からの連絡。今朝方起きて見ると即身仏が消えていたのだと住職からの連絡だった……。
その後、警察の調べで分かったことが幾つかある。
先ず、内部から戸締めをしていた筈の寺院の鍵は内側から開けられていたこと。そして外に向かう犯人らしき足形が残されていたが、寺に入って来た痕跡が無いこと。
最後に……寺の僧侶の衣服が一人分無くなっていたこと。
それら全てにはしっかりと指紋が残されていたが、身元の判らないものだったそうだ。
即身仏が無くなったことで観光計画は頓挫するかに思われたが、街は寧ろ勢い付いたのは余談だろう。
後に判明したことだが、即身仏を預かった寺の僧侶は夜中に寺院内を歩く若い尼僧を見たと証言していたらしい……。
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