いざ! 神都へ!
第0001話 プロローグ
俺はこの世界の神である……らしい。
しかしなぁ……、
「どうすりゃいいんだ! この状況を!!」
俺の背後は切り立った
今、そこには、
皆、ガタガタという音が聞こえてきそうなくらいに
俺たちを取り囲んでいるのは……ゴブリンの群れ!
おおよそ50匹はいるぞ!
ゴブリンたちは突然俺が出現したことでたじろいだのか俺たちからちょっと距離を置き、攻撃の機会を
なんてこった!
◇◇◇◇◇◇◇
この状況に
目を開けて最初に見たモノは、
ボーッとした頭で状況を
……
『ああ、私はこの女性に
私は出勤途中に駅のホームで目の前が真っ暗になったことを思い出す。
あぁそっかぁ、駅のホームで意識を失ったのかぁ?
……この人は私を
今朝も、いつものように、
少しでも長く寝ていたいので、いつも時間ギリギリまで寝ている。
無理矢理起きるためか食欲がわかないし、時間も無いので最近は朝食をとったことがない。
まるで
「あぁ、すみません。私は気を失ってしまったんですね?
ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
と言いながら体を起こそうとする。
だが、体が
やっとの思いで体を起こし……
『ちゃんとお礼を言わなければ……』と、女性と向き合うように
私が
えーっ! 私は何かマズいことでもしたんだろうか???
私がドギマギ困惑していると……
「やはり上様はこの世界での記憶を失われてしまったのですね……お
「えーっと、すみません、私には
と、その時である。
ん? その風のお
あれぇ? ここは……駅のホームでは…ない? よ・なぁ?
えっ? 大草原のど真ん中なのか!? ……どこなんだここは!?
しかし……この
私は駅のホームで
「あのぅ?
私は死んでしまったのでしょうか?……
私は、目の前の美しい女性の返答を待たずに、思いつくままに次々と思ったことを口に出してしまった。
「いえ、上様。 ここは
そしてこの第10911実験宇宙空間の者たちからすれば貴方様こそがまさしく『神』であらせられます」
「……」
理解が
んん!?
あぁ、うんうん。 そうだぁ…きっと私は夢を見ているんだぁ……。
最近、"異世界転生モノ"にハマっていたからなぁ~。
だからこんな夢を見ているんだな~。 うん、きっとそうだ。 うんうん。
私はあるIT企業で、
会社は残業代を払いたくないのだろう、名ばかりの管理職にされて……。
まさに地獄だ。
たまに取れる休日は外出する気力すら
しかし、勇者や賢者、スライムじゃなくて【神】になる夢とはな……。
誰にも邪魔されることなく、やりたい放題、好き勝手に暴れたいという願望の現れなのだろうか?
ふっ、笑っちゃうよなぁ~まったく。
今はまだデスマーチってほどには
いや、
いずれにせよ相当ストレスが
ふぅ、これじゃぁ先が思いやられる……。
一瞬、目の前の美女の顔に……
『何をスットコドッコイなことを考えているんだか!』
というような、あきれたかのような表情が浮かんだかと思うと……
彼女の両手がスッと私の顔の前まで伸びてきた。
「
「
出し抜けに目の前の美女が、両の手で私の左右両方の
「上様、今ご確認いただいたように、この状況は"夢"ではございません」
痛タタタッ……。
ん? 何?……ひょっとしてこの人は私の心が読めるのか?
「はい上様。 貴方様と私は心の奥でつながっておりますから」
と、美女はドヤっ! と言わんばかりの顔をしながら言った。
白のブラウスに黒のスカート……
どういうわけか
その
『それだけに……うーーん、このドヤ顔はいただけないなぁ。残念だ!』
「うぐっ……」
女性はダメージを受けたかのように一瞬たじろいだ。
「そそそ、そんなことより、まずはこの世界についてご説明申し上げます」
彼女の説明によると、彼女の名前は"シオリ"。年齢はひ・み・つ! とのこと。
この惑星ディラックにおける私の
女性だから年齢は
「上様の
とのことらしい? うーん、シモベって???
高度な科学技術力を
意味がま~ったく分からん???
