17.女神ちゃんは、少し考え込んで、そして言葉を繋げる

「私は女神で、神様ですから、無限に近い時間を生きているとも言えるし、ほんのさっき生まれたばかりの存在とも言えるですっ。様々な世界を全て見た事があるような気がしますし、この世界しか知らない様や気もします。何しろ私は神様で、神様って、あやふやなものだからですっ。私自身も私の事良くわかりません。何しろ神様なので。全部あやふやなんですっ」

少し寂しそうな顔で女神ちゃんは言う。

「じゃあ・・・何で、自分が女神なんて思うんだ?何で僕が世界の中心だなんて・・・」

「そういうものだからですよっ。そう、決まっているものですからっ、だから私は世界を見守る女神で、救世主様は世界の中心なんですっ、事実、魔物に救世主様は襲われているでしょう?普通の人間はあんな目に遭わないでしょう?」

「・・・・・・何だか、根拠も無く、誤魔化されている気がする」

「誤魔化されている・・・それなら・・・」

女神ちゃんは僕に抱きついた。

「救世主様が、それ以外の事実を見つけて下さいっ」

柔らかい女神ちゃんの身体の感触が、とても危うい。

「やめなよ、女神ちゃん」

「嫌ですよっ、うふふっ」

「あーっ、何二人でラブラブになってるのよ、私も私も」

そう言って菜野葉ちゃんも抱きついて来た。

この後、ぎゅうぎゅう暑苦しい入浴を過ごした。




風呂から上がった後は、急に眠くなって来た。

時計を見れば時刻は9時程度だった。

「おかしいな、まだ眠くなる時間でも無いんだが。」

「救世主様もお子様ですねーっ、ほれっ、私の胸の中で、寝て良いんですよーっ」

少し馬鹿にした様な微笑みを浮かべて、女神ちゃんは、手招きした。

「いや、良いよ、まだ寝る時間じゃないし、明日からの事も考えなきゃ」

「だから、そんな事考える必要無いですってばっ」

女神ちゃんは無理矢理抱きついて、自身の胸に僕の頭を押し込む。

「いや、そういう訳には・・・」

「良いから良いからっ」

「いやいやいやいや」

「良いから良いから良いから良いからっ」

ぐいぐいもちゃもちゃ、女神ちゃんと相撲などを取ってみていたのだった。

「救世主様ー、女神様ー、布団敷いたわよーっ。」

相撲に夢中になっていると、いつの間にか菜野葉ちゃんが布団を敷いてくれていた。

「おおーっ、有難う、菜野葉ちゃん」

「へへっ、ご褒美欲しいな」

そう言って菜野葉ちゃんは僕に頭を差し出す。

「ご褒美って、こう?」

「そう、それそれ♪」

僕が、菜野原の頭を撫でてやると、菜野葉ちゃんはグヘグヘ微笑んだのだった。

「さっ、寝るですっ、寝るですっ!」

そう言って女神ちゃんは布団の中に飛び込み、僕の服の裾を掴んで、寝床へと誘う。

「なあ、寝るって、3人で、この一枚の布団の中に寝るのかな?」

「そうですっ」

「当たり前でしょ?」

布団の中に入った僕の両脇には二人の少女が既に挟まっていた。

「・・・・・・君達、今日から、僕と生活を共にする気なの?」

「当然ですっ」

「そうよ、救世主様をお守りするんだからっ」

両脇の少女達はふんふん鼻を鳴らして言う。

大きくため息をついた。前途多難である。

先の事を考えると、脳みそに眠気がどっしり覆い被さって来た。

「救世主様、その、せっかく、寝床を一緒にしてるんだからさ・・・」

「しっ、救世主様はお疲れさまみたいなのですっ、寝かせてあげようですっ」

「・・・ん、そうだね、お休み、救世主様

意識が落ちようとしている時、二人の気遣いの言葉が聞こえた。

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