第0077話 ユリコとザシャアに迫る危機

「ユリコさんっ!しっかりしてっ!そんなヤツの言いなりになっちゃダメっ!」

「あらま。あなたには私の魔法がかないのですかぁ?変ですねぇ?」


「私は神のきさきです!

 神の庇護下ひごかにある私にあなたごときが放つ精神支配魔法など利きませんっ!

 さあユリコさんを大人しく解放しなさいっ!それがあなたの身のためですよっ!

 ユリコさんはが夫が大切にしている女性よ!もし少しでもちょっかいを出すとあなたに待っているのは地獄の苦しみを味わいながらの死のみです!

 さあ!ユリコさんを放しなさいっ!」


 ユリコは目から涙をポロポロとこぼしながらもうつろな目をしている。

 この目は今まで何度か見た。そう、精神支配されている者たちが見せる、苦痛と悲しみがこもったうつろな涙目なみだめだ。


 ユリコの腰には今黒色のスーツを着た、目がつり上がっている男の手が回され、彼女の身体を男の身体に密着みっちゃくさせるようにせている。

 男の周りには、ユリコと同じようにうつろな目に涙をいっぱいめた女性たちが数人いて、男を守るかのように取り囲んでいた。

 女性たちは全員がベリーダンサーのような扇情的せんじょうてきな衣装を身につけている。


 ザシャアは心の中で『この男はもう終わりだな』とつぶやいた。


 男がユリコを精神支配した時点で既にアウトだ。ましてや、内心で嫌がっているユリコの腰に手を回して抱き寄せている……もう完全にシンの逆鱗げきりんに触れることは間違いない。

 既に男はユリコにちょっかいを出してしまっている。この男の末路まつろはもう見えた気がした。


 だが、今ここにはシンがいない……

 ザシャアは焦燥しょうそうする。もどかしい。自分の無力を思い知る。


 男はニヤニヤしながら目の前にいるザシャアを視姦しかんしながら……


「ふふふ。威勢いせいのいい女ですねぇ。でも、殺すにはもったいないいい女ですねぇ。

 後でこのユリコという女と一緒にたっぷりとかわいがってやりましょうねぇ。

 さあ、いとしのレディース!あの女を捕まえてきなさい!」

「ち、近寄ちかよらないでっ!近寄るとてますっ!」


「あなたにできますかねぇ?

 この子たちはみんな私に精神支配されて従っているだけなんですよ?

 神の后ともあろうお方が、罪もない者たちを斬り捨てられますかねぇ?

 やれるもんならやってご覧なさいな。あははは。

 さあ、みんな早く捕まえなさい!」


 女性たちはジリジリとザシャアとの距離とめる……


『ダーリン!助けてっ!』



 ◇◇◇◇◇◇◇



 さかのぼること1時間ほど前。その時点に一旦いったん話を戻そう。


 <<全知師。

  最小威力の光子魚雷を準備しろ。起爆までの時間は1分にセット。

  湖の最深部さいしんぶに転送し、転送後1分で爆発するようにセットしてくれ!


 >>承知!

  上空に待機している衛星より最小威力の光子魚雷を1本確保しました。

  起爆タイマーを1分にセット。

  ミニヨンが収集したデータに基づき湖の最深部を特定中……完了!

  転送準備が完了しました。

  起爆タイマーをスタートさせた後、光子魚雷を湖最深部へ転送しますか?


 <<よし。やってくれっ!


 >>承知!

  起爆タイマーをスタート。転送!

  湖最深部への光子魚雷の転送が完了しました。

  起爆まで残り52秒です。


 <<ありがとう。全知師。


 俺たちは湖畔こはん浜辺はまべにシールドを展開して成り行きを見守っている。


 ボブゥウォンッ!………ザザザザザザザーーーッ!


 しばらくするとにぶい爆発音がし、湖面こめんはげしく波立なみだち始めた……

 高さ10mほどの津波つなみせてきた!

 だが、もちろん、シールドが展開されているため俺たちは無事だ。


 津波かぁ、これソリトンだよなぁ……

 大学時代の流体力学りゅうたいりきがくの講義でチラリと出てきたな。あ、そういえば物性理論ぶっせいりろんでも出てきたっけか? だめだなぁ……もうほとんど忘れてしまった。とほほだよ……


 何度か津波は押し寄せてきたのだが、しばらくすると津波は俺たちのもとへとどかなくなる……湖の水位が見る見るうちに下がっていく……。


 成功だな。水が引いたら下の階層に流されずに湖底に残った魔物たちの殲滅せんめつだ。

 いや、それよりも先に進むことを優先すべきか……対岸へ渡ることをまず考えるべきだな。もうゴールが見えてきたからな。ダンジョンマスターのもとへと急いだ方がいいよな。よし。そうしよう。


 さてと、恐らく湖底はぬかるんでいるだろうな。まずは超低温化で凍らせるか。


 魔族のハニーたちやビィヴィは言葉が分からないから、念話回線を全員につなげてある。俺がしゃべる言葉はそのまま念話としても各人に伝わることになる。



「みんな!湖の水が引いたら、魚鱗ぎょりん陣形じっけいで前進する!

