第37話:ドイツで3度目の入院

その日、そのまま入院となった。

服などは翌日持ってきてもらい、まずは薬の変更を行った。

いつも通り、先生と面談。

この時もアンソニーが担当だった。

相手も顔を覚えていてくれた様で、挨拶をしてくれた。


「久しぶり、今回はどうしたんだい?」

「ここの診察で入院を勧められたから再入院ですよ」

「ふむ?具体的な症状は?」

「ブプロピオンを投与してた頃よりも行動力が落ちている」

「デュロキセチンの効果が無いと言う事かな?」

「ええ、効果が実感出来ません」

「分かりました、ではデュロキセチンを中止し、ブプロピオンを投与しましょう」

「ありがとうございます」

「セラピーの選択だがー…」


予測通り、ブプロピオンの投与。

タバコの味がまた無くなるなー…と考えていたが、

日常生活を送る事と前よりもベターになる事が優先だ。

セラピーはほぼ同じだった、新しく追加されたのは料理だ。

週に1回、キッチンでケーキを焼いたり、料理を作る。

料理は苦労しない、レシピ通りに作れば良い訳だし。

美味しい物が食べれるなら、ウェルカムだ。

知らない料理が食べれるし。


今回の部屋は3人部屋だ。

久々に入るこの部屋は、デオドラント臭い。

ドイツ人だけかは分からないが、デオドラントスプレーをガンガン付ける。

不愉快なレベルで臭いんだ。

(あー、チャラチャラした高校生とかが香水付け過ぎる奴だ)

なんて思っていた時、張本人がバスルームから登場。

軽ーく挨拶をしておいた。

彼はデオドラントスプレーを念入りにし、香水をつけていた。

臭い…その上から香水付けるとか凄い…匂いが喧嘩しそう…

そんな事を思いながら、荷物を戸棚に入れる。

その後、

彼とは特に関わりが無かったので、挨拶する位の仲で済んだ。

必要最低限、それだけで良い関係だ。


(今回は、薬が効いて安定したら退院だろうな)

そんな事を考えていた。

3度も入院したらそんな事を考える事も出来るんだな。

なんて考えながら、飲み物を取りに食堂へ行く。


キッチンでコーヒーを用意し、飲みながら、キッチンの窓から外を眺めていた。

冬、もうすぐ1年だ、ドイツに来て。

この一年、色んな事が起きたな、何か成し遂げた? 意味のある行動を取った?

ただ、なんも成果が出ていない。

そう考えると、価値が無いなって思ってしまう。

この1年は酷かった、人生の底だなって位。


暗い気持ちになるから、部屋に戻って音楽を聴いて誤魔化した。

僕は気分が落ち込む度に、音楽で自分を鼓舞してきた。

前向きな歌詞で少し早めな曲を選択する。


Unisonicの「Your Time has Come」だ。

歌詞が前向きだからだ、そして頑張るって気持ちになる


Out of the dark, into the light

暗闇から出て、光の中に入る

Out of the iron cage

鉄の鳥かごから出る

And you know your time has come

そして、貴方は知る、貴方の時が来たんだと


直訳だが、なんか頑張る気になれる。

(ヘビーロックで、ツーギター、ベースカッコいい、サビカッコいい)


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中の人は音楽大好きで色々聞くんですが、この曲が一番元気が出る。

ベースカッコいい。来世はベースが弾けるようになりたい。


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