第3話 kuso小説の十ヶ条 接触編
いや、『過言じゃないのです』で終わらすなよ。
歴史ドキュメンタリーのリポーターか?
ここからはちゃんとタイトル通り、kuso小説の書き方について説明します。
まず、自分はkuso小説がなんなのかについての説明は出来ませんが、先程書いた通り本物川界隈や色んな読者の方々が『これはkuso小説だ』と感想を下さることがあるので、経験則からそういった小説の特徴を挙げていきます。
既にkuso小説を書かれている人には今更な点や自分とは違うなという点もあるかと思いますが、あくまでも自分の経験則なので目を瞑って貰えると助かります。
kuso小説の十か条その一
『完結している事』
そもそもですが、途中で投げやりになって投げ出した作品はkuso小説以前に評価をされません。
特に読者に喧嘩を売る感じで終わるのはもっての他で、打ち切りエンドの典型パターンの「オレ達の戦いはこれからだ!」でもいいので何らかの終わりを提示する事が必要です。
途中で書くのに飽きたりネタが無くなったりしても一通りの区切りはつけましょう。
この時に綺麗に終わらせるのではなく、急に新しい設定を生やしまくって投げやりを通り越したジャベリンレイン級まですると逆にkuso小説としての香りが漂うので、それも有りっちゃ有りです。
読者に喧嘩を売るのはいけませんが、読者を置き去りにして「着いてこれるか?」と肩越しに ニヤリ とするのはkusoみが高いです。
kuso小説の十か条その二
『テーマを決めたら一気に書き切る』
今回の作品はこのテーマで行こうと決めたら、後はそのテーマについて心の赴くままにkuso小説を完成まで一気に書き切りましょう。
他の作品と並行して作るのはテーマがぶれる危険性がありますし、時間を置くと(なんでこんな作品書いてるんだろう)と冷静になってしまうので推奨出来ません。
この時に建てるテーマは「おっさん・人魚・プリンセス」や「巨大・餅・襲来」や「賢者・男性・妊娠」の様に三つの単語を組み合わせておかしみを出しておくとやりやすいです。
三つうち一つは他と繋がらないような単語だとkuso小説っぽくなります。
kuso小説の十か条その三
『プロットは練らない』
もともと自分はそれほどプロットを練るタイプではないのですが、kuso小説に関しては完全にその場の勢いだけで書いてます。
なので伏線なんか張ってないどころか投げっぱなしの部分だらけです。書いてる側も予測不可能なので伏線とかそういう問題ではないんですね。でも、何故か最終的に伏線を回収したっぽくなる事が多々あります。不思議ですね。
kuso小説の十か条その四
『読者が予測不可能な展開やキャラを出す』
kuso小説が普通の小説と大きく違う点として、まず通常では考えない展開にする&キャラを出すというのがあります。
だいたいの物語は王道に沿った物であり、横道な作品でも「王道を逸れる」という王道に沿っています。
だからこそ読者は王道に安心したり、王道をひっくり返す横道を意外に思ったりするのですが、そういった(ここはこうなるだろうな…)という読者が考える筋道を完全に予測不可能な流れにするとkusoみが醸し出されます。
よく本物川界隈の方々が仰っている「ゴリラを出せ」が分かりやすい例で、物語の流れを無視して急にゴリラを出すと読者も作者も予測が不可能になりますね。
kuso小説の十か条その五
『だいたい喜劇』
kuso小説は基本的にコメディであり、だいたいが笑える展開で終わります。
kuso小説は喜劇じゃないといけないとは言いませんが、ただでさえ予測不可能な事態なのに悲劇にしたりホラーな展開にすると読む時にかなり疲れますし、kusoみが作品の粗に見えてきます。
特にホラーはお約束を守ってこそな所がありますので、そのお約束の部分でkusoを発揮すると途端に喜劇になってしまう危うさがあるでしょう。『忍び寄る恐怖の正体は人の影にのみ生息するシャドウゴリラだった』と書かれると怖さが違う方向へ行ってしまいますよね?なんだよシャドウゴリラって。