このディラックという名前のMクラス実験用惑星が
このアファインは主に、"ヒューマノイド種族文明の発展観察実験用"の宇宙空間であるらしい。
この宇宙空間内で適当に
そして、その後どうなるのかを
この宇宙……アファイン内で監視対象となっている"すべてのMクラスの惑星"に、私の"存在"の"
私の場合、そのネットワークへアクセスするためのIDもパスワードも共に忘れてしまっているため、現在、神域からは
今の私はこの惑星のローカル・エリア・ネットワークにのみアクセスできる状態となってしまっている。
他宇宙を
ただ……シオリさんはあくまでも管理助手であり、私が本来持つ
「シオリさん。 グローバル・ネットワークの管理者にお願いして、私の新しいアカウントを発行してもらうことはできないのでしょうか?」
「はい。きっとそう
『おおっ! シオリさんは美しいだけでなく、かなりできる人だな!』
あれ? シオリさんが
「それではすぐに新アカウントを発行してもらえるんですね?」
「それが……担当者が
「300年!……えっと、それはこの惑星での300年ということでしょうか?
でしたら、地球時間に直すとどれくらいに
「全く同じです。300年です。
ちなみに、この宇宙は、地球が存在する宇宙と同じ
「開発キットですか?」
「はい。 ゼロから宇宙を
「なるほど」
「この惑星ディラックは惑星の名称の他、生命体の種類や大陸の配置等、オプション指定が可能なものについては、地球でそれぞれに対応するものとは異なりますが……
調整が可能な項目についてのデフォルト値や、オプション指定できないもの等々は地球と全く同じなのです。 1日の長さや1年の日数等も地球と全く同じです」
そして、この惑星ディラックで行われている実験のテーマは……
『管理者である私と、各ヒューマノイド種族との間に生まれた子供たちに、
この惑星を
それを
ん? 各ヒューマノイド種族との間に生まれた子供たち?
えっ? これって……
必然的に私のハーレムが作られることになるんじゃないのかっ!?
さっきドラゴンが上空を飛んで行くのが見えたこともあり、一体どんな種族がいるのか怖くなって
『"異世界転生モノ"のラノベ
どうぞご期待下さ~い』
との返答が返ってきた。
主人公を支える美人パートナー……
と、考えていると……。
「
正確には、
もう少し発見が遅れれば、
「転生や転移ということではなくて……ん? 生還…です・か?」
「はい。上様はこの惑星ディラックの中に『
その参考にしようと視察するために、この惑星ディラックと環境がほとんど同じである監獄惑星"地球"に
そういうとシオリさんはギュッと
「がっ! あの地球のクソ管理者めっ!! ヤツの
はっ、すみません! げ、下品な
そう言って
彼女の話では、地球の管理者のミスで私は
そして、私は
地球が存在する『 第1701宇宙空間( 通称はエンタープライズ )』は、その宇宙空間に存在する全惑星が
他の宇宙空間とはちょっと異なる、特別な宇宙空間だということであった。
主に、他の宇宙で重罪を犯した者の魂を『浄化・
私が "生きていた" 地球という惑星は、各宇宙空間に存在する『地球型のMクラス惑星』の
それらの対象となる惑星で凶悪犯罪を犯した者たちの魂だけが集められる、重罪者専用の『 監獄惑星 』であるということだった。
地球での"死"は『
なんか
でも、そう言われてみると私の回りでは、皆から"いい人"と思われていた人たちは早死にすることが多かったなぁ……。
反対に、早くくたばって欲しいと願いたくなるような "あくどいヤツ" ほど……
なかなかくたばらずに、しぶとく長生きするんだよなぁ。
……まぁ、逆は必ずしも真ならずだし、単なる個人的感想ではあるのだが……。
「これで一通りの説明が終わりました。
では、次に、管理者用のアプリケーション、管理補助用人工知能クライアント他を上様にインストールします。
その後に基本データのバックアップをリストアしますので……
恐れ入りますが、もう一度私の
いやはや、こんな美人にまた
「では。すぐに作業は完了しますので、その間はリラックスしていて下さい。
それでは、軽く目をお閉じ下さいませ」
シオリさんは、神域ローカルネットワークがどうやらこうやらとか……
インストール、リストアがどうのこうのといったことをブツブツと
「リストア完了! 上様より与えられていた"管理助手シオリの権限"によって上様の基本システムを強制リブート!」
と、シオリさんが口にした瞬間、私の意識はブラックアウトした……。
◇◇◇◇◇◇◆
「システムの再起動が完了しました。
上様、もう目を開けていただいて
という言葉に、私は
一瞬『会社で
『
なぜこんな寝ぼけたような状況になってしまったかというと……
再起動し目を開けたら目の前には
こんな画面を見ていると胃が痛くなりそうなので、何とか消せないものかと右手で空を
「あ、通常画面を表示させるには『通常画面へ移行』と念じて下さい」
指示されたように念じると
「通常画面、ステータス画面、マップ、開発画面等々……
複数の画面がバックグラウンドで起動しており、念じることでその切替が可能なのです」
「シオリさん、仰るようにしたところ通常画面には戻りましたが、今、あなたの頭の上に何やら金色の矢印みたいなものが見えますが、これは何でしょうか?」
「それは"ターゲットカーソル"と呼ばれるものです。
何らかのアクションをする際に、その対象を指定するために使用するものとお考え下さい。 上様の配下の者は、その等級によって
"金色"、 "銀色"、 "赤銅色"
で表示され、今申しました順に階級が下がります。
"スカイブルー" → "緑" → "黄色" → "赤色" → "黒色"
という順に
管理システムの
"スカイブルー"色のカーソルはピュアな
一方、"黒色"のカーソルは
ターゲットカーソルの色は【魂の色】とも呼ばれます」
「なんか、ゲーム画面を見ているようですね」
「げーむがめん??