 その際に、先頭グループの者たちは、湖底だった部分を超低温化で凍らせながら進んでくれ!」

「それはどうして?」


「ミューイ。それはな。湖底だったところはぬかるんでいる可能性が高いからだ。

 カチカチに凍らせた方が歩きやすいだろう?」

「あー。なるほどぉ」



 地面を凍らせるとすべって歩きにくいんじゃないかと思うかも知れないが、キャットスーツとセットで渡してある装備、黒のブーツをいているから平気だ。


 たとえ氷の坂道だってすべらずに上っていける。


 垂直に切り立った氷の壁はさすがに二足歩行で登っていくのは無理だが、60度くらいの氷の斜面であれば二足歩行でも余裕で上っていけるすぐれものだ。

 第1階層……スライムがうじゃうじゃいたあの階層を凍らせた時に、その効果は実証済である。あの時、普通に歩けることにハニーたちは特に疑問を抱かなかったようだが……。



 念話と普通の会話が同時に行われているが、どうやらハウリングみたいな現象は起こらないようだな?

 ちょっとだけエコーがかかったように聞こえるのは……許容範囲きょようはんいだな。



「下の階層へ流されずに残った魔物が現れたら、各自の判断で倒してくれ!

 対岸たいがんにたどり着くのが最優先だ!逃げていく魔物を深追ふかおいするなよ!

 魚鱗陣形をたもったまま進むことを意識してくれ!いいなっ!」

 "はいっ!"


 現在のパーティーメンバーは……


 オークドゥ、翠玉、バジリドゥ、ディープレッド、ビィヴィ、

 ノアハ、ザシャア、ウェルリ、ジー、ソニアルフェ、

 シェリー、ラフ、ラヴ、ミューイ、

 ヴォリル、ミョリム、ラヴィッス、

 ユリコ、マルルカ、マイミィ、

 リガーチャ、

 スサク、リクラ、トフル……


 俺を除いて24人だ。これを4人ずつに分けて、6グループ作り……

 三角形状の魚鱗陣形となるように、先頭に1グループ、2列目には2グループ、そして、3列目は3グループを配置してこの先を進むことにした。


 なお、この魚鱗陣形は背後からの攻撃には弱い。

 だからそれにそなえて、つまり、背後からの攻撃に対処たいしょできるように俺はひとりで3列目の中央グループの後ろを進むことにした。


 ↑前方

  ▲

 ▲ ▲

▲ ▲ ▲

  ○ ←俺


 ちょうど↑こんな感じの陣形だ。


 水が抜けた湖底は複雑な地形をしている。この地形により展開できるシールドが制限される……極薄シールド以外は行動を阻害してしまうのだ。

 だから、完全防御シールドの展開の方は各自の判断にまかせて必要と感じた時のみ展開するようにと言ってあり……

 全員には極薄ごくうすシールドを常時展開してもらっている。


 なお、パーティーメンバー全体をおおうようなシールドも展開しないことにした。

 これも複雑な地形の影響で全体としての行動が制限される可能性が高いからだ。


 ティアラが展開する完全防御シールドは半径2mの球形の範囲に防御領域がおよぶため、防御力は高いのだが各人間の距離が広がってしまう。それに、複雑な地形の中を移動するにはシールドが邪魔になり、不向ふむきだ。この場合は使いづらい。


 一方、指輪が展開する極薄シールドの方は、身体全体に体型に合わせて薄く展開されるため、仲間との密着(シールド越しではあるが……)も可能であり、移動の支障となることもない。