ただ、逆に言えば悲劇やホラーでもkuso小説を書ける人はめちゃくちゃkuso力が高い人の証拠なので、出来る人はどんどん
kuso小説の十か条その六
『細かい説明はしない』
kusoキャラを出してkuso展開にした時、そのkusoについての細かい説明はしない方がいいです。
というのも、kuso小説は予測不可能な事態が特徴という部分があるので、その予測不可能な部分を説明してしまっていてはkusoみが薄れてしまい、kuso小説ではなくファンタジー小説に傾いてしまいます。
濃密な設定を裏で用意しておくのはそれはそれでOKです。ただ、作中で説明を入れるとしても、「○○は□□である」という端的な説明で断言するぐらいが丁度良いでしょう。
かの有名な映画監督が宇宙では音が鳴らない事をツッコまれて「俺の宇宙では鳴るんだよ」と返した時の精神を見習いましょう。俺の作品ではこうなるんだよ。余所の作品や現実の事なんか知らねぇ!君よ俺で分かれ!!という精神です。
kuso小説の十か条その七
『最初に強いインパクトを与える』
これはkuso小説に限らずにどんな小説でも当て嵌まると思うのですが、開始数行で「この作品はこういう物です」と分かる様な物を書いておくと読者にとても優しくスムーズに事が運びます。
kuso小説は見ようによっては幻想的なホラーに読めない事も無いので、そうならない様にも最初から読者が首をひねるような何かを提示しておくとベネです。
これは本文の最初に書かなくてはならないという訳ではなく、タイトルや見出しなんかでそう分かる様に提示しておいても良いです。
kuso小説の十か条その八
『クライマックス前まで休ませない』
kuso小説は起承転結や序破急といったオーソドックスな流れを組まず、最初に強いインパクトを与えたら、そのままゴール前までずっと強いインパクトを与え続ける作品が多いです。
例えるなら起転起転結や序急急という感じでしょうか。いきなり予測不可能にしたらそのまま予測不可能を続けて、最後にようやく少し落ち着かせてからドーン!!な感じです。
クライマックス前に休ませるのは緩急を付けるためでもありますが、そんなにずっとハイテンションはkusoを垂れ流していると書いているほうも人の形を保てなくなってくるので保険でもあります。
kuso小説の十か条その九
『独自言語を作る』
これはファンタジー世界の言葉みたいな言語を一から作るという訳ではなく、ルビや言い換えやおやじギャグで特徴的な言葉を作るという事です。
余り他の人が使わないような言葉であればあるほどkusoみが高まります。これは下ネタでも厨二的でもカッコよすぎるのでも構いません。あなたのkusoセンス溢れる独自言語を作ってください。
kuso小説の十か条その十
『自分が楽しんで書く』
自分はkuso小説を書く事で頭痛がしようが、私生活で変な言葉が口から漏れようが、周囲の創作勢からkuso小説書きとして認知されようが、真面目な作品が評価され難くなろうが、全く面白さを理解されないかもしれなかろうが、そんなこんなを全部楽しんでkuso小説を書いてます。
kusoすぎて後でダメ出しをしたくなる駄作であっても、書いている最中は楽しんでるんですね。
そもそも、なんで楽しくないのにkuso小説なんか書くんですか?苦行ですか?もしかして苦行している自分に酔っちゃってるタイプですか?なんだ、じゃあ結局は楽しんでるって事じゃん?じゃんじゃん?という精神。
以上、この十ヶ条が自分の経験則でのkuso小説の特徴です。
これを守らなければいけないという訳ではないですし、人によっては真逆のやり方をしている場合もあるでしょう。
次の話では直接kuso小説を本文に載せながら、これらの十ヶ条がどの様に作品に関わっているのかを解説していきます。
作品はみんな大好き餃子マンです。
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