下宿

 目が醒めたのは大体11時頃、夜の。別に寝るのが遅かったわけではないが、まぁ生活習慣が乱れたらこんなもんだろうと人間の堕落ポテンシャルの高さに感心しつつぼんやりとTwitterを開く。「ぽきたw」。類は友を呼ぶのかなぜかいいねが増える。案外僕と同じようなタイミングで起きたフォロワーもちらほらといる。起きているときは何時までも寝て居たいと思うが、いざ何時間でも寝ているとずいぶんと頭が重く、体が重たい。重苦しい頭ではTwitterぐらいしかやることが無いが、Twitterをやってばかりいると余計に頭に靄がかかる。そんなことをうだうだやっていると立派な生理現象が嫌々ながらも身体を動かそうと懸命に働きかけてくる。とはいっても冷蔵庫には干からびた檸檬と教科書しか入っていない。こんな時間に空いてるのはコンビニくらいしかないが、出るのが億劫だ。こんな時に限って大学生というのは根性があるもので、案外へいきであった。

 さて、朝まで何をして時間を潰すか、これが問題である。まずは歯磨き、洗顔、風呂で頭をシャキッとさせる。そうして動いているうちにきっと空腹に耐えきれなくなって朝飯を見繕いに行くだろう。えいやっと腰を起こす。狭いアパートなので三歩も歩けば洗面所だ。寝床の明かりだけだと絶妙に暗くて不便だが、洗面所の電気をつける方が億劫なので、日ごろの感覚を手掛かり足掛かりに歯ブラシと歯磨き粉を探す。ない、どこにもない。そう、実はまだ歯ブラシも歯磨き粉も買っていないのである。さては寝ぼけて実家と勘違いしたな。まあいい、洗顔だけでも済ましてしまおうか。キュッキュッ…キュッキュッ…。畜生、水道が止められていやがる。となると風呂も入れない。どうせガスも止まっている。いよいよ何もやることが無くなったぞ。

 …それにしても隣のカップルはいつにもましてお盛んである。壁が薄いんだから勘弁してほしいが、何度言っても改善がない。今度また大家さんに言おうかと思ったが、ババアに異臭問題をやいやい言われるのは嫌なので壁ドンで済ましておこう。そうか、よくよく考えると今日はクリスマスだったか。やけに寒いと思ってたんだよなぁ。まずいなぁ、ストーブが付かないもんだから寒くて寒くて仕方なくなってきたぞ。京都の冬はこのうっすい煎餅布団なんか軽々と貫通してくるからなぁ。飯も食ってないのでどんどん体温が下がってくる。うーん、死ぬかぁw

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