 だから、今回のケースではこちらの方が動きやすく、適しているのだ。



 この陣形で超低温化を放ちながら少し進んでみて思わぬ利点が明らかになった。


 それは、超低温化を放っていくことで水の抜けた湖底だった場所の地中にひそんで攻撃の機会きかいうかがっていた魔物たちを、そのまま凍らせて倒してしまえることだ。


 地中に潜んでいる敵の攻撃を受ける前に殲滅せんめつできるメリットはかなり大きい。




 途中、何度かブルードラゴンの襲撃しゅうげきを受け、そのすべてを倒してきたのだが……

 その際になんとなく気になり、それとなくビィヴィの表情をうかがっていたのだが、彼女は同族が殺されることを悲しむような素振そぶりを一切見せなかった。


 それどころか、まるで彼等が倒されるのは至極しごく当然とうぜんのことだ…とでも言いたげな表情を浮かべていたのが印象的で……それを見て俺は内心ではホッとしていた。


 彼女の仲間を殺しているという罪悪感を抱かずにすんだからだ。



 ちょうど今も襲ってきたブルードラゴン7匹を倒し終えたところなのだが……

 やはり今回もビィヴィのことが気になり、彼女の方をチラリと見てしまった。


 ビィヴィと目が合った。彼女は俺に対してニコッと笑う……。


 だが、そんな彼女を見て、なんとなくかわいそうになってしまった。


 彼女は優しすぎたがゆえに、戦闘を好む同族たちからうとまれ、そして、最後には殺されかけたのである。なまじ彼女が強すぎたのがわざわいしたとも言える。弱ければおさになることもなかっただろうし、同族たちとうまく折り合いをつけながら平穏に暮らしていただろうに……。


 ただひとり、孤独にえながら……敵に囲まれたような状況の中で彼女は生きてきたのだと思うと切なくなる。


 この子も俺が守り、そして、絶対に幸せにすると心にかたちかったのだった。



 ◇◇◇◇◇◇◆



 俺たちは対岸たいがんを目指して順調に……というよりも快調に進んでいた。

 対岸が目視もくしできるようになり、みんなの足取りも心なしか軽くなってきたように思える。対岸を目指して進むスピードもかなりアップしている。


 俺はこのまま順調に対岸までたどり着けるものだと思っていた。多分、メンバー全員がそう考えていたことであろう……


 百里を行く者は九十里を半ばとす……とは、昔の人はよく言ったものだ。

 別に油断していたというわけでもないのだが……思ったようには、簡単には行かなかった。そんなに甘くはなかったのである!


 それは突然起こった……


 ドゥンドゥドゥドゥドゥドゥドゥ……グググゴゴゴゴゴ……グラグラグラ……


「地震だ!みんな!身を守れ!」


 なにやら地鳴じなりがしたかと思うと突然地面がれ出したのだ!


 ガラガラガラガガガガガガガガ……ゴゴゴゴゴォォォォーッ!

 ガガッ……ズガガガガガガガガガガガガ……


 地面が揺れ始めて数秒後、湖底だった場所の地面が崩壊ほうかいしだした!

 あれよあれよという間に、第8階層の湖底だった地面は、下の階層へと落下していったのだ。俺たちはそれに巻き込まれてしまった!


 最小威力の光子魚雷だったのだが、それは湖底の地盤じばんに予想以上の大ダメージを与えてしまっていたようだ。


 それでも、俺はまだこの時点では事態じたい楽観視らっかんししていた。


 全員が転移能力もあるし、念話能力もある。

 それにみんなは極薄シールドを展開していた。怪我をすることはないだろうし、離ればなれになってもすぐに合流できるものと考えていたのだ。


 だが、この後、俺はおのれ思慮しりょが浅かったことを思い知る……



 ◇◇◇◇◇◆◇



「……シン。だめよ…そんなところを触っちゃだめ。あなたには奥さんたちがいるじゃない。…ん?はっ!?きゃぁーーっ!いやぁーっ! ファイヤーボールっ!」


 ゴォーッ!ボフッ!ガァァァーーッ!……ボシュッ!



 第8階層の湖底崩落ほうらくはそれだけにとどまらず、場所によっては、第9階層の地面も崩落させてしまった。

 シンのパーティーメンバーたちのほぼ全員がその崩落に巻き込まれてしまって、下の階層へと落下していったのだ。


 ユリコも例外ではなく、崩落に巻き込まれて第10階層まで落下し、その途中で加わった衝撃で気を失ってしまった。


 深いやみの中にいるような状態から徐々じょじょに意識と感覚を取り戻しながらユリコは、何者かが自分の身体に触れているのを感じる……朦朧もうろうとする意識の中で、それは、その自分に触れている何者かはシンだとばかり思っていた。


 一線を越える前にシンをおもとどまらせるため、彼に話しかけようと重いまぶたを必死に開けたのだが、うっすらと開けた目に飛び込んできたのは……タコだ!?


 タコのような魔物が目の前にいて、彼女の身体をまさぐっているのだ!


 ユリコは恐怖し、悲鳴を上げながらも必死でファイヤーボールをタコ型の魔物に向けて放つ!

 目の前のタコに向けて放たれたファイヤーボールは、至近距離のため放たれたとほぼ同時にタコの目と目の間に当たり、タコは全身が火達磨ひだるまになる!