上様、申し訳ありません。
「あ、いいです。
「はい。ではターゲットカーソルに意識を集中して、"ステータス表示"と念じてみて下さい」
シオリさんは異世界転生モノのラノベの知識はあったよな?
でも……ゲームの事はよく分からないのか、ふーん……。
そんなことを一瞬考えてからシオリさんのカーソルを
するとゲームでお
「17歳! シオリさんは17歳なんですかっ!?」
と、思わず叫んでしまった。
はっ! しまった! これは失礼
やっちゃったぁ~~!
『
彼女の
この大人の色気を感じさせる
「に、に、に、24、5歳ですかぁ……」
シオリさんは私の心を読み……
まるで彼女の頭上に『ガーン!』というような文字が浮かび上がってきそうな……ショックを受けたような表情をしたかと思うと、ションボリしてしまう。
マズいっ!
「す、すみません。 想像されているような意味ではなく……
年取っているというのではなくて、年齢にしては美しすぎるというか、しっとりとした大人の
どんどんドツボにはまっていく……。
「……」
シオリさんは無言。 気まずい……。
このまま心の声がダダ
「あのぉ~、シオリさん、私の心の声がシオリさんにダダ漏れなのを何とか……」
私が
「はい。上様。 ご自身をターゲットとして開発画面を表示して……
プロパティ・ウィンドウに意識を集中させて下さい」
「はい。 プロパティ・ウィンドウに意識を集中しました」
「では、表示されているプロパティの中から"テレパシーモード"をご選択下さい。
インストールされている"開発環境のバージョン"によっては『念話モード』と表示されているかも知れません。
"選択"は対象に意識を集中することで可能です」
シオリさんは
「……選択できましたら表示されるドロップダウンリストの中から『必要時のみ』をお選び下さい。 変更意思の確認画面が表示されましたら"OK"をご選択下さい」
「はい。 選択しました」
「これで上様が必要と思われる時にのみ、私に対してメッセージが送れるようになりました……。 ですが……ちょ、ちょっと寂しいですぅ。 とほほ」
ん? シオリさんの言葉の最後の方が良く聞き取れなかったけど……
まっ! いいかっ!
念のために心の中でシオリさんに呼びかけたが、シオリさんは無反応であった。
うん。これで一安心。
今度はシオリさんにメッセージを送るという意思を持って……
『シオリさん、モード変更が無事に完了しました。ありがとうございます』
と、心の中で
「いえ、上様。 お役に立てたのでしたら
という返事が返ってきた。
なるほど。 念話はこう送れば良いんだな。 理解した。
しかし……幸甚だって? とても17歳の女の子が使うような言葉じゃないよね。
ん? この世界の言葉って日本語なのか? それとも……
異世界あるあるじゃないけど何らかの仕組みで勝手に
まぁ、言葉が通じるのだからどうでもいいっかぁ……。
「では次に『世界管理システム補助AI【
そうすることで、上様にとって必要と思われる時や、上様の要求に応じて、
シオリさんに言われたとおり起動すると、何かしたいときにどうすれば良いのかが自然と分かるようになった。 これは便利だ!
ん?アニメにもなった、あの異世界転生モノの大ヒット小説に出てくる"
「あのぅ……上様。
シオリさんが非常に言いにくそうに声をかけてきた。
「はい、何でしょうか、シオリさん?
