ももんがのももちゃん

五木史人

飛行船に乗って

「あれに乗りたい」


真夜中、大きな広場に停まった飛行船に向かって、パパももんがは走った。

あれに乗れば大空へ行ける。


鳥の様には飛べないパパももんがの大空への憧れは、止めきれなかった。


パパももんがは飛行船に掛けてある梯子を駆け登り、広い屋根の上に出た。


ここで待っていれば、いずれ大空へと飛び立てる。


パパももんがは日が昇るのを待った。


飛行船の屋根の上で後先を考えると、不安が心を襲った。

どこの行くか解らない。でも、


「もう後戻りは出来ない」


東の空に太陽が昇り始めた。



大きな広場に隣接している木の上で、ももんがのももちゃんは、パパももんがが乗る飛行船を見ていた。


「パパ、行っちゃったね。良いの?」


ももんがのももちゃんの隣で、山鼠のヤマネくんは言った。


「ももんがは森では弱い生き物。いつ命尽きるか解らない。

だから好きに生きた方がお得なんだよ」




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