 タコはユリコをまさぐっていた触手しょくしゅ?足?を引っ込めて、その場でしばしのたうち回っていたのだが、すぐに絶命し『ボシュッ!』という音を立てて黒い霧となって霧散むさんした。


「はぁはぁはぁはぁ……も、もうイヤ! き、気持ち悪い……」


 ユリコがいる周辺はぼんやりと明るいが、すこし離れると真っ暗だ。たった今、タコ型魔物に襲われたばかりの彼女には、その暗闇の中にまだタコがうようよいるような気がしてならない。


 ユリコはいるかどうかも分からない見えない敵に恐怖する……



 ユリコから数mほど離れた岩陰いわかげで気絶していたザシャアは、ちょうど意識を取り戻した時にファイヤーボールが放たれるのを見る。


 ユリコだ!ユリコがいる!よかった!ユリコのもとへ行こう……


「ユリコさ………」


 ザシャアは、ユリコに近寄って声を掛けようとしたのだが……そのタイミングがマズかった!


「いやぁぁぁぁぁーーっ!ファイヤーボー……うっ……」


 ズ……ズサッ!


 タコに身体を触られてなかばパニック状態になっていたユリコは、声を掛けてきた相手を敵だと思い込み、悲鳴を上げながらファイヤーボールを放とうとしたのだ!


 だが、ファイヤーボールが放たれる前にユリコは再び意識を手放てばなしてしまった。


 シンがユリコとマルルカを加護する際に掛けておいた保険が……つまり、二人がシンやハニーたちに危害を加えようとしたら、その瞬間にすべての能力を失って、ただの平均的な女性になるというあの保険、イベントハンドラが実行されたのだ!

(→第050話後半参照。)


 ユリコはシンの后、ザシャアを敵と認識して攻撃神術であるファイヤーボールを放とうとしたため、敵になったものと判断されてしまい、彼女のステータス等々がごく平均的な女性レベルのものへと強制的に変更されてしまったのだ。


 ユリコが意識を失ったのは、変更を適用するために強制的にリブートがかかったからである。

 ユリコが今度意識を取り戻した時には、彼女はシンの加護を失う。そして、彼の庇護下からも外れ、無防備むぼうびな状態におちいってしまうことになる。



「ゆ、ユリコさん!ユリコさんっ!しっかりなさって!ユリコさんっ!」

「……ん………んん、うーん。……はっ?ザシャアさん?」

「よ、よかった!大丈夫ですか?」

「ええ。でもなんだか身体が重くて……なんか感覚も変なの」


「えっ!?ユリコさん!ひたいから血が出ています!えっ!?どうして?」

「うっ……、い、痛い……。意識を失った時にどこかにぶつけたのかしら?

 修復……あれっ?治らないわ。あれ?」


「えっ?私にやらせて下さい。修復!」


 ザシャアの修復神術は成功し、ユリコの怪我けがはすべて治る。


「岩にぶつけたくらいで怪我をされるとは……。

 ユリコさん、極薄シールドはちゃんと展開されていますか?」

「ええ。そのつもりよ。でも、念のためにもう一度展開してみるわね」


 ユリコは左手の薬指にめているシールド発生装置内蔵の指輪をサッとでる。


「あれ?どうしたのかなぁ?こわれちゃったのかな?シールドが展開できないわ」

「ひょっとしたら……。ユリコさん、攻撃神術は使えますか?」


「えーと。ちょっと待ってね。ファイヤーボール!…………???

 えっ!?ダメっ、使えないわっ!ウインドカッターっ!……だ、ダメだわ……」

「やはりそうですか……修復神術も使えなかったので、もしやと思いましたが……

 岩に頭をぶつけたショックで、神術が使えなくなってしまったのでしょうか?」


『ザシャアさん。聞こえる?』


 ユリコは念話でザシャアに話しかけてみたが……ザシャアからは返事がない。

 どうやら念話も使えなくなってしまったようだ。


「ザシャアさん。今あなたに念話で話しかけたのですが……」

「え?まさか……念話もだめなんですか?これは大変なことになりましたね。

 とにかくダーリンと合流して見てもらった方がいいですね」

「そうね……」


 その時である。ザシャアは、背後から人の気配が近づいてくるのを感じた。

 どうやら数名がこちらへと近づいてくるようだ。ダーリンたちだろうか?



 ◇◇◇◇◇◆◆



「おやおや。派手な音がしたので様子を見に来てみたら……いやぁ~、様子を見に来て正解でしたねぇ~。こんな上玉じょうだま2匹を手に入れられるとはねぇ。ふふふ」


 そう言いながら、真っ黒なスーツを着た男が、その背後に数名の女性をはべらせて近づいてきた。


 両端りょうはしがつり上がったいやらしい目をした男だ。薄気味悪うすきみわるい笑いを浮かべている。

 男の背後にいる女性たちの目はうつろで目には涙を浮かべているように見える。


 彼女たちは精神支配でもされているのだろうかとザシャアは思った。

 嫌な予感がして、ザシャアはユリコを背にかばいながら……


「だ、誰ですかっ、あなた方は!? 妙な気を起こすと後悔しますよ!」

「メスどもよ!われしたがえっ!……こっちへ来い!」


 男の目が一瞬赤く光ったかのように見えた。

 ザシャアは攻撃を受けるかも知れないと身構みがまえたが……特になにも起こらない。


「誰があなたなんかの言うことを聞きます……か? ゆ、ユリコさん!?」


 ザシャアの後ろにいたユリコがふらふらと男のもとへと歩いて行ったのだ!


 これはマズいと感じたザシャアはユリコの腕を取ろうとしたのだが、男は一瞬でユリコのもとへと移動して彼女の手を取り……

 グイッと引き寄せたかと思うと、ユリコの腰に手を回し、ユリコの身体を自分の身体に密着させるかのように抱き寄せたのだ!


 ユリコの目はうつろだ。だが、彼女の目からは涙があふれ出ている。


 ザシャアはユリコが精神支配されてしまったことを確信する。


「ユリコさんっ!しっかりしてっ!そんなヤツの言いなりになっちゃダメっ!」



 ◇◇◇◇◆◇◇



「いやぁ~重畳ちょうじょう!重畳! こんな上玉が2匹! 今日の私はついていますねぇ」


 ザシャアには罪のない女性たちを斬り捨てることはできなかった。

 女性たちに両腕をかかえられるようにして、無理矢理男のもとへと連れて来られてしまったのだ。


「ふふふふふ。たまりませんねぇ。さあ、それでは身体をおがませてもらいましょうかねぇ。ほら。あなたたち、服をぎ、全裸になりなさい」


 全裸になるように命令されたユリコは服を脱ぐためなのか、男から少し離れ……

 目から涙をボロボロとこぼしながらも無表情でキャットスーツのファスナーに手をかける……


「ユリコさん!ダメよ!しっかりして下さい!正気しょうきに戻ってぇーーっ!」

「なにをしているのです?あなたもサッサと服を脱いで全裸になりなさい。

 私の言うことを聞かないと、私のレディースたちをひとりずつ殺しますよ。

 神の后ともあろう者が、無辜むこの娘を見殺しにするのですかねぇ?さあ早く!」


 ザシャアは逡巡しゅんじゅんする……


 グシャッ!ブシューーッ!……ドサッ!


 男はザシャアがなかなか脱ぎ始めないのを見て、男の左に立っていた女性の頭をにぎつぶし、身体から引きちぎったのだっ!

 頭を引きちぎられた女性は首元から血をき出しながらその場に倒れる……


 むごい!


「さあさあ、グズグズしていると、またひとり犠牲ぎせいになっちゃうよ。さあ早く脱ぎなさい」

「わ、分かりました。あなたの言うことを聞きます。ですから、どうか女性たちを殺さないで下さい」

「最初から素直に従っていれば、この子は死なずに済んだのにねぇ。

 あはは。まあこの子の身体にはもうきてしまったので近いうちに処分しようと思ってたんだけどねぇ。あははははははっ!」


 なんてひどい男だとザシャアはいかりにふるえる……


 ユリコは既にゆっくりとファスナーのスライダーを下げ始めている!

 最初、首元にあったファスナーのスライダーはもうヘソのあたりまで下げられてしまっているっ!ユリコの胸の谷間はハッキリと確認でき、なにかのはずみで豊かな胸があらわになってしまいそうだ!


『ダーリン!助けてっ!助けてっ!凌辱りょうじょくされてしまいますっ!助けてーっ!』


 キャットスーツのファスナーのスライダーに手をかけながら、ザシャアは必死にシンへ念話を送り続けるのであった。



 ◇◇◇◇◆◇◆



「そのスーツを脱ぐ姿にはそそられますねぇ。そうして恥ずかしげに躊躇ためらいながらスライダーを降ろす姿……く~っ、たまりませんねぇ。

 後で……いや、今からたっぷりとかわいがってあげますからねぇ。期待していて下さいねぇ。ふふふふふ……あははははははっ!」


 男はたった今殺した女性の遺体を石ころのごとくり飛ばして、ユリコの方へと近寄りながら右手を伸ばす……


「もう待ちきれません。私がそのスーツをがして……」


 グィッ!グググッ……ブチッ!ブシューーッ!

 ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!


「ふぅ。どうやら間に合ったようだな。悪ぃな、ハニー。遅くなっちまった」

「ダーリン!」


 ザシャアたちが最早もはやこれまでか…と希望を失いかけたその時、危機一髪の状況におちいったその時に、シンが転移して来たのだ!


 シンはユリコへと右手を伸ばしている男のその右手首をつかむと後ろ手にねじ上げながら右腕を引きちぎったのだ!一切いっさい加減かげん容赦ようしゃもなかった!


 男の腕の根元、腕を引きちぎられた肩の部分からはすごい勢いで血がき出す!

 男はあまりの痛みに絶叫ぜっきょうしながら地面をころまわっている!


「……痛い!痛い!痛い!……れ、レディース!そ、その男を倒せ……」

「ダーリン!ユリコさんとその女性たちは男の精神支配下にあります!女性たちを殺さないで下さい!」

「分かった!」


 シンはユリコを含む精神支配されている全女性をターゲット指定して……


「基本システム、シャットダウン!」


 直後、ユリコと女性たち全員が意識をられてその場に倒れてしまった。


「だ、ダーリン!女性たちは……」

「大丈夫だ。意識を失っているだけだ。問題ねぇよ」


 シンは男をものすご形相ぎょうそうにらみつける……



 ◇◇◇◇◆◆◇



「おいっ!クソ野郎!

 てめぇ、よくも俺の大事な女性たちにちょっかいを出してくれたなぁ?

 覚悟はできているんだろうなぁ?

 普通に殺されるだけですむと思うなよ?……四肢粉砕ししふんさい!」


 ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!


 ん?一本引きちぎったから、三肢さんし粉砕か??


「てめぇのここが一番の元凶げんきょうだよなぁ。つぶしてやる……ぜっ!」


 グチャッ!……ぎゃあああぁぁぁぁぁ…………

 チョロチョロチョロ……


 思いっきり股間こかんを踏み潰してやったぜ!ざまあみろってんだ!


 男は絶叫すると意識を失ってしまった……白目をむいて口からあわき……

 失禁しっきんしている。


「性犯罪者には去勢きょせいが必要だぜっ!…って、ぶっ殺すから無意味なんだがな。

 まあらしめにはなるだろう……ははは」


 女性であるザシャアには股間を踏み潰されるその恐ろしさがピンとこないのか、不思議そうな顔をして俺の方を見ている。


「はぁはぁはぁ……お、おのれぇ~。よ、よくもやってくれたな。

 お、思い知らせてやる!……ドラゴン化!」


 地面で息もえに寝転がっていた男の身体が一瞬、目がくらまんばかりの強い光におおわれる……

 光が消えるとなんとそこには!体長が10mほどもあろうかと思われるブラックドラゴンが現れたのだ!


 咄嗟とっさに、ユリコ、ザシャア、そして、女性たちを連れてドラゴンから少し離れた位置へと転送で移動した。

 その際、ドラゴンに踏み潰されそうな位置にある、殺された女性の遺体も一緒に転送することにした。どうしてそこに女性の遺体があるのかは分からなかったが、なんとなく気になったからだ。

 状況から考えれば、女性はドラゴンに殺されたのは間違いないだろう。放ってはおけなかったのだ。無惨にも踏み潰させるわけにはいかない。



 改めてドラゴンを見る。引きちぎられた腕も、粉砕ふんさいされた三肢の方も修復されている? 完全体に戻っている!?

 股間は……残念ながら不明だ。完全体のドラゴンは"それ"を必要時以外は体内に仕舞しまっておけるのか、外からは確認できないようだ。

 あるいは、体長に比して…そのう……めちゃめちゃ小さい……粗チンか……。


 まあ、男のアレなんて見たくもないから、見えない方がいいんだけどな。

 でも……多分修復されていることだろうな。



 思った通り、コイツはひひじじいを絵に描いたようだとディープレッドが言っていたブラックドラゴンだったんだな。探す手間てまはぶけてよかったぜ。


 俺はすかさずザシャア、ユリコ、女性たち、そして、俺を守るようにシールドを展開する。ヤツは攻撃してくるに決まっているからだ。


「食らえっ!」


 ゴォォォォォォォーーーーッ!


 ブラックドラゴンはレッドドラゴンが放つ火炎放射がかわいらしく思えてしまうくらいの強力な火炎を放射してきたのだ!

 だが、これくらいは全く問題にならない。シールドが完璧かんぺきに防いでくれる。


「どうだっ!思い知った……か…ええーーっ!?私のか、火炎放射がかない?」

極小烈火弾ごくしょうれっかだん!目標、ブラックドラゴンの右腕!高速で発射!」


 スパーーンッ!

 ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!う、腕がぁ……腕がぁっ!痛い!痛い!痛い!


 米粒こめつぶほどの烈火弾がブラックドラゴンの右腕に直撃するや否や、ドラゴンの腕は一瞬で跡形あとかたもなく消滅してしまったのだ!


「はぁはぁはぁ……く、くっそうっ!お、お前は誰なんだ!」


 ザシャアが、左手を腰に当て、右手でブラックドラゴンを指差しながら告げる!


「私のダーリンですよ!即ちこの世界の神様です!

 私は警告しましたでしょ?ちょっかいを出すと、あなたに待っているのは地獄の苦しみを味わいながらの死のみだと。さあ!覚悟なさいっ!」


 ザシャアがそう告げている間に、ブラックドラゴンの消滅したはずの右腕が元に戻っている?ここは魔物生成の材料となる魔素まそあふれているダンジョンだからなのだろうか?それともブラックドラゴンのスキルなのか?


「ふふふ。神なんて怖くなどないねぇ。……デスっ!」


 ………………なんにも起こらない。


「へっ?ば、バカな!?私の闇魔法…即死そくし魔法の『デス』がかないなんて!?」

「てめぇはバカか?分かっちゃいねぇなぁ……そんなもん、神であるこの俺に通用するわけねぇだろうが?」


 ブラックドラゴンの攻撃って…この程度なのか?ちょっとがっかりだなぁ……。


 ヤツの攻撃など全く怖くない。問題はどう倒すかだな。

 恐らくヤツの魔石ませき破壊はかいしなけりゃ何度でも復活してくるだろうなぁ。

 俺の予想通りなのかちょっと試してみようかな。


「ウインドカッターみだち!」


 シュンシュンシュンシュン………

 ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!


 無数のウインドカッターがブラックドラゴンへ向けて放たれた。

 ドラゴンはける間もなくバラバラにきざまれた。……弱い。これがこの世界最強のドラゴン種なのか?本当にがっかりだ。


 しばらくするとやはりブラックドラゴンの身体は元に戻ってしまった。


「はぁはぁはぁ…金剛石こんごうせきよりも硬い私の身体を切り刻めるウインドカッターなんて初めてだ。くっそうっ!……強重力場きょうじゅうりょくば生成!」


 当然だがシールド内にいる俺たちには全く通用しない。


「ば、バカなっ!?重力系魔法も通用しないなんて……」

「お手本を見せてやろう……強重力場100G生成!」


 グブッチャッ!


 さすがのブラックドラゴンも自重じじゅうつぶれてしまった。

 だが、今度もしばらくすると復活してきたのだった。これじゃあキリがない。


「わ、分かった。わ、私が悪かった。どうか許して欲しい」

「ダメだな。俺の大切なハニーたちにちょっかいを出したんだからなぁ。

 絶対に許さん! 楽には死なせてやらないから、覚悟するんだな」


 ニヤリと笑ってやった。


「ひぃぃぃぃぃっ!わ、私は絶滅危惧種ぜつめつきぐしゅですよ。この大陸にはブラックドラゴンは私だけしか生き残っていないのです。言わば貴重種きちょうしゅです。

 そんな私を、か、神が殺してもいいんですかねぇ?ダメでしょう?ねぇ?」

「そうか?……だが、たとえ貴重種だろうが、てめぇなんか死んだって俺は一向いっこうかまわねぇけどな。

 いや逆にてめぇみてぇなクソ野郎は生かしてはおけねぇなぁ。ぶっ殺すのが世のためだぜ。 そうは思わねぇか? なぁ、ザシャア」

「はい。おっしゃる通りです。このような女性の敵を生かしておいては世のためになりません。成敗せいばいすべきです!」


「ということで……ぶっ殺す!」

「ま、待って下さい。わ、私が死んだらブラックドラゴンがいなくなるんですよ?本当にいいんですか?それで?」


「あのなぁ……てめぇ、俺が誰だか言ってみろ」

「この世の…この世の神……様で・す」


「そうだ。神だ。絶滅しようがなんだろうが、ブラックドラゴンを新たに創造することぐれぇ、この俺にはわけねぇことだっつうのっ!

 俺をなめんなよ、このスットコドッコイがっ!」

「ひぃぃぃっ!ど、どうかお許しを。そこにいる女どもはみんな差し上げますからどうかそれでご勘弁かんべんを……」


 ブチッ!……堪忍袋かんにんぶくろが切れる!


「四肢粉砕!」

 ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!


 しばらく地面で巨体ゆえに地響じひびきを立てながらころげ回っていたが、すぐに粉砕骨折ふんさいこっせつは修復されてブラックドラゴンが復活する。


「はぁはぁはぁはぁ……」

「バカか?この子たちはてめぇのモノじゃねぇっつうの!

 今の言葉を聞いた以上は、もう絶対に勘弁かんべんならん!

 烈火れっかかべ!あのクソブラックドラゴンをこの世から完全に消し去れ!」



「ひぃぃぃぃぃっ!おゆる…し……」

 グゴォォォォォォォォーーーーーーッ!