「はい、では上様。 失礼ながら……そのお言葉使いを変更された方がよろしいかと
「どうしてでしょう?」
「かつての上様は、もう少し……なんというか……乱暴な言葉遣いをされていましたものですから……
老婆心ながら、今のままですと、そのお言葉使いが"
「なるほど。 人格が変わってしまったかのように見えてしまうのですね?
しかし今の私にはこれが普通ですので、このしゃべり方を変えるのはちょっと抵抗がありますし……難しいのですが、どうしたものでしょうね?
でも、この世界で生きていこうと思うのなら変えた方が良いのかなぁ……」
と、口にすると
>>お答えします。
マスター自身のプロパティウィンドウ内の【キャラクター設定】を選択して……
表示されるドロップダウンリストの中から【
シオリさんが私の疑問に答えようとしている。
それで、それを
「あ、シオリさん、今【全知師】からアドバイスを
プロパティの変更で対応できるらしいので試してみます。
少々お待ちいただけますか?」
「あ、はいどうぞ。私も同じことを申し上げようと思っていました」
しかし、"俺様キャラ"ってなんだ?
こんな設定があるとは……本当に現実なのか???
早速、【全知師】のアドバイス通りにプロパティを変更してみた。
その
自分のキャラが変わった瞬間である。
直後、地球における人生で俺が背負ってきた色んな物事……
人生のほとんどすべてがどうでも良い
日本人としての俺、【
バカみたいに人に気を使ってきた。
社会人になってからは特にそうだった。
なんとも虚しくてアホらしくてしかたがない。
日本人としての一生をすべて完全に消去してしまいたい思いに
……が、一瞬、ズキッと心が痛む。
ああそうだとも、忘れない!
いや、どんなことがあっても忘れられるわけがない!
……彼女との思い出だけは絶対に!!
しばらくボーッとしてしまった。
いかんいかん。気持ちを切り替えねば……。
周りの風景でも見て気持ちを落ち着けようと見回す……。
が、開発画面やプロパティウィンドウが表示されたままで見にくい。
それで
通常画面に戻ると目の前にはシオリさんがいる。その彼女の姿を見て……
『やっぱり17歳には見えないよなぁ……しかし、美人だよなぁ……』
なんてことを考えていると、ふと自分のことが気になりだした。
そういえば、シオリさんは『魂だけの帰還』と言っていたよなぁ……。
となると……この世界での俺の肉体は、日本人だった頃の俺の肉体とは異なるってことになるよな? 論理的に考えればそういうことになるよな、当然?
この世界に戻った俺の肉体年齢は一体何歳なんだろうな?
やはり、日本で人生を終えた時の年齢なんだろうか?
気になって俺は自身のステータス情報を確認してみた……。
「えーーっ!? 俺も17歳なのか!?
いやいやいや! これはあり得ねぇだろう!
あっちで死んだ時、俺はいい年こいたオッサンだったのにっ!?」
17歳に若返っていたため驚いて大声を出してしまった!
「……」
俺のキャラが……俺の言葉遣いが大きく変わったことが原因なのか、シオリさんが固まってしまっている!?
「お、お帰りなさいませ
目に涙をいっぱい
シオリさんが喜んでいるようだな。 キャラ変更は成功のようだ!
でもなぁ……な~んかまだ俺にはシックリこないなぁ、このキャラは。
「お、おうっ! ただいま!」
◇◇◇◇◇◆◇
「ところでさぁ、シオリさんや。
その"上様"っていう呼び方を……止めてくんねぇかな?」
「では、どのようにお呼びすればよろしいのでしょうか?」
「俺が日本人をやってたときは、
【
という名前だったんだ。
それで、"シン"とか"シンちゃん"って友達には呼ばれてたんだが……。
俺とシオリさんは
「そ、それはどうかご
「じゃぁあ俺は"シオリ様"って呼ぶよ? それでもいいかい? シオリ様!」
「し、シオリ様だなんてっ! お、おお、お
"シオリ"と呼び捨てにして下さるようにお願いするつもりでしたのに……」
「からかってなどいないさ。シオリさ・ま!」
「ううっ、どうか
「しようがねぇなぁ、じゃぁ、それでいいよ。
今のリアクションがかわいかったからなぁ……俺は"シオリちゃん"って呼びたくなったぜ。 だから、そう呼ばせて貰うな!? いいよな、シオリちゃん!」
「本当は"シオリ"と呼び捨ての方がシックリくるんですけど……ごにょごにょ」
シオリちゃんとの会話を楽しんでいると突然!
頭が
[[[[[[[ 神様!! 助けて!! ]]]]]]]
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