第百話 奇談蒐集家


 百物語を行った後には何かが起こると言われている。


 現実的には百話を一晩で語るのは相当の調整や労力が必要だ。実際に百話に至る者は話を急くか、手順を省いている場合が多い。


 それでも……百話に至る者は居る。



 百話目には『青行灯』という妖怪が出るという者も居る。


 百話目の後にも何もないという者も居る。


 百話目を越えるとあの世と繋がるという者も居る。


 無論、迷信と言う者も……。


 そこで夕刻から本格的に試した者が居た。



 場所は古い寺院……一人一人に文字数を制限し下書きを用意させ、数日を掛け百話をやり遂げる時間配分を練習。そしていよいよ百物語へと挑んだ。



 結果から述べれば、百物語を終えて現れるのは━━──━━──━─…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。










 第百話目……はここで途切れている。友人の手稿はここで破られ続きが見当たらないのだ。


 ただ……手稿の残りにはコインロッカーの鍵が貼り付けられ、とある場所の地図が描かれていた。

 他にも幾つかの住所が書かれていて、何かの所在を示す記述があった。


 もしかすると、友人の手稿は他にもあるのかもしれない。



 私はそれを確かめてみようと思う。そして私自身も怪奇談に興味を持った今、少し本格的に集めてみようとも……。

 もし機会があれば、怪奇談はこうして陽の目をみることもあるだろう……。



 最後までお付き合い頂きありがとう。私は晴海和人……今は私が『奇談蒐集家』だ。



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