 幅30m、高さ20mの烈火の壁が高速でブラックドラゴンへと向かっていく。

 一瞬でブラックドラゴンがいた場所を烈火の壁がなめた。ブラックドラゴンには逃げるを与えることはなかった。


 烈火の壁が通り過ぎた後にはなにも残っていない……

 魔石も含めてブラックドラゴンを完全に消滅させたのだった。



 ◇◇◇◇◆◆◆



「修復!からのぉ~蘇生そせい!」


 ブラックドラゴンに無惨むざんにも頭をにぎつぶされて殺された女性を蘇生させたのだ。

 精神支配をされていたユリコと女性たちは、ブラックドラゴンが消滅したことでその支配から解放されて精神支配は解けている。


「う……う…う……」


 蘇生させた女性が意識を取り戻す……


「……ここは……。ううう……うわぁーーーん!」

「おお、よしよし。さあ、もう大丈夫だぞ。お前さん、ひでったなぁ」


 女性は俺にすがりつき泣き出したので、その頭をでてなぐさめる……


「ダーリン。ここは私が……」


 そう言うとザシャアが、俺にすがって泣いている女性を俺から引きがしてせた。ちょっとヤキモチを焼いてくれたのかも知れない。


「ダーリン。ユリコさんの様子がおかしいのです。どうもダーリンの加護が消えてしまったようなのです。ユリコさんを見てあげてくれませんか?」


 ユリコも呼び寄せて、彼女たちがこの階層に落下してからの話をくわしく聞いた。


『し、しまった!

 ユリコとマルルカに掛けておいた保険のことを完全に忘れちまってたぜ!

 この子たちが敵に回っても大丈夫なように……ハニーたちを攻撃しようとするとすべての加護を消し、ステータスを一般女性レベルに落とすようにしていたんだ!

 今回敵と間違えてユリコがザシャアを攻撃しようとしたことでそれが実行されちまったんだな……ふぅ~。きもえたぜ。ユリコが無事でよかったぁ~』


「あれ?シン、すごい汗ね?大丈夫?」

「ああ……ユリコが無事でよかったと思ってな。冷や汗が出ちまったぜ」


 う~ん、うそじゃないもんな。これは本当のことだ。うん。


「今すぐ加護をし直してやるからな……」


 野営用のテントを設営する。

 ザシャアに、ブラックドラゴンに精神支配されていた女性たちを風呂へ案内してもらい、彼女たちには汗を流してもらうことにして……そして、その間にユリコの加護をし直すことにした。


 ユリコが一般女性レベルに変更される前のステータスデータ等については、実はバックアップされている。

 ソフトウェア開発にたずさわってきた経験上、どうしても、データ復旧が必要になる可能性を考えてしまい、当たり前のごとく書き換え前のデータをバックアップするためのソースコードを無意識のうちに組み込んでしまっていたからだ。

 今回はそれがさいわいしたのだ。あれこれ考えることなく、サクッとリストアすればそれで終わりだ。


「それじゃ、ユリコ。そこのベッドに横になってくれ。

 あっ!心配するなよ!やらしいことなんて一切しねぇからな。ははは。

 ちゃんと分かっているぜ? どうせ『やらしいことはしないでしょうね?』とかなんとか言って俺をからかおうとしてたんだろう?ははは」

「そ、そんなことしないわよ。失礼しちゃうわね。ふ~んだ」


 バックアップデータからのリストアは一瞬で終わった。


「さてと……それじゃぁ、これから加護を有効にするから、ちょっとの間だけだが意識が飛ぶからな。そこで目を閉じてリラックスしていてくれ。いいな?」

「分かったわ。どうぞ」

「よし!リブート」

「…………はっ!……ああ。力がみなぎってきたわ!ありがとう!シン!」


 ユリコが突然ベッドの端に腰掛けて様子を見ていた俺に抱きついてきた。


 ん?ユリコが震えている?泣いているの…か?


「うう…こ、怖かったわ。とても怖かったの。

 あの男に凌辱されるんじゃないかと……うう。

 ありがとう……シン。ありがとう……ううう……」


 原因を作ってしまったのはこの俺だ。後ろめたい……

 この子を今度こそ守ると約束しておきながら……この有様ありさまだ。自己嫌悪じこけんおおちいる。


「ごめんな。ユリコ。本当にごめん。……無事でよかったぁ。本当によかった」


 ユリコは顔を上げ、うるんだ目で俺を見つめる……

 二人の間の引力が強まったかのように錯覚する。自然と顔が近づいていく……


 二人はどちらからともなく、お互いに唇を求め合ったのだった……



 ◇◇◇◆◇◇◇



『ダーリン!大変ですっ!至急しきゅう来ていただけませんか!?一大事いちだいじです!』


 ユリコもザシャアも今は風呂に入っている。ブラックドラゴンの精神支配を受けていた女性たちも一緒だ。


 俺は野営用のテントのロビーで女性たちが出てくるのを待っていた。

 そんな時にシェリーから念話が入ったのだ!


 彼女にしてはめずしくあわてているなぁ?


『どうした、慌てて。お前さんにしては珍しいじゃねぇか?なにがあった?』

『それが……ダンジョンマスターが……』


 そう言うとシェリーからの念話が途絶とだえた!マズいっ